データ通信量の「追加」「管理」「節約」について理解するはじめての格安SIM&SIMフリースマホ 第10回

» 2014年05月30日 23時10分 公開
[石野純也,ITmedia]

データ通信の容量追加にはいくらかかる?

 900円台と破格の値段を打ち出すMVNOの「格安SIM」だが、本連載でもたびたび触れているように、安さには秘密がある。端的に言うと、ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの回線を貸し出しているキャリア(MNO)よりも、利用可能な通信量が抑えられている。900円台の価格を打ち出すサービスは、おおむね1Gバイト程度までしか利用できない。

 もちろん、多くのMVNOのサービスでは、1Gバイトを超えても通信がピタリと止まってしまうことはない。200Kbps前後に速度が制限されるのが一般的で、この仕組みはMNOとほぼ同じだ。制限後の速度については、MNOより速いところも少なくない。また、制限がかかった後でも、データ量を追加で購入できるシステムを整えているMVNOがほとんどだ。例えば、BIGLOBEでは追加のデータ量を100Mバイトあたり300円(税別、以下同)で購入できる。日本通信も同様の仕組みで、「X SIM」の場合、100Mバイトを300円で、500Mバイトを1200円で購入できる。

主なMVNOの追加用データ料金(税別)
データ量 料金
BIGLOBE 100Mバイト 300円
日本通信 100Mバイト 300円
500Mバイト 1200円
IIJ 100Mバイト 300円

 これらと少し違った切り口のサービスを用意しているのがIIJ。同社の場合は、通常時の速度が下り最大200Kbpsとなっているが、高速クーポンで自由に速度を上げることができる。大容量のデータをダウンロードするなど、必要なときだけクーポンを使えばいいというわけだ。月額900円の「ミニマムスタートプラン」には、1Gバイトのクーポンが付属している。追加のデータ量が必要になったときは、100Mバイトあたり300円だ。こちらの方が、必要なときだけ高速通信を使えるので、データ量を節約しながら利用できるはずだ。

photo IIJでは、「みおぽん(IIJクーポンスイッチ)」と呼ばれるアプリでクーポンを適用するかどうかを選択できる

 ただし、追加でデータ量を購入するよりは、あらかじめデータ量の大きなプランを選んだ方が、結果として安くつく。自分の使い方をきっちり把握することが、MVNOで得をするための近道といえるだろう。あらかじめ想定していたデータ量を上回ってしまわないよう、管理する設定方法も覚えておきたい。

データ通信量を確認するには?

 Androidでは、バージョン4.0から「データ使用量」という機能が利用できる。機種によっては、「データ使用」など、若干名前が異なっているが、機能はほぼ同じだ。ここでは、日付の範囲を指定して、自分がどのくらいのデータ通信を利用したかをグラフと数値で確認できる。アプリごとのデータ量も表示されるため、節約にもうってつけだ。また、あらかじめ設定したデータ量を超えると、警告を表示したり、データ通信を止めたりといった設定も行える。

photophotophoto 「設定」の「データ使用量」で、どの程度データを使ったを確認できる。グラフの周期は、変更することも可能。アプリごとのデータ通信量も表示される

 スマートフォンは操作していない間に、自動で通信をすることがあり、便利な半面、利用するデータ量が読みにくいのが欠点だ。Androidのデータ使用量では、こうしたバックグラウンドデータ通信も制限できる。全体で制限できるのはもちろん、アプリごとに制限をかけることも可能だ。例えば、メールはそれほどデータが大きくないため、常に受信できるようにしておき、アプリの自動ダウンロードだけは止めるといった設定にも対応する。

photo バックグラウンドでアプリが自動的に通信しないよう、制限をかけることが可能だ

 iPhoneにも同様に、データの利用量を記録しておく機能がある。ただし、こちらはAndroidほど詳細には表示されず、確認できるのは使い始めてからの積算データ量のみ。毎月、月が替わったら必ずリセットするようにしておきたい。iPhoneもAndroidと同様、バックグラウンドで通信することがあり、これを止める設定も用意されている。「設定」から「一般」を開き、「Appのバックグラウンド更新」でスイッチを切っておけばOKだ。

photophoto iPhoneの場合、データ通信量は積算でしか表示されないので、少々不便。バックグラウンドでの通信を制限することは可能

 なお、日本通信の「My b-mobile」やAndroidアプリ「bCharge」ではデータ通信の残量、IIJの「みおぽん」ではクーポンの残量やデータ通信量を確認できる。

Wi-Fiも効果的に活用しよう

 MVNOのSIMを割安で済ませるには、Wi-Fiの活用が大前提となる。BIGLOBEのように、Wi-Fiスポットの利用料が料金プランに含まれている場合は、対応している場所でなるべくそちらにデータ通信を逃すようにしたい。また、IIJも、ビックカメラなどで購入すれば「Wi2 300」のWi-Fiスポットを利用できる。

photo BIGLOBEは3G、LTEとWi-Fiを自動で使い分ける「オートコネクト」というアプリを用意しており、データ量を節約しやすい

 IIJのように、クーポンのオン/オフを自分で設定できるようなSIMカードの場合は、先に述べたように「ここぞ」というときだけオンにすれば、月1Gバイトに収めることはできるだろう。いくら格安SIMとはいえ、使い放題で安いわけではない。安く収めるには、ある程度の工夫も必要になるのだ。

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