テザリングオプション、3社が揃って2018年3月まで無料へ――そもそも1000円という設定は何が理由なのかドコモに直撃してみた石川温のスマホ業界新聞

» 2017年05月09日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 ここ最近のテザリング騒動がようやく落ち着きを見せたようだ。

 騒動はKDDIとソフトバンクが4月末でテザリング無料キャンペーンを終えることから「これって、無料が延長されたりはしないのか」というネット上で指摘され始めたのがきっかけだった。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年4月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 当時、ウェブ媒体から取材に対してKDDIは「延長はしない」と明言。ソフトバンクは「検討している」とコメント。結局、ソフトバンクが4月25日に「7月末で延長」と発表。これによって追い込まれたKDDIが、4月26日に2018年3月31日までの延長を発表したのだった。さらにソフトバンクは仕方なく、4月28日に2018年3月31日まで延長すると発表し直した。

 今回の騒動で、気になったのが「そもそも、ユーザーはデータ容量で契約しているにもかかわらず、用途に応じてなぜ追加料金を支払わなくていけないのか」という点だ。

 スマホだろうがテザリングだろうが、20GBを契約したのならば、ユーザーが好きに使っていいはずだ。そこになぜ、1000円という高額なオプション料金が発生するか謎なのだ。

 NTTドコモの決算会見でこの疑問をぶつけてみた。NTTドコモは、最初から2018年3月末までの無料キャンペーンとなっているが、そもそも昔はテザリングのオプション料金は設定していなかった。しかし、ソフトバンクとKDDIが1000円を設定したものだから、便乗的に1000円を追加してきた疑惑が持たれている。

 質問に対して、経営企画本部長の大松澤清博氏は「ルーターなどの用途があり、総合的に1000円を設定した。いずれにしても、スマホで快適に利用できるように、基本料金を考えている。引き続き、テザリングの話も含めて、世の中の要望をうけて、お客様還元を含めて検討していきたい」とした。

 質問に対して、吉澤社長は困った表情を浮かべ、結局、大松澤氏が答えることになったのだが「なぜ1000円という設定なのか」という点に関しては、明確な答えは聞くことができなかった。

 その後、別の記者から「大容量プランはスマホでは使い切れない人が多いという前提があって、あの料金体系が設定されているのではないか。テザリングを使われると、大容量プランを使い切ってしまうことがあるため、赤字になりかねない。だから1000円というオプション料金が設定されているのか」という質問が飛んだ。

 これに対しても明確な答えはなかったのだが、大松澤氏は「テザリングは新しいプランとして出したが、しっかり実態を見ていきたい。新しい中期戦略でマーケットリーダー宣言をしたので、お客様に得が見える進化をするように検討したい」とコメントした。

 NTTドコモは、今回の会見で中期戦略として「マーケットリーダー宣言」をしていた。ぜひともこの宣言を実行するという意味でも、他社に先駆けて、テザリングオプション料金の撤廃に踏み切って欲しいと思う。

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