新UI、テンキー操作、新しいエコ技――スマホ普及期にシャープが追求する“安心感”開発陣に聞く「ISW16SH」「IS17SH」「IS15SH」(2/2 ページ)

» 2012年06月14日 16時43分 公開
[松山悠達(ゴーズ),ITmedia]
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徹底的に“ケータイ感覚”を追求した「AQUOS PHONE IS15SH」

photo シャープの北川氏

 IS15SHは、「AQUOS PHONE IS11SH」「AQUOS PHONE IS14SH」に続く、物理型テンキーを搭載するスライド形状のスマートフォン。SLはスライダー(SL=Slider)を意味する。「シャープが今年3月に独自調査を行ったところ、フィーチャーフォンのユーザーでスマートフォンへの移行を考えている人の約3割がテンキー付きモデルを選びたいと回答しました。そのためシャープとしては、キー付きのモデルには一定の需要があり、今後も市場として残っていくと考えています」と北川氏は言う。さらに、「グローバルメーカーがやらないのであれば、国内メーカーがやるしかない」と後藤氏もテンキー付きスマートフォンを投入する意義を話す。その結果、全キャリアの夏モデルで唯一、テンキーを採用するモデルがシャープから登場することとなった。従来モデルであるIS11SHとIS14SHのユーザーから挙がった要望や不満点を受け、IS15SHでは防水・防塵への対応やバッテリーの強化などの改良を図り、「さらにケータイ感覚で使える端末」(北川氏)に仕上げた。

 IS14SHではキー部分とキーシートが一体化した構造になっていたが、IS15SHではそれらを分離した構造を採用。「各キーが独立した構造になったため押しやすく、クリック感をより得られるようになりました」(北川氏)。使用頻度が高いセンターキーはしっかり凸感を出し、終話キーやテンキーのように横に並ぶ3つのキーはそれぞれの列で凸山の位置を変え、指がかりで区別できるようにした。キー面積も1.2倍に拡大した。さらにラウンドフォルムを採用し、スライド幅を2.4ミリ拡大した57ミリにすることで、重量バランスが良くなり持ちやすくなっている。

 キーレイアウトは、従来モデルでは別々に用意されていたバックキーとデリートキーを統合し、「ケータイでいうクリアキー」(北川氏)と同等の操作性を実現している。また、スライドを閉じた状態でも電源のオン/オフができるようにサイドキー側にも電源キーを設置。十字キーやテンキーなどにアプリを振り分け、長押しと短押しでアプリを即座に起動できる「ショートカット設定」は、設定できる場所を20カ所に増やした。「マナー」という文字とベールビューのマークをキーに印刷し、より分かりやすいビジュアルに仕上げるという細かい配慮も欠かさない。

photophoto バックキーとデリートキーが統合され、よりケータイに近い使い勝手を実現したIS15SHのキー(写真=左)。スライド幅が57ミリに増えたので、重量バランスが良くなっている
photophoto IS15SHではキーとキーシートを分離させ、各キーはIS14SHの1.2倍大きくなっている(写真=左)。左がIS15SH、右がIS14SH(写真=右)
photophoto 十字キーや左上/右上ソフトキーにショートカットを割り当てられる(写真=左)。テンキーの長押しで、アドレス帳へのアクセスも可能だ(写真=右)

テンキー向けに進化したアプリトップメニュー

 IS15SHでは独自UIとして、アプリが横3列、縦4列で構成された「アプリトップメニュー」をアプリトレイに用意。Feel UXを搭載しなかった理由について北川氏は「アプリトップメニューはアイコンの配列がケータイのメニュー画面と同様であり、ケータイで慣れ親しんだ画面構成で操作できます。そのためIS15SHの『ケータイ感覚で使えるモデル』というコンセプトに合致するUIとして採用しました」と説明する。アプリトップメニューは、アプリがカテゴリー別に分かれており、戸惑わずに目的のアプリにアクセスできるため、スマートフォン初心者でも安心して使えるのも採用理由の1つだという。

 アプリトップメニューにはテンキー仕様の機能が追加されている。アプリのカテゴリーとアプリそのものに数字が振られており、テンキーを押すことで特定のアプリを起動できるようになっている。例えば、「電話・メール」カテゴリーは1で、その中に収められた電話アプリが1だとすると、「11」と押すことで電話アプリを起動できる仕組みだ。「ケータイでおなじみの機能です。数字さえ覚えておけばアプリトップメニューを開いたあと素早くアプリを立ち上げられます」(北川氏)

photophotophotophoto アプリトレイのカテゴリーやアプリに割り当てられた番号から、テンキーで起動できる(写真=左端、左中)。アプリのアイコンはプリセットされている画像のほか、ギャラリーから任意の写真を設定できる(写真=右中、右端)

エコ技に気づいてもらうための工夫

 ISW16SH、IS17SH、IS15SHの3機種すべてが対応しているシャープ独自の省エネ機能「エコ技」も進化している。「エコ技は2011年秋冬モデルから搭載し、実際に利用しているユーザーからは高評価を得ていますが、まだ認知度が低いのが現状です。今季からは利便性に気づいてもらうための工夫を施しています」(福山氏)

 今までのエコ技の設定画面はモードを切り替えるだけのものだったが、新しいエコ技は節約した待受時間を表示し、バッテリーの減り具合をグラフで確認できるようになった。「この画面を見ることで省エネへの意識を持っていただけるのではないでしょうか」(福山氏)。省エネの効果を数字とグラフで確認できるため、節電のモチベーションを保つのにも一役買うだろう。バックグラウンドでの動作回数が多いアプリがあった場合、画面上部の通知バーで知らせてエコ技の設定を促す「省エネお知らせ」にも新たに対応した。

 大きく改良されたのが、画面消灯時にアプリの動作を制限できる「省エネ待受」機能だ。従来は、制限するように設定したアプリとしていないアプリが混合して設定画面に並んでいたが、今回からは別々の画面に分けて表示。制限する、しないがより選びやすくなっている。アプリの並び順は、動作しようとした回数の多い順になっている。ただし「回数が多いからといって消費電力が大きいとは限らない」(福山氏)ので、制限することで省エネ効果が高いとは一概にはいえないという。

 また、これまではユーザーがダウンロードしたアプリは無条件で制限していたが(後からオフにはできる)、SNS系のアプリなどは制限することで予期せぬ動作の不具合が起きてしまうことがあった。そこで夏モデルでは、省エネ待受設定直後には、ダウンロードしたアプリは制御されず、後から手動で制御できるようにした。加えて、省エネ待受の詳細画面で「制限することで意図せぬ動作の不具合が起きる場合があります」という旨がポップアップで通知されるようになった。新しいエコ技では“予期せぬ動作の不具合”は少なからず防げるはずだ。

photophotophoto 従来どおりウィジェットから「エコ技」を利用できる(写真=左)。エコ技によって節約できた待受時間や、ecoレベルが表示される(写真=中)。画面消灯時のアプリ動作を制限する「省エネ待受」(写真=右)
photophotophoto 省エネ待受の詳細画面に移行する前に、ポップアップが表示される(写真=左)。省エネ待受で制限するアプリと制限しないアプリを個別に設定できる(写真=中、右)

 スマートフォンの普及が進むにつれ、操作が分かりにくい、バッテリーが持たないといったユーザーの不満が多く聞こえるようになった。そうした声を聞いて、スマートフォンへの不安を募らせ、買い替えをためらっている人もいるだろう。使いやすさを追求したUIと改良を施したエコ技に対応するシャープのスマートフォン。NFCやメモリ液晶、テンキーといった独自仕様も魅力のKDDI向けの3機種からは「誰もが安心して長く使えるスマートフォンを作りたい」というシャープの想いが伝わってきた。

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