ReaderはXMDFなど多彩な表示フォーマットをサポートしているが、ZIP圧縮したJPGデータの表示はサポートしていないため、自炊データはPDF一択となる。
読み込んだPDFファイルは、1ページ目をサムネイルとして表示する。ファイル名をそのままタイトルとして認識するため、ファイル名に書名や著者名を入れるようにしておくと、分かりやすい。ただし、一覧画面では先頭から全角9.5文字ぶんしか表示しないため、長い書名は後半が切れて読めなくなってしまう。書名と著者名のどちらを優先するか、決めておいたほうがよいだろう。
このほか、本製品ならではのユニークな機能は、端末側でPDFデータの余白部分をトリミングして表示する「余白カット」機能だろう。自炊時に上下左右の余白を削除しなくとも、端末側で自動的に非表示にしてくれるので、小さな画面サイズながら効率的に表示できるわけだ。
なお、前述したようにE Inkはリサイズした画像データの表示が粗くなる欠点があるので、倍率を自動的に変更してしまうこの機能は、自炊データを美しく表示する目的には向かない。また、余白エリアに細かい汚れがあると意図しないトリミングが行われてしまうこともあり、自炊データの閲覧にはあまり使える機能とは言えない。
もう1つ、本製品は画面の濃度を調整する機能もあるが、自炊データについては背景色ごと濃くなったり淡くなったりするため、あまり役に立たない。基本的にはデフォルトの設定のまま使うことになるだろう。
Readerは本体に約2Gバイトのメモリを内蔵しているので、microUSBケーブルでPCと接続し、自炊データを転送できる(※ユーザー領域は約1.4Gバイト)。専用のユーティリティーを使わなくともエクスプローラ上でコピーできるのは取り回しがよく便利だ。
またこれに加え、6インチの「Touch Edition」ではSDカードおよびメモリースティック PRO Duoをサポートしているので、これらメモリカード経由でも自炊データの転送が行える。複数のメモリーカードに大量の自炊データを入れ、交換しながら読むこともできるので、大量のデータの持ち歩きにはもってこいだ。コレクションという機能を使えば、多くの自炊データをジャンルやカテゴリに分類して呼び出しやすくすることもできる。
なお、本製品は圧縮しない状態のJPGファイルや、GIF、PNGといった画像ファイルの閲覧にも対応しているが、初回読込時に本体側でサムネイルを生成するため、多数の画像ファイルが入ったメモリカードをスロットに装着すると、サムネイル生成が完了するまで数分間操作を受け付けない状況に陥る。PDFに変換する前の数百ページのJPGデータをうっかり本体に読み込ませないよう、注意したほうがよいだろう。
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