ソニーモバイルコミュニケーションズは、現地時間の9月9日までドイツのベルリンで開催している「IFA 2015」のソニーブースにおいて、最新スマートフォン「Xperia Z5」「Xperia Z5 Compact」「Xperia Z5 Premium」を展示している。
これら3機種は、最短0.03秒(CIPA【カメラ映像機器工業会】基準)でピントが合う、現時点でスマホとしては世界最速のオートフォーカス(AF)を大きくアピールしている。「Xperia Z1」以来、約2年ぶりとなるメインカメラのセンサーの刷新と、ソフトウェアの改善がAFの高速化に大きく寄与しているという。
また、デジタルズームや動画撮影時の電子式手ブレ補正機能も大きく改善し、「プレミアムおまかせオート」撮影では、色味の手動調整もできるようになっている。
本稿では、高速AFを実現した背景を説明するとともに、Xperia Z5シリーズのカメラ機能を簡単にチェックしていく。
「Xperia Z5」シリーズのメインカメラは、約2300万画素のCMOSセンサー「Exmor RS for mobile」に「Gレンズ」を組み合わせて構成されている。センサーについては、名前こそ従来と同じだが、「(像面)位相差式オートフォーカス(AF)」に対応した新型を採用している。また、Gレンズについても、従来の5枚構成から6枚構成に変更されている。
ここまで高速なAFを実現できたのは、新センサーが対応する位相差式AFによるところが大きい。位相差式AFでは、カメラとフォーカス(ピント)を合わせる被写体の距離を検出して、それに合わせてレンズを動かす。余計なレンズ移動がないため、高速でフォーカスが合う、という寸法だ。そのため、動きの速い被写体でもピンボケすることなく撮影することができる。
しかし、位相差式AFには弱点もある。フォーカスポイントが固定されているため、「顔検出AF」や「タッチAF」(画面でタッチした場所にフォーカスを合わせる機能)を実装することが困難になのだ。
一方、従来のXperiaが採用してきた「コントラスト検出式AF」は、レンズを動かしながらコントラスト(明暗差)が一番大きいところでフォーカスを合わせるため、理論上どこにでもフォーカスを合わせることができ、フォーカス精度は抜群に良いというメリットがある。しかし、コントラストがはっきりとしない被写体の撮影は苦手というデメリットも抱えている。
そこで、Z5シリーズのメインカメラは、撮影状況を独自のアルゴリズムで判定して、位相差・コントラスト両方式のAFを併用する「ハイブリッドオートフォーカス」を採用している。ハイブリッドオートフォーカスの実現に当たっては、ソニーの一眼カメラ「α」シリーズの開発チームの強力も得ている。
ハイブリッドオートフォーカスは、「タッチキャプチャー」(フォーカスが合ったら自動的にシャッターを切る機能)を有効にするとその効果をより実感できる。下の動画は、Z5 Compactでのタッチキャプチャーの様子を収めたものである。タッチしてすぐにシャッターが切れていることがお分かりいただけると思う。
なお、先述のとおり位相差式AFではフォーカスポイントが固定されるが、Xperia Z5では静止画撮影時のフォーカスポイントが広めに取られている。また、動画撮影時には、画面の中央部で連続AFが可能になっている。
従来のXperiaシリーズでは、デジタルズームは3倍まで対応していた。Xperia Z5ではそれが5倍(800万画素での撮影時)まで対応するようになった。カメラの画素数向上、プロセッサの処理能力と、ソニーの持つ超解像技術を組み合わせることで実現したという。
また、Xperia Z4から搭載している動画撮影時の電子手ブレ補正「インテリジェントアクティブモード」も、カメラ画素数の向上とカメラ内部のアクチュエーターの改善の効果で、よりブレの少ない撮影に対応している。
Xperiaシリーズではおなじみの自動シーン検出機能「プレミアムおまかせオート」。もちろん、Xperia Z5シリーズでもこのモードは健在だ。
Xperia Z4から変わったことといえば、明るさと色合いを自分で調整できるようになった点にある。プレミアムおまかせオートモードの時に表示されているスライダーのアイコンをタップすると、手動で色合いを調整することができる。
Xperia Z5シリーズのカメラのAFは、筆者も驚くほど高速だった。展示会場ではそこまで多くの状況を試せたわけではなかったので、機会があれば、いろいろなシーンでオートフォーカスが高速になったのか試してみたいと思う。
それにしても、プレミアムおまかせオートに手動の設定が付いたのはさすがに予想外だった。オートに任せきると、自分好みの色合いにならないことは確かにあるので、ある意味では賢明な判断と言えなくもないのだが……。
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