Snapdragon S4で活用領域を拡大するQualcomm――Windows RTでのデモも公開:COMPUTEX TAIPEI 2012(1/2 ページ)

» 2012年06月06日 15時38分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 米Qualcommは6月5日(現地時間)、台湾の台北市内で開催されているCOMPUTEX TAIPEI 2012で、同社のモバイルコンピューティング戦略に関するプレス向けミーティングを実施した。米QualcommのQCT(Qualcomm CDMA Technologies)製品管理担当シニアディレクター、スティーブ・ホートン(Steve Horton)氏によるSnapdragonに関する新しいブランディング戦略の説明のほか、Snapdragonを搭載したリファレンスデバイス上で動作する「Windows RT」(Release Preview版)のデモが行われた。

Snapdragon S4に「4つの製品カテゴリ」

Photo 米QualcommのQCT(Qualcomm CDMA Technologies)製品管理担当シニアディレクター、スティーブ・ホートン氏

 Snapdragonといえば、スマートフォン向けSoC(System on Chip)で大ヒットをとばした人気商品であり、ITmediaの読者であればその名前を聞いたことがあるだろう。ブームのきっかけは、Googleがスマートデバイス市場に参入する際にリリースした「Nexus One」でAndroidのリファレンスデザインに採用され、一気に利用が広まったことにあると考えられる。

 その後、Windows Phone 7の登場時にもMicrosoftにリファレンス製品として採用されたほか、間もなく製品版が登場するといわれている「Windows 8」の世界では、QualcommがARM版プラットフォームで規定されている3つのSoCベンダの1社に選ばれ、Snapdragonならびにドライバの提供を行っているなど、多くのプラットフォームに採用されてきた。

 もともとSnapdragonは「顧客向けにカスタマイズされたSoCを提供する」というSoCベンダの常もあり、製品そのものは個々のコンフィグレーションを反映した型番がつけられ、それで区別されていた。だが2012年を期にQualcommでは「体系をシンプル化する」というマーケティングメッセージを反映し、世代ごとに「S1」「S2」「S3」「S4」という形でシリーズ名をつけており、2012年に登場した現行世代では「Snapdragon S4」の名称でブランディングを行っている。

 過去の製品についても、後付けで「S1」から「S3」のブランド名が付与された。今回はこれに加えてさらに「Prime」「Pro」「Plus」 「Play」と、対応する製品カテゴリに応じて4つのブランド名を付与している。最上位がPrime、エントリーモデルがPlayに該当する。

PhotoPhoto Snapdragonの歴史。「Snapdragon S4」のような型番になったのは現行製品からだが、それ以前の製品にもS1〜S3という番号が付与された。なお、S4の「S」は「Snapdragon」から取ったものだという。今回、Snapdragon S4には「Prime」「Pro」「Plus」「Play」の4つのカテゴリが新たに設定された。現時点でどの型番のプロセッサがどのカテゴリに属するかの詳細は不明だが、後述のMSM8960はPlusに該当するという

 Qualcommでは、他社製品に対するSnapdragonの優位性をいくつか挙げている。その1つが「独自開発されたプロセッサコア」で、ARMからIPと呼ばれる設計図を購入している他社製品とは異なり、より電力効率が高く、高パフォーマンスのSoCを提供できていると説明する。

 それを実証すべく、デモ映像も公開した。この映像は、Snapdragonとライバルの同等製品でCPUに負荷がかかるDhrystoneを同時に動作させ、その温度変化をサーモグラフィで比較するというものだ。プロセッサは電力を消費すればするほど熱を発するので、同じパフォーマンスでも電力効率が高ければ発生する熱量は抑えられる。つまり発熱が少ないということは、それだけバッテリー駆動時間が延びるということでもあり、Snapdragonはこれを実現しているというのが同社の説明だ。またお遊びとして、これら端末に“バター”をのっけて、それが溶ける過程を比較する「Melting Butter」というデモ映像も公開されている。これについてはYouTubeにも映像がアップロードされているので、ぜひ確認してみてほしい。

PhotoPhoto 電力を消費するほど熱が発生するので、電力効率が高いということは動作温度が低いということを意味する。Qualcommでは競合製品とのサーモグラフィ比較で動作温度が低いことを示しつつ、さらに「Butter Benchmark」というデモでスマートフォンの上にバターの塊を置いて、それが溶ける様子を比較する動画をYouTubeで公開している

Qualcommが公開した、Snapdragon S4の電力効率のよさ、発熱の少なさをアピールする映像。サーモグラフィによる温度の違いや、バターの溶け方などで“発熱の少なさ”を伝える
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 Snapdragonのもう1つの優位性が製品ラインアップだ。Snapdragon S4をとっても、前述のようにハイエンドからエントリーまで4種類のカテゴリーが存在し、それぞれの要求に応えている。3Gから4G LTEまで、通信モジュールを含む豊富なチップセット環境を提供できる数少ないベンダの1社である。主にハイエンドを中心、あるいはローエンドを中心にラインアップを構成しているARMプロセッサベンダー他社との大きな違いがここにある。

 盛り上がりつつあるローエンド向け市場戦略に関してホートン氏は「基本的には、技術がハイエンドからローエンドにまで落ちてくることを念頭に、ラインアップの拡充で対応していく」と説明する。例えば初めてSnapdragonが発表された当初、市場には1GHz駆動のARMプロセッサはなく、「こんな性能を何に使うんだ?」と言われるくらい、超ハイエンドの存在だった。だが現状ではローエンドの「S4 Play」が1GHzのデュアルコアプロセッサになっていることからも分かるように、結果的に当時のハイエンドがローエンドのレベルまで落ちてきている。もちろん価格も手ごろになってきており、こうした形で広がったラインアップを、それぞれのカテゴリーに当てはめていくというのが、前述のS4における4つのカテゴリーというわけだ。

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