カメラ機能で「MENU」をタップすると、撮影モードとカメラ設定を行う画面になる。普通のスマホカメラは撮影モード切替とカメラ設定は別々のメニューに収まっているが、F-05Fについてはそれは当たらない。機能がシンプルなので1画面で済んじゃうのだ。
撮影モードは5つだが、QRコードはカメラ機能というわけじゃないので、残るは4つ。最近、静止画撮影モードに「静止画用シャッター」と「動画用録画ボタン」を並べて1つの画面でどちらでも撮れるのが主流だが、F-05Fはそれぞれが別モード。通常の静止画撮影モードで撮影ボタンを長押しすると連写が始まるって機能も主流になりつつあるが、F-05Fはそれも別モード。
って考えるとすごく少ないのだ。静止画モード時のカメラ設定もこれだけ。そのほかには何があるかというと、グリッド表示やタッチシャッター、保存先の設定、位置情報のオン/オフだけだ。
多くのスマホが搭載する、ホワイトバランス、ISO感度、露出補正といった機能はなし。シーンモードもなし。iPhone並みにシンプルなのだ。思い切ったことをするもんだなと感心する。
えっと、スマホの場合、「どの機能を使ってどう撮ろうかな」とセットしてるヒマがあるなら、撮りたいときにさくっと撮っちゃえ、っていうのが基本なので、潔く機能をバサッと削っちゃうのは悪いことじゃないのだ。機能がシンプルな方が操作ミスも減るしね。
でも露出補正がないのはちょっとアレだよな、と思って、タッチAFが露出補正を兼ねてないかとチェックしてみた。iPhoneはタッチした場所に露出(つまり明るさ)を合わせてくれるから。
同じシーンで、明るいところと暗いところでタッチAFしてみた。微妙に差が出るのが分かるかと思う。微妙なのだけれども、多少は使えそうだ。
静止画撮影時の唯一の機能といえるのがHDR。明るさを変えながら複数枚連写して合成することで、ダイナミックレンジの広い写真を作る手法。
HDRはかなりしっかりと効果のほどが分かる。
オフでは白飛びしていた階段がオンだとしっかり写っている。ただ、ちょっとメリハリはなくなる。
連写したいときは連写モードにする。
撮影ボタン長押しで連写になる。連写時の最高画像サイズは約5M。最大画像サイズの約4分の1。連写速度は約秒5枚だ(5Mサイズ時)。
連写モードに切り替える手間はあるが、実用性はある。動画は4KではなくフルHD。動画モードでは静止画ボタンも付いていて、動画の撮影中に静止画を撮ることもできる。
パノラマはいわゆるスイングパノラマ式で、カメラを持って回転して撮る方法。180度プラスαくらいの感じで撮れる。
パノラマ撮影時は最初の1枚に露出を固定する製品が多い中、F-05Fはその都度露出を見ているので、うまくいくときはきれいに撮れるし、逆のこともある。
ただ、縦方向が896ピクセル止まりなのはちょっと残念。
感心したのは撮影と再生の行き来。たいていのスマホは、カメラ画面の隅に「直前に撮った1枚」のサムネイルが表示されてて、それをタップすると再生アプリに写る。F-05Fはちょっと違う。そのサムネイルがないのだ。その代わりこんなことを言われる。
さらに写真を撮ると、撮った画像が小さくなって画面の右に消えていくようなアニメーションが表示される。
そこで右から左にフリックしてやると、すっと最後に撮った写真が現れるのだ。
そして再生モードでさらにフリックすると撮った写真をめくっていって見ることができる。再生時に2本指でしゅっと縮小してやると、フィルムストリップ表示モードになる。
このとき、不要な写真を「下方向」へドラッグするとゴミ箱アイコンが出てくるので、それに重ねてやると写真をさっと消せる。
また、撮影に戻りたいときは逆方向にフリックしていけばいいのだ。これは慣れるとなかなか快適。行ったり来たりが快適って大事だ。
カメラ機能はシンプルだが、その分、編集機能には力が入っている。「まずさくっとシンプルに撮って、そのあとで調整しましょう」といわんばかりであり、スマホの場合、そのアプローチは非常に正しいと思う。編集には、デジタルフィルタやフレーム、色の調整や回転など、基本的な機能が詰まっているので日常の利用にはこれで十分だ。
以上だ。
2070万画素のイメージセンサーを入れたらあれこれ目立つ機能を付けたくなりそうなもんだし、一応凝った撮影をしたい人のことを考えて、ホワイトバランスとかISO感度とか露出補正といった、マニュアル系の機能も入れたくなりそうなものなんだけど、あえてそれをせず、シンプルな構成にしたのはすごい。
それで画質が悪かったらしょうがないけど、今回使った限りではフルオートがけっこう頑張っていて、大きく破綻することもなかった。だから、機能がシンプルだから性能も低いってことはないのだ。そこは大事。
その分、再生時の編集機能が充実しているのはいい。ややこしい機能があっても使わないし、逆に操作を間違って変なセッティングになったらイヤだ、って人には最適のカメラではないかと思う。
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