ソニーは6月27日、AIサービスを実現するディープラーニング(深層学習)のプログラムを開発できる「コアライブラリ(Neural Network Libraries)」をオープンソース化した。
開発者は、無償で公開されたコアライブラリを利用してディープラーニングのプログラムを開発し、これをベースにしたAI機能を端末やサービスに搭載できるようになる。
ディープラーニングは、人間の脳を模倣した「ニューラルネットワーク」を用いた機械学習の1つ。ディープラーニングは人間を超える性能を秘めており、最近は囲碁でAI棋士がプロ棋士に勝利したことが記憶に新しい。画像認識や音声認識だけでなく、機械翻訳やロボット制御など、より広範囲なジャンルにも活用されている。
コアライブラリは、そんなディープラーニングのプログラムを開発するためのソフトウェアで、ソニーは2010年から開発を進めてきた。AI開発に求められる機能を余すことなく搭載していること、開発効率が高いプログラミング言語「Python」を利用できること、NVIDIAのGPUでスピーディーにディープラーニングの技術を開発できることを特徴としている。
スマートフォンやIoTデバイスにコアライブラリを移植することも可能。スマートフォンに移植する場合、QualcommのSnapdragonなどの各チップに合わせて書き換える必要があるが、これもスピーディーに行えるという。
ソニーのコアライブラリを活用した機能は、既に自社(やグループ会社)の製品に搭載されている。例えば「Xperia」のカメラに搭載されている「ARエフェクト」、ユーザーの行動履歴を記録できる「Lifelog」アプリ、「Xperia Ear」のジェスチャー認識、カメラの顔認識、不動産の価格推定エンジンなど。
イヤフォン型のスマートプロダクト「Xperia Ear」で、頭を動かしてアシスタントに「はい/いいえ」と応答したり、着信の応答/拒否をしたりできるジェスチャー機能にも、ソニーのコアライブラリが応用されている開発者はコアライブラリを活用することで、上記のようなAI機能を実現するコアアルゴリズムを開発できるようになる。それをもとに、顔認識やジェスチャー認識などの技術は個別に味付けをし、製品やサービスに落とし込んでいく。ソニーが提供するのはフレームワークの部分で、同社が定義する顔認識やジェスチャー認識の仕組みをそのまま使えるわけではない。
スマートフォンでも画像認識、音声認識、対話、予測変換、(カメラの)顔認識、シーン認識など、さまざまなシーンでAIを用いた機能が搭載されている。ソニーのコアライブラリを用いた、幅広いサービス・機能の登場が期待される。
“秘書”が耳に住んでいる感覚――「Xperia Ear」が単なるヘッドセットじゃない理由
「Xperia Ear」アップデート 通知読み上げ機能やヘッドジェスチャーがより便利に
AIサービスを他社と共同開発 ドコモが「AIエージェントAPI」を開放
「Siri」と「AI」の関係を整理する
AIによる音声入力機能を「Simeji」に提供 顔文字をレコメンド、句読点も自動でCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.