現在、Doovのラインアップは、スマートフォン中心へ完全に移行した。スマートフォンの製品ブランドは「Eva」で、女性向けのアプリを多数用意するなど、競合メーカーモデルとの差別化をソフトウェアでも図っている。Doovのスマートフォンが一貫して強化しているのが、インカメラの性能だ。Doovは最新モデルに搭載しているインカメラを「第6世代カメラ」と呼んで訴求している。
メインカメラは、すでに1300万画素の高画質モデルが多くのスマートフォンメーカーから登場しているが、女性ユーザーを重視するDoovでは、インカメラで差別化を図っている。Evaシリーズでは、有効500万画素のインカメラを搭載しただけでなく、肌の色が美しく仕上がる画像の自動補正機能などを導入している。スマートフォンのディスプレイを見ながら自分撮りを楽しもう、というプロモーションも展開するなど、Doovにとってインカメラは重要な訴求ポイントだ。
さて、Doovが間もなく発売を予定しているフラッグシップモデル「i-Super S1」は、従来のEvaブランドより上位に位置する製品だ。クアッドコアで動作クロックが1.5GHzプロセッサーに、4.5インチで解像度が960×540ピクセルのディスプレイ、そして、有効800万画素のメインカメラと、有効500万画素のインカメラを搭載する。本体サイズは、66(幅)×134.5(高さ)×8.8(厚さ)ミリで、本体のカラーバリエーションに3色を用意する予定だ。
競合するハイエンドスマートフォンと比較すると、ディスプレイサイズや解像度をはじめとしてスペックは控えめなものの、デザインやカラーリング、そして、自分を美しく撮影できるインカメラと充実した専用アプリなど、女性ユーザーの需要を優先した製品になることは間違いなさそうだ。
Doovは、爆発的なヒットモデルを生み出すほど市場に大きな影響力を与えていないものの、今では量販店のみならず通信事業者も製品を扱うようになっている。また、ファッション誌に広告を出すなどして中国の女性ユーザーに対するブランドの浸透も図っている。Doovの成功に追従して、また、競合との製品差別化のために女性向けを意識した製品を投入するメーカーがここにきて急増中だ。
元々はDVDや音楽プレーヤー、教育向けIT機器を手がけていた広東省の歩歩高は、自社ブランドでフィーチャーフォンを製造していた。だが、スマートフォン市場に参入するタイミングでイメージを一新するため、新しく“Vivo”というブランドを立ち上げた。2011年に投入した最初のモデル「Vivo V1」は動作クロックが800MHzのプロセッサーに、3.5インチQVGAディスプレイという売れ筋の価格帯に向けた普及モデルで、女性を意識した本体デザインや広告で話題となった。
現在、VivoのスマートフォンはハイエンドのXシリーズからカジュアルなYシリーズまで4系統のラインアップをそろえている。V1の流れをくむ女性向けモデルはSシリーズとしてVivoの中核になっている。Vivoは、高音質高画質を特徴としたAV機能を重視したスマートフォン「Vivo Xplay」を間もなく発売するが、このほかのラインアップは別な機会で紹介する予定だ。
ファッショナブルな色使いや女性向けアプリを搭載した女性向けスマートフォンは、今や大手のLenovoから中小メーカーまでもが手がける大きな市場となっている。とはいえ製品の数はスマートフォン全体から見ればまだまだ少なく、今後も製品は増えていくだろう。
日本で販売している女性を意識したスマートフォンも、この状況の中であれば中国の女性層に受け入れられる可能性は十分にあるのではないだろうか。スマートフォンが日用品になった今、単純なスペック競争で勝負を挑むのは難しい。優れたデザインのモデルを擁する日本メーカーにも中国市場で再挑戦するチャンスがやってきたといえるのではないだろうか。
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