新ブラウザは“電光石火”の速さ――“スマホの老舗”が明かす「BlackBerry Bold 9900」の優位性(2/2 ページ)

» 2011年10月21日 22時38分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
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BlackBerryの差別化ポイントとは

 最初のモデルが1999年に発売されたBlackBerryシリーズは、現存するスマートフォンプラットフォームではもっとも歴史がある製品だ。全世界で約7000万人のユーザーがおり、現在もそのユーザーを拡大している。普段、シンガポールに勤務するウェイド氏の担当エリアは東南アジアのみだったが、ビジネスの発展にともない日本や韓国も含まれるようになったという。

 ウェイド氏はBlackBerry成功の理由として、まずはスピードが挙げられると話す。BlackBerryでは通信事業者ではなく、端末メーカーのRIMがプッシュメールやインスタントメッセージを提供している。今では当たり前になったスピーディなリアルタイムコミュニケーションをいち早く実現したことで、RIMはスマートフォンのリーディングカンパニーへと成長した。

 リアルタイムコミュニケーションを支えるインフラもRIM自身が構築しており、BlackBerryの通信は独自の暗号化と圧縮が行なわれている。そのためセキュリティ面での信頼性も高く「モバイル業界では基準となるセキュリティサービス」(ウェイド氏)として評価されている。

 「スマートフォンのセキュリティに関しては、個人はもちろん企業でも重視される点だ。BlackBerryのセキュリティは多くのユーザーによって歴史的に確立している。現在ではミッションクリティカルな分野でもBlackBerryが採用されるようになった。また、BlackBerry通信時の帯域幅は著しく小さい。これは通信事業者にとっても有利な点だが、ユーザー視点で見ても、例えばローミング時のパケットが少なくてすむなどのメリットがある」(ウェイド氏)

 確固たる地位を築いたRIMはiPhoneやAndroidなどの競合とどう競争していくのか。ウェイド氏は3つの柱による発展性で差別化を図るとした。

 「差別化ポイントの1つが、コミュニティ。BlackBerryのインスタントメッセージには5000万人のユーザーおり、友人や同僚との接続性が広がっている。そして2つ目が、デバイスやサービスの選択肢が広い点。さらに、多彩なアプリケーションによる豊かなユーザー体験が挙げられる。この3点は、RIMがスマートフォンの世界でリーダーになっている理由でもあり、今後も伸ばしていきたい」(ウェイド氏)

photo 3つの柱による発展性で差別化

 日本ではQWERTYキー付きモデルしか販売されないBlackBerryだが、海外では折りたたみ型やフルタッチモデルもラインアップされている。また、タブレット端末も2010年に登場している。

 BlackBerryのアプリケーションマーケットである「BlackBerry App World」には約4万のアプリが登録されており、1日に500万本がダウンロードされているという。登録アプリの本数についてウェイド氏は「アプリはユーザーとの関係性が重要だ」と述べ、ほかのマーケットに比べて良質なアプリがそろっている点をアピールした。また、BlackBerry向けアプリはほかのプラットフォームと比べて収益性が高いという。

 「個人的にはBlackBerryが世界ナンバーワンのスマートフォンだと思っている。例えば英国ではBlackBerryがシェア1位だ。これは先進国の例。また新興国の例であれば、インドネシアでのシェアもBlackBerryが1位。また東南アジア全体では先進国と新興国がまざっているが、シェアは第2位だ。各市場とも、初めてスマートフォンを使うユーザーに、BlackBerryが受け入れられている」(ウェイド氏)

日本でのラインアップ拡充、マルチキャリア対応は?

 RIMが上げる利益のうち、56%はカナダ/アメリカ/英国以外からのもので、特に南アフリカや中南米、中東での利益が貢献しているという。ウェイド氏は順調な海外市場に続いて、日本でも大きな成功を納めたいと意気込む。

 「日本のスマートフォン市場は2012年から2013年にかけて2倍になる公算。また、携帯電話ユーザーの半分がスマートフォンを持つことになる。市場単独での売り上げ目標は設定していないが、日本はエキサイティングで他国へのアピール性が高い市場。1年後には成果が出ているようにしたい」(ウェイド氏)

 それには日本国内でもBlackBerryの選択肢が広がることを期待したいが、ウェイド氏は慎重だ。

 「日本の消費者は、自身のライフスタイルやビジネスにもっとも適した製品を選択する。そのためテクノロジーに非常に目が利き、またデザインへの要求も大変厳しい。こうした市場では結果的にハイエンドモデルを投入することになる。また、ビジネス市場向けのタブレット導入については今後の可能性を探っていきたい」(ウェイド氏)

 またドコモ以外へのキャリア展開についても、「RIMは175カ国で600以上のキャリアとパートナーシップを結んでいる。なかでもドコモとのパートナーシップは歴史があり強固なもの。これを大切にしていきたい」(ウェイド氏)と否定した。

 BlackBerryのサービスについては、10月10日ころから欧州や米国で大規模な障害が発生した。日本を含むアジアでの影響はなかったが、ウェイド氏は「詳細な内容については公式な声明をもとにして欲しい。障害の中でもサポートし信頼を寄せてくださったユーザーには感謝を申し上げる。最高のインフラを提供することで、賢明にお応えしたい」とコメントした。

photo BlackBerryのアプリケーションマーケット「BlackBerry App World」

 障害へのおわびとして、全BlackBerryユーザーに対し100ドル相当の“プレミアムアプリ”が進呈される。プレミアムアプリは「SIMS 3 - Electronic ArtsBejeweled」「N.O.V.A」「Texas Hold’em Poker 2」「Bubble Bash 2」「Photo Editor Ultimate」「DriveSafe.ly Pro」「iSpeech Translator Pro」「Drive Safe.ly Enterprise」「Nobex Radio Premium」「Shazam Encore」「Vlingo Plus: Virtual Assistant」の13本が用意されており、今後さらに追加される予定。ダウンロード期間は10月19日から4週間となっている。

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