「商品化に向けて動き始めている」――KDDI、「iida and ALESSI」モデルを披露

» 2010年10月29日 23時38分 公開
[田中聡,ITmedia]

 KDDIが10月30日から11月3日まで、東京ミッドタウンで開催される「DESIGNTIDE TOKYO 2010」に、イタリアのデザイン会社「ALESSI」とコラボレートしたiidaの新しいコンセプトモデル「iida and ALESSI」や、新機種「X-RAY」を展示する。これに合わせ、10月29日にプレス向けにiidaのレセプションパーティを東京ミッドタウンで開催した。

ALESSIとiidaがお互いにリスペクトした――増田氏

photo KDDIの増田和彦氏

 KDDI コンシューマ事業本部サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏は「日本最大級のデザインイベント、そしてデザインの中心地でもある六本木でiidaをご紹介できることは栄誉あること」と喜びを語った。ALESSIと協力した経緯については「iidaのコンセプトについてALESSIと話をする機会をいただき、お互いの考え方を話し合ううちに、2つのブランドがリスペクトするという好循環が生まれ、3人の著名なデザイナーをご紹介いただいた。それから1年半ほどワークショップを重ねて、発表に至った」と話した。

 ALESSIライセンシングマネージャー マッシモ・ボルトット氏は、ALESSIのデザインに対する取り組みとiidaモデルを手がけることの抱負を以下のように語った。

 「1921年に生まれたALESSIでは、外部のデザイナーと手を組むことで、閉ざされることなく幅広く展開している。40年以上にわたって200人以上のデザイナーと活動している。その中で分かったことは、まず高品質なデザインを生み出すことだけでなく、私たち自身がアクティビティとプロダクトの仲介に立つ必要があること。世界中の素晴らしいメーカーと組むことで、いろいろな商品をプロデュースしていきたい。

photo ALESSIのマッシモ・ボルトット氏

 一緒に仕事をしているデザイナーは、世界で最も優れたマーケティング集団だと思っており、アートの概念をプロダクトに投影する力を持っている。我々は10年前から新しいマーケット分野にも進出し、キッチンウェアやハウスウェアだけでなく、幅広い製品を手がけている。今回このような形でiidaとコラボレーションできることを大変うれしく思うし、日本のマーケットに新しい価値のある製品を提供できると思っている」

 「私たちがパートナーと組むときには、パートナーの信念に最もマッチするデザイナーを選んで一緒にプロジェクトを進める」とボルトット氏が話すとおり、今回のコンセプトモデルでは、スマートフォンにマルセル・ワンダース氏、2機種のフィーチャフォンにステファノ・ジョバンノーニ氏とパトリシア・ウルキオラ氏を起用した。「それぞれのデザイナーの持つベストな表現方法を生かした製品になる」と同氏は自信を見せる。

日本の製品だからデザインを引き受けた――ワンダース氏

photo スマートフォンをデザインしたALESSIのマルセル・ワンダース氏。「普通の日を特別な日にすることは難しいが、デザインがそれを可能にすると思っている」と自身のデザイン観を話した。ケータイについては「携帯電話は人と人とをリアルに結ぶものなので、愛着を持ってもらいたい」と語っていた

 今回起用された3人のデザイナーのうちの1人、ワンダース氏もパーティに参加し、iida端末への意気込みを話した。同氏が今回のデザインを引き受けたのは「日本向けの製品」という点が大きかったようだ。「イタリアでは自分たちの国こそがデザインの本場だと言う人が多いが、私から見ると、日本人も物へのこだわりや思い入れが強い。日本人は何にでも神を見いだして、物にも人格が宿っているという、世界でも非常にユニークな考えを持っている」と話し、日本ならではの思想に感銘を受けたようだ。

 「デザインは表面的なもの」と思われがちだが、ワンダース氏はその考えに異を唱える。「表面だけを見てそう思うなら、自分の心、頭、目を使っていないと思う。例えば女性の肌を触れるだけでその人の心が分かることがあると思うが、物の表面を通しても物の魂が分かる」。iidaについては「今日も若いデザイナーの方と話したが、素晴らしいデザイナーがたくさんいるし、日本のケータイ文化をよく表している」と賞賛した。

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X-RAYのマニアックなところを楽しんでほしい――吉岡徳仁氏

photo 吉岡徳仁氏

 パーティにはiidaの新製品「X-RAY」のデザインを手がけた吉岡徳仁氏も登場。同氏は「MEDIA SKIN」のデザイナーとしても知られるが、MEDIA SKINを手がけたときは「感覚そのものをプロダクト化できないか」を考えたという。そして今回のX-RAYをデザインするにあたり「ケータイがデザインされ尽くした中で、どのように新鮮に見せるか」を考え、2年という長い期間をかけて「内部をデザインすること」に成功した。

 X-RAYには、強化ガラスとポリカーボネートを融合させた新しい素材を、ケータイでは初めて使用し、奥深い透明感と上質感を表現した。通常は緑色の基板を黒色にしたり、バイブレーションのモーターが動く様子を外から見えるようにしたり、細部にもこだわった。こうした「マニアックな部分はとても苦労したが、楽しんでほしい」と吉岡氏は話した。

 また、X-RAYが11月5日から販売されることも明かされた。

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スマートフォンは「具体的に商品化する」

 パーティではiida and ALESSIのコンセプトモデル3機種のモックアップが展示されており、その世界観を垣間見ることができた。

 ワンダース氏が手がけたスマートフォンのコンセプトは「貴金属を思わせる、芸術的スマートフォン」。ボディカラーは4色(予定)、スタイルはオーソドックスなフルタッチ端末だが、裏面に金属調の模様を施している。凹凸感があるように見えるが、説明員によると、表面はツルツルしているという。これは「裏側から模様を彫って中から蒸着処理を施し、透明なプラスチックを使っている」ため。表面の素材には金属を使っているわけではないので、端末は見た目ほど重くはないようだ。端末に触れることはできなかったが、見た目と質感のギャップを楽しめそうだ。

 端末の裏面は非常にシンプルなデザインとなっており、カメラレンズ用に小さい穴が空いているのみ。ただ、「開発を進める段階でほかの部品が加わる可能性はある」(説明員)とのこと。ショーケースでは、端末の置き台やACアダプターなどの周辺アイテムも一緒に展示しており、これらのアイテムもセットで販売される見込みだ。このスマートフォンには、周辺アイテムやパッケージも含め、ALESSIの食器「カトラリー」の世界観が反映されている。女性向けのように見えるが、「女性にターゲットを絞っているわけではない」。OSは「Androidを採用する予定」。

photophotophoto 「iida and ALESSI」のスマートフォン。裏面に彫刻のような加工が施されている。カラーはホワイト、シルバー、グリーン、ブラックベースの色が使われている
photophoto ボディは全面タッチパネルで、側面にサイドキーらしきパーツがある(写真=左)。周辺アイテムにもオリジナルの個装箱が用意される予定。これらのアイテムを個別に販売するかは未定(写真=右)

 このほか、ジョバンノーニ氏による「顔」をイメージしたケータイと、ウルキオラ氏による「カスタネット」をモチーフにしたケータイも展示されていた。それぞれのコンセプトはもちろん、周辺アイテムのACアダプターにMicro USBと思われる端子を採用しているのも興味深い。

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photo カスタネットをモチーフにした、パトリシア・ウルキオラ氏デザインのモデル。表面は「繊細な肌触り」を目指した
photophotophoto ステファノ・ジョバンノーニ氏デザインのモデルは、ケータイから周辺機器まで「顔」があるのが特徴

 3つのコンセプトモデルのうち、ワンダース氏デザインのスマートフォンについては「具体的な商品化に向けて動き始めている」(増田氏)とのこと。商品化の時期や開発メーカーは未定だが、続報に期待したい。なお、フィーチャーフォン2モデルの商品化については未定。

 iida and ALESSIのコンセプトモデルとX-RAYは、10月30日〜11月3日の11時〜21時に東京ミッドタウンのキャノピースクエアに展示されている。興味のある人は足を運んでみてほしい。

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