“Eee PCの上を行く”Atom搭載スリムノート――ASUS「S121」とは何者か?(後編)Atomだってオーバークロック(3/3 ページ)

» 2009年05月15日 19時00分 公開
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スリムボディはどれくらい熱くなるのか?

 スリムボディを実現したS121では、放熱設計のデキも気になるところだ。そこで発熱と騒音も検証した。まずは発熱のテストだが、ユーザーが利用時に触れるボディ各部の表面温度を放射温度計で計測した。起動から30分間アイドル状態で放置した状態、そこからシステムに高い負荷を30分間かけ続けた状態の2パターンで、温度を計測している。スクリーンセーバーはオフにし、アイドル状態から一定時間経過してもディスプレイの表示やストレージの電源がオフにならないように設定した。

 計測したボディの部位は、キーボードの左半分/右半分、パームレストの左半分/右半分、タッチパッドの表面、ボディ底面の左半分/右半分だ。各部で最も高温になる部分を探して、温度を計測している。テスト時の室温は約25度だ。

動作時の発熱。左が起動後30分間アイドル状態にした場合、右がシステムに30分間負荷をかけ続けた場合の温度だ

 計測結果については、おおむね不満のないものだった。常時手が触れていることが多いパームレストは、アイドル時、高負荷時とも28〜32度程度で発熱しにくく、快適に利用できる。キーボードはF5キー周辺が最も熱くなるが、全体的には30〜32度くらいで推移しており、高負荷時でもアイドル時と比べて温度が上がりにくかった。

 一方、底面はCPUやメモリを内蔵している部分の表面が発熱しやすい傾向にあった。室温25度の環境で、高負荷時は40度程度まで温度が上がったため、ヒザの上に本体を載せて使用する場合などでは注意が必要だ。

Atom Zだがファン内蔵、その静音性は?

動作時の騒音

 動作音の検証は、本体を樹脂製の机に置いて一定の距離から騒音レベルを計測した。騒音計のマイクは使用時におけるユーザーの耳の位置を想定し、ボディの中央から約30センチ離して、設置面から約50センチの高さに固定している。環境騒音は28dB(A)で、周囲の騒音はほとんど聞こえないレベルだ。

 計測した状況は、発熱のテストと同様、起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、システムに高い負荷を30分間かけ続けた場合の2パターンだ。

 計測結果を見ると、ファン内蔵にもかかわらず騒音はかなり小さかった。排気口が背面に配置されていることもあり、アイドル時では動作音がほとんど聞こえず、ファンの存在を意識しないで済む。高負荷時が続くとファンが高速回転するが、それでも騒音は大きくない。ただし、ファンは回転数が上がると、かすかに引っかかるような「ジー」という異音が混じることがあった。これは試作機固有の問題かもしれない。

液晶とキーボードが使いやすいスタイリッシュなお手ごろノートPC

 最後にS121の特徴をまとめると、一般的なAtom搭載のNetbookより一回り大きな1280×800ドット表示の12.1型ワイド液晶ディスプレイと、サイズに余裕があるキーボード、外出先で十分活用できるバッテリー性能、そして本革のパームレストに代表されるスタイリッシュなスリムボディが挙げられる。

 一方、Atom Z520(1.33GHz)とIntel SCH US15Wチップセットを採用したことによる控えめなパフォーマンス、大型のボディにともなう約1.45キロの重量といった部分は、下位機種に当たるS101やS101Hに見劣りする。また、8万9800円という価格もNetbookに連なる製品として考えると、かなり高めといえる。

 購入時には、この長所と短所を見極めることが重要だろう。パフォーマンスはそこそこでいいので、通常のモバイルノートPCに近い視認性と入力環境、そして見栄えのいい低価格モバイルPCが欲しい人にとっては、S121がかなり魅力的に映るはずだ。

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