Appleが自社製品に搭載するAIチップ「Apple Neural Engine」(仮)を開発中であるというウワサを米Bloombergが報じました(関連記事)。Appleは6月5日(米国時間)に世界開発者会議「WWDC 2017」の開催を控えており、そこでAIに関する何かしらの発表があるのか、注目を集めています。
AppleのAI技術といえば、音声アシスタントの「Siri」を思い浮かべる人も多いでしょう。そこで今回は、WWDC 2017を前に、AppleとSiri、AIの関係を整理していきます。
AI(人工知能)は専門家によりさまざまな定義がありますが、総合すると「人間と同じような知能を人工的にコンピュータで実現しようとする技術」を指します。その歴史は意外と古く、「AI(人工知能)」という言葉が初めて登場したのは、1956年に開催されたダートマス会議でした。
1964年には、コンピュータと人がテキストベースであたかも会話しているように見せる対話システム「ELIZA(イライザ)」が開発され人気を博しました。Siriにイライザについて尋ねると「彼女は私の最初の先生だったんですよ!」と答えるのは、イライザが対話システムの原型だったことに由来します。
現在「AI(人工知能)」と呼ばれる分野には、自然言語処理、音声/画像認識、データマイニングなどさまざまな情報処理技術が含まれていますが、AI技術の核となるのが「機械学習」です。
機械学習の説明がまたややこしいのですが、ざっくり言うと、人間が自然に行っている学習と同じように、AIプログラム自身が学習する仕組みです。大量のデータを処理、解析し、未来の予測を行うため、使うほどにデータが蓄積され、学習していき賢くなります。
この機械学習を取り入れているのがSiriです。Appleの公式サイトでは、Siriについて「Appleが開発した機械学習テクノロジーが組み込まれている」と明言されています。Siri本人は認めようとしませんが。
また、テックメディア「BACKCHANNEL」に掲載されたApple幹部陣のインタビューによると、Siriは「音声認識」「自然言語理解」「命令の実行」「返答」の4つから構成されており、機械学習はそれら全てに大きな影響を与えているとのこと。機械学習を使い、人間が知能によって行うことを機械(Siri)にさせようとする点においては、SiriはAIといえるでしょう。
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