PCのあり方を再定義する「OS X Lion」WWDC 2011基調講演リポート(2)(3/4 ページ)

» 2011年06月08日 00時00分 公開
[林信行,ITmedia]

iPadに学んだ「LaunchPad」や「再開」、Macをさらに使いやすくする注目機能

iPadの操作性に学んだ「LaunchPad」

 5つ目は、iPadのホーム画面に似た「LaunchPad」機能だ。操作方法はiPadとほぼ共通化されており、アプリケーションの並べ替えやフォルダ化も行える。6つ目は「再開(レジューム)」。アプリケーションを閉じても、再び起動すると前回作業中だった状態がそのまま再現される機能だ。これらもiPadならではの使い勝手のよさをMac上で再現した機能といえるだろう。

 7つ目は「オートセーブ」だ。これはいちいち「保存」操作を行わなくても、Lionに最適化されたアプリケーションなら、常に作業中の書類を保存してくれる機能だ。これにより、数時間かけて作った書類がただ保存を忘れていたために一瞬にして消えてしまうという、PCで日々繰り返されてきた悲劇を黒歴史として葬ってくれる。

アプリケーションを閉じても前回中断した作業を再開させる「再開」や、自動的に作業中の書類を保存する「オートセーブ」

 8つ目は「バージョン」という機能だ。PCで作業をしていると、後になってから、手を加える前のものがよかったと思い直すことがある。誤操作をした後に「保存」をしてしまい大事なデータを失うという悲劇もしばしば起こる。

 そんなときに大活躍するのが、この「バージョン」という機能で、呼び出すと現行Mac OS Xのバックアップ機能である「Time Machine」よろしく、作りたての状態から現在に至るまでの書類の状態がズラっと並んで表示される。ここで画面右下の時間軸を書類が古い状態まで巻き戻したり、それを復元することができる。また、画面左半分には書類の最新状態が表示されるので、古い状態の書類からコピーし直したい部分だけをコピー&ペーストするなど、かなり柔軟な作業が可能になる。クリエイティブな仕事をするうえでも、おそらくこれまでよりも、もっと大胆な試行錯誤が可能になることだろう。

 機能の呼び出し方も簡単だ。書類ウィンドウのタイトル部分をクリックするとメニューが表示されるので、ここからロック(書類の状態を維持しオートセーブしない)、複製(現在のバージョンを複製し、別の書類ファイルを作る)、最後に開いた状態に復元(書類に加えた変更をすべて取り消し、開いたばかりの状態に戻す)、そして「バージョン」機能を呼び出す、すべてのバージョンをブラウズ、といった操作を選ぶことができる。

書類のバージョンを保存し、Time Machineに似たUIで復元できる「バージョン」

 9つ目は「AirDrop」。これはこれまでで最も簡単に、ファイルの受け渡しをする方法だ。これまでにも、さまざまなファイル受け渡し方法が開発されてきたが、結局、どれもいざという時にすぐに使えず、今なおUSBフラッシュメモリにコピーして受け渡しするのが最良のファイル交換方法だった。しかし、AirDropがこれを変えることになりそうだ。

 FinderウィンドウのサイドバーからAirDropを起動すると、周囲にいるOS X Lionユーザーがアイコンで表示される。ここでファイルを渡したい相手のアイコンにファイルをドラッグ&ドロップし、相手が受け取りを許可するとファイルの転送がスタートする、という非常に分かりやすUIになっている。

 もっとも、これまでにもファイル共有やBluetoothを使った転送などがあった。しかし、いざ使おうとすると、相手がネットワークに接続していなかったり、利用している無線LANでは過剰なセキュリティによってファイル共有ができなかったり、コンピューター名から相手を識別するのが大変だったり、設定がきちんとできていないために、IDとパスワードを伝える必要があったりと面倒だった。

 一方のAirDropでは、ファイル交換という、よく行う操作のために、一時的にアドホック(つまり、PC同士を無線LANで直結する)という方法で操作を簡略化する、ある意味でコロンブスの卵的なファイル転送手段を取っている。

AirDropを使えば、アイコンにファイルをドロップする簡単なUIで、周囲にいるOS X Lionユーザーへファイルを受け渡すことができる

 10個目の機能は「Mail」だ。新Mailはフルスクリーンで利用できるだけでなく、iPadでも採用されている2列のレイアウト(画面の左側にメールの一覧を表示し、右側に選択したメールの本文を表示)を採用。より多くのメールを見渡せるようにした。

 また、短時間で会話的に何通ものメールをやりとりした場合、話の流れを追いやすくするべく、「スレッド」表示機能を搭載した。メールの末尾に付与された長い引用部分を自動的に隠して、本題の部分だけを時系列に並べて表示してくれる。会話のスレッドをひと通り読み終わったら、ウィンドウの上部に表示されるお気に入りバーなどを使ってフォルダに仕分けることも可能だ。さらに差出人や宛先だけでなく、件名の一部、キーワード、時期といった複合条件で簡単に絞り込める強力な検索機能も搭載される。

新しいMailではスレッド表示機能が搭載される

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