誰もが簡単・快適に使いこなせる――「Xperia VL SOL21」に込めた“シンプル”開発陣に聞く「Xperia VL SOL21」(2/2 ページ)

» 2012年12月26日 18時00分 公開
[田中聡,ITmedia]
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難しい設定不要できれいな写真を撮れるカメラの新機能

photo 下村氏

 カメラについては「プレミアムおまかせオート」と「ピクチャーエフェクト」を取り入れたことが新たなトピックだ。

 プレミアムおまかせオートは従来の「シーン認識」を進化させたもの。明暗に差がある環境では2枚の写真を合成して白飛びや黒つぶれを抑える逆光補正HDRと、明かりの少ない場所で最大4枚の画像を合成して最適な画像を残す機能など、計9つのモードが自動で適用される。カメラアプリ担当の下村氏は「今までのXperiaでは、1枚を撮って、その1枚をどうきれいにするかに注力していましたが、今回は複数枚を撮って1枚を合成した方がきれいになると考え、新しい技術を入れました」と説明する。

 HDR撮影ができるスマートフォンは最近増えているが、プレミアムおまかせオートでは、わざわざHDR撮影をオンにする必要がないのが利点だ。「HDRがオンかオフかを気にしながら撮影するのは、使い勝手としてはどうかと思います。難しいことは何も気にせず、ただシャッターを切れば、きれいに撮れることが大事だと思っています」(下村氏)

photophoto 「プレミアムおまかせオート」のアイコンは、プレミアム感を出すためにゴールドになっている(写真=左)。撮影環境に応じて自動でモードが変わる。写真では「マクロ」撮影が可能になっている(写真=右)
photo 9つのエフェクトをリアルタイムで一覧できる「ピクチャーエフェクト」

 ピクチャーエフェクトでは、「ノスタルジック」「ミニチュア」「カラフル」「フィルター」「魚眼レンズ」「スケッチ」「パートカラー」「ハリスシャッター」「万華鏡」といった9つのエフェクトのプレビューがサムネイル表示される。気に入ったエフェクトをサムネイルから選ぶだけで、その効果のかかった撮影画面に移る。「リアルタイムでエフェクトがかかるのを見せて、何が撮れるのかを分かったうえで、シャッターを切ってもらうのが一番大事だと考えました。設定の手間も省けます」と下村氏は意図を説明する。「1枚エフェクトをかけるのに10秒かかるのはさすがにどうか」(同氏)と考え、9つのエフェクトが瞬時にプレビューできるようこだわった。このピクチャーエフェクトは、サイバーショットに搭載していたものではなく、Xperia用に新規で開発したものだという。

 ほかの機種ではあまり見られないのが、画面をタップした部分にだけ色が付く「パートカラー」だ。ほかの部分はモノクロになるので、「ここを強調したい!」といった写真を撮るときに効果的だ。

photophoto 画面をタップしたところのみ色が付く「パートカラー」

 下村氏が“隠し機能”として紹介してくれたのが、ピクチャーエフェクトのサムネイルが表示された状態で、音量調節キー(2つのうちどちらでもOK)を押すと、このサムネイル自体の写真を撮れること。「最初は入れる予定がなかったのですが、最初に9枚のサムネイル画面を作ったときに、この画面を撮影できるといいねという話が出ました。サイズは1Mピクセルほどになります」と下村氏。スクリーンショットでも代用できそうだが、音量調節キーから撮ると、オートフォーカスが動作するほか、画面上にある各エフェクトの文字が消える。ちょっとしたお遊び機能として活用できそうだ。

photo 音量キーを押すと、サムネイル画面を撮影できる

 最近はきれいな自分撮りや高度な連写機能を打ち出しているスマートフォンも増えているが、ソニーモバイルとしてはどう考えているのだろうか。自分撮りについては「顔認識をして笑顔を検出するスマイルシャッター機能を用意しています」(下村氏)とのこと。インカメラは約31万画素CMOSと物足りないので、インカメラの画素数アップや裏面照射型CMOSセンサーの採用などにも期待したい。

 連写については、機能として別途用意しているわけではないが、画面上のシャッターアイコンを連打すると、約0.3秒の間隔で連続撮影ができる。「連写の設定をオン/オフにすればいいのでは? という話も最初に出ましたが、いちいち変えるだろうかと。撮影間隔を短くして、ユーザーが撮りたいと思った瞬間に撮れるようにしています」と下村氏は話す。

 「薄さを重視したため」(松村氏)専用のシャッターキーは搭載していないが、ロック解除画面からワンタッチでカメラ起動+撮影ができる「クイック起動」を継承しているので、これを活用することで、画面のシャッターアイコンをタップしてブレてしまうことは防げる。Xperia VLのクイック起動では、新たに動画の起動と撮影も可能になった。最近は専用のシャッターキーを備えない代わりに音量調節キーでシャッターを切れる機種もあるが、「隠し機能っぽくなってしまう」(下村氏)ため、あえてシャッター機能は割り当てていない。


 スマートフォンのスペックが高く機能がてんこ盛りでも、それらを多くのユーザーが使いこなせないようでは宝の持ち腐れだ。Xperia VLの取材中によく聞かれた言葉が「幅広い方に使っていただきたい」。VLでは、スマホ初心者でも迷うことなく使ってもらえるための工夫が随所に散りばめられている。カタログに目立って記載されるものではないが、スマホが普及している今、Xperia VLのような簡単・快適に使ってもらうための取り組みは、ますます重要になってくるだろう。

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