au版とソフトバンク版「iPhone 5」のバッテリー性能を比較する「iPhone 5」徹底レビュー(2/3 ページ)

» 2012年10月26日 23時04分 公開
[田中聡,ITmedia]

待機中の消費電力を約2日間にわたって記録

 次に気になるのが待受時の消費電力だ。上記と同じ設定で、満充電から放置して適時バッテリー残量をチェックした。10月23日の8時6分に開始し、25日の7時55分に終了。約2日間(46時間40分)にわたって(可能な限り)1時間ごとの残量を記録した。小刻みに残量を調べたいのと、実際の利用シーンに即した方がいいと考えたため、iPhone 5とiPhone 4Sを1カ所に置きっぱなしにするのではなく、移動時には携帯した。筆者の行動範囲には地下鉄など両社のLTE圏外の場所も含まれるため、3G通信時の消費電力も反映されるわけだ。とはいえ、多くの時間を自宅か会社で過ごしているので、これら2つの場所の通信環境が大きなカギを握る。言い換えれば、場所によって待機電力は大きく変わる可能性があるので、今回はあくまで1つのケースとして参考にしてほしい。

 自宅(東京都江東区)は、たまに3Gに切り替わることがあるが、基本的にLTEは圏内。通信も速い。「RBB TODAY SPEED TEST」アプリで10月25日9時50分ごろに3回計測したところ、au版iPhone 5が下り10.67/11.9/10.38Mbps、上り7.63/7.75/7.76Mbps、ソフトバンク版iPhone 5が下り21.99/26.83/26.55Mbps、上り8.61/8.42/8.43Mbpsだった。

 会社(東京都港区赤坂)は4G LTEとSoftBank 4G LTEいずれも入ったり入らなかったりする微妙な環境で、SoftBank 4G LTEの方が3Gに切り替わる頻度が高い。なお、端末を机に寝かせておくと、2機種とも3Gに切り替わることが多いが、(底面を下にして)端末を立てるとLTE電波をキャッチしやすくなる。これは机が金属製で、電波が干渉したせいかもしれない。ともあれ、LTE端末にとっては負荷の大きい環境と言えそうだ。通信速度は「RBB TODAY SPEED TEST」アプリで10月26日16時〜19時ごろに3回計測したところ、au版iPhone 5が下り6.96/5.3/5.43Mbps、上り5.4/5.89/7.28Mbps、ソフトバンク版iPhone 5が下り5.7/3.23/4.42Mbps、上りが1.11/0.19/0.36Mbpsで、3Gと同じかやや速いという印象だ。

photophoto 会社では机にiPhone 5を寝かせて置くと(写真=左)、LTEから3Gに切り替わりやすくなるので、このように立てながら放置した(写真=右)

 では2日間の様子を見ていこう。初日の23日は11時からシャープ(東京都港区芝浦)で取材があったので、自宅から直行した。取材が終了して13時から会社に向かって移動し、青山一丁目駅の地下で昼食をとった後、13時43分に帰社した。この間、地上はソフトバンクとauともにほぼLTE圏内。地下鉄での移動中は、auがホームではLTE圏内となることがあった。13時43分の時点のバッテリー残量はiPhone 5は2機種とも97%で互角。帰社してから最初の1時間はLTEの電波をつかまず、1時間でau版が4%、ソフトバンク版が3%も減ってしまったが、端末を机に立てておいてからLTE電波をつかみ、以降は1〜2時間に1%減るのみ。22時43分の時点でau版が89%、ソフトバンク版が88%でほぼ互角のまま。

 変化が起きたのは帰宅してから。就寝前の2時7分と起床後の7時43分の残量を確認したところ、au版の84%→82%で2%しか減らなかったのに対し、ソフトバンク版は82%→70%で12%も減った。ソフトバンク版は1時間で約2.1%減っている計算で、他の時間帯よりも多く消費していた。この24日の日中も、自宅(昼まで)、移動中、社内は1〜2時間に1%減るのみだったが、就寝前の25日1時54分から起床後の7時55分まではau版が64%→62%、ソフトバンク版が52%→39%と差が出た。夜中〜明け方のみ差が開いたのはなぜだろう。この間のみSoftBank 4G LTEが3Gに切り替わってLTE電波を頻繁に探していた、といった可能性も否定はできない。

※初出時に「ソフトバンク版は82%→70%で8%も減った。ソフトバンク版は1時間で1〜2%減っている計算」と記述していましたが、正しくは「ソフトバンク版は82%→70%で12%も減った。ソフトバンク版は1時間で約2%減っている計算」です。お詫びして訂正いたします(10/27 15:56)

 あるいは、就寝中にディスプレイをまったく点灯させなかったことが関係しているのかもしれない(その他の時間帯は、残量確認のために何度かディスプレイを点灯させていた)。つまり今回のテストで日中も長時間スリープ状態にしていれば、au版iPhone 5はさらにバッテリーが持ったのでは? ということ。真相は分からないが、今回のテストではau版iPhone 5の方がバッテリーの持ちが安定していた。

photophoto 25日1時54分〜7時55分のバッテリー残量は、au版iPhone 5が64%→62%で2%しか減らなかったのに対し、ソフトバンク版iPhone 5は52%→39%で13%減った

 テスト終了時のバッテリー残量はau版iPhone 5が62%、ソフトバンク版iPhone 5が39%、au版iPhone 4Sが70%、ソフトバンク版iPhone 4Sが79%。au版のiPhone 5と4Sの差は8%で大差はついていない。これはau版iPhone 5ユーザーにとって好材料だろう。ソフトバンク版iPhone 4Sが79%でau版iPhone 4Sより9%持ったのは、緊急速報をオフにしていたことの差分と考えられる。

待受時のバッテリー消費量(iPhone 5 LTEオン時)
iPhone 5(au) iPhone 5(ソフトバンク) iPhone 4S(au) iPhone 4S(ソフトバンク)
時間 場所 バッテリー残量(%) 通信状況 バッテリー残量(%) 通信状況 バッテリー残量(%)
10/23 9:06 自宅 100 LTE 100 LTE 100 100
10:08 移動 100 LTEまたは3G 100 LTEまたは3G 100 100
10:45 シャープ 記録なし LTE 記録なし LTE 記録なし 記録なし
12:35 100 LTE 99 LTE 100 100
12:57 移動開始 99 3G 記録なし 3G 記録なし 記録なし
13:20 青山一丁目で昼食 記録なし 3G 記録なし 3G 記録なし 記録なし
13:43 会社 97 3G 97 3G 99 100
14:43 93 LTE 94 LTE 100 97
15:43 92 LTE 94 LTE 97 99
16:43 92 LTE 93 LTE 96 99
17:43 91 LTE 92 3G 95 98
18:43 91 LTE 91 LTE 95 98
19:43 90 LTE 90 LTE 94 97
20:43 90 LTE 90 LTE 94 97
21:43 89 LTE 89 LTE 93 96
22:43 89 LTE 88 LTE 93 96
23:00 移動 記録なし LTEまたは3G 記録なし LTEまたは3G 記録なし 記録なし
10/24 0:43 自宅 86 LTE 85 LTE 91 95
2:07 84 LTE 82 LTE 90 93
7:43 82 LTE 70 LTE 87 92
9:18 81 LTE 70 LTE 86 91
10:18 81 LTE 69 LTE 86 90
11:18 80 LTE 68 LTE 85 90
12:07 移動 79 LTEまたは3G 67 LTEまたは3G 84 89
12:54 赤坂 78 LTE 65 LTE 83 89
14:00 移動 記録なし LTEまたは3G 記録なし LTEまたは3G 記録なし 記録なし
14:30 会社 75 LTE 63 LTE 81 88
15:30 75 LTE 62 LTE 81 87
16:30 73 LTE 60 LTE 80 86
17:30 72 LTE 59 LTE 79 84
18:30 72 LTE 58 LTE 79 84
19:30 71 LTE 58 LTE 78 84
20:38 71 LTE 57 LTE 77 84
21:30 70 LTE 56 LTE 77 84
22:30 70 LTE 56 LTE 76 83
23:30 移動 69 LTEまたは3G 56 LTEまたは3G 76 83
10/25 0:51 自宅 68 LTE 54 LTE 73 82
1:54 64 LTE 52 LTE 73 81
7:55 62 LTE 39 LTE 70 79
iPhone 5(au) iPhone 5(ソフトバンク) iPhone 4S(au) iPhone 4S(ソフトバンク)
※ソフトバンク版iPhone 4Sのみ緊急速報はオフのまま。
photo 待受時のバッテリー消費量(iPhone 5 LTEオン時)。条件が平等でなかったため、ソフトバンク版iPhone 4Sは除外した

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