万能秘書はどのサービス?――「Siri」「しゃべってコンシェル」「音声アシスト」を徹底比較(3/3 ページ)

» 2012年08月10日 00時00分 公開
[房野麻子,ITmedia]
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いろんな質問をしてみた

 最後に、いろいろな質問や会話をして、どの程度対応してくれるのかを調べてみた。「スマートフォンって何?」「スカイツリーの高さを教えて」「世界で一番高いビルは?」「10日後は何曜日?」「去年プロ野球で優勝したチームは?」「ドコモの社長の名前は?」など、さまざまなタイプの質問をした。

 しゃべってコンシェルは、Wikipediaなどから引用したデータをダイレクトに表示した。ただし、「世界で一番高いビル」の質問の答えがニューヨークのパークロウビルと答えるなど間違いや、「10日後は何曜日?」という質問をエリアガイドで調べてしまうこともあった。それでも、比較的幅広い質問に対応でき、返答も安定感があった。

photophotophotophoto さまざまな質問をしてみたが、ダイレクトに応えてくれることが多いのが嬉しい。ただ、間違うこともある

 音声アシストもかなり健闘しているが、質問を理解できないと、「うまくお答えできません」となってしまったり、なぜかYahoo!ファイナンスで確認できると答えることがあった。ただ、「10日後は何曜日?」という質問に日付、曜日、六曜まできっちり返答するなど、ユニークな能力も持っている。なお、Siriはこの手の質問に直接返答することはなく、常にWeb検索を勧めてきた。

photophotophotophoto 音声アシストもかなりしっかりと返答してくるが(写真=左端、左中)、時折対応できない質問も(写真=右中)。質問の言葉自体は理解しているようなので、ちょっと不思議だ。「ソフトバンクの社長は?」という質問に、ソースを示さず「孫正義です」と断言するところはさすが(写真=右)
photophotophotophoto Siriは、対応できない質問に対してはひたすらWeb検索を勧めてくる

 この他に、「あなたは誰ですか?」「結婚してください」「眠いです」といったような“おしゃべり”もしてみた。この種のやり取りではSiriの気の利いた受け応えが話題になったが、他の2サービスも負けずになかなか面白い返答をしてくれている。強いていえば、しゃべってコンシェルが一番真面目な印象だ。

 一例をあげると、「結婚してください」という発言に対し、Siriは「まあすてき」と言いながら「なにかほかにお手伝いできることはありませんか?」とクールな対応。しゃべってコンシェルには「プロポーズの練習ですね」と、サラッと流されてしまった。音声アシストは「あなたにはもっといい人がいると思います!」と、気遣いを見せつつもきっぱり拒否。これ以外の受け応えも用意されていて、しばらく遊んで楽しめた。

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photophotophoto 「あなたは誰ですか?」「眠いです」といってみた場合の3サービスの反応の一部。しゃべってコンシェルは「あなたは誰ですか?」の質問にWikipediaで答える生真面目さを見せた

 以上、3つの音声認識アシスタントサービスを試してみたが、それぞれに得手不得手のジャンルがある。3サービスの傾向をまとめてみよう。

 Siriは自ら「バーチャルアシスタントです」と言うように、スケジュールを組んだりメールを口述筆記して送ったりするのが得意な“アメリカ人秘書”といったところ。日本事情に弱いのでWeb検索に頼るところがあり、日本語もたどたどしいが、iPhoneの内蔵アプリとの連携はスムースで素晴らしい。気分転換のおしゃべりにも付き合ってくれて、言葉はたどたどしくても、慣れてくるとそれが好ましく感じられるようになる。日本での生活に慣れてくれば知識も増え、乗り換え案内やエリアガイドもできるようになって、さらに優秀な秘書に成長してくれそうだ。

 しゃべってコンシェルは幅広い知識を持つ“物知り秘書”だ。日本生まれ、日本育ちで日本事情には当然強く、天気予報や乗換案内、エリアガイドが得意。メールの作成やスケジュール管理もそつなくこなすが、仕事の範囲をわきまえて、最後の送信や登録はユーザーに任せてくれる。幅広い知識を活用していろんな質問に答えてくれるが、インターネットで調べたものなので、たまに間違いがあるのはご愛嬌か。3サービスの中ではもっとも安定感を感じた万能秘書だが、さらにパワーアップしそうな予感も。そのうち給料アップを要求されるかもしれない。

 音声アシストは、なんといっても乗り換え案内に強い“鉄道マニア秘書”。経由駅を変えた場合のルートを素早く調べて教えてくれるのに感心した。さまざまな質問にも対応してくれるが、知識の幅広さではしゃべってコンシェルにやや劣る印象だ。ただ、分からないことを「ごめんなさい」と素直に認め、「がんばります」と非常に前向きなので、こちらはそう厳しくは怒れない。しかも、Yahoo!JAPANという大物がバックでサポートしているので、急成長も期待できそうだ。

 3サービスとも自然な言葉を理解する賢い音声認識機能を備えているが、うまく反応してくれない場合は、こちらも質問や命令の言葉を変えると、きちんと対応してくれる場合があった。例えば「◯◯は?」と聞くとWeb検索をうながされるが、「◯◯を教えて」と言うと直接教えてくれる、ということもあった。質問や命令の意図をはっきりさせると、しっかり反応してくれる可能性が高い。

 これらのサービスは、使えば使うほどにサービス側が学習し、データベースが改善されていく。各サービスの得意なジャンルは、「普段使って便利だと思うところ」まで至っていると感じた。これからさらに賢く進化し、将来はSFの中の秘書ロボット――まさに“アンドロイド”のようになってくれることを期待したい。

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