驚くほどシンプルで画質もいい感じ――「ARROWS NX F-05F」のカメラを試す荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(2/2 ページ)

» 2014年06月26日 00時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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超シンプルなカメラ機能は撮影モードが5つだけ

photo 撮影時のメニュー画面。たったこれだけ

 カメラ機能で「MENU」をタップすると、撮影モードとカメラ設定を行う画面になる。普通のスマホカメラは撮影モード切替とカメラ設定は別々のメニューに収まっているが、F-05Fについてはそれは当たらない。機能がシンプルなので1画面で済んじゃうのだ。

 撮影モードは5つだが、QRコードはカメラ機能というわけじゃないので、残るは4つ。最近、静止画撮影モードに「静止画用シャッター」と「動画用録画ボタン」を並べて1つの画面でどちらでも撮れるのが主流だが、F-05Fはそれぞれが別モード。通常の静止画撮影モードで撮影ボタンを長押しすると連写が始まるって機能も主流になりつつあるが、F-05Fはそれも別モード。

 って考えるとすごく少ないのだ。静止画モード時のカメラ設定もこれだけ。そのほかには何があるかというと、グリッド表示やタッチシャッター、保存先の設定、位置情報のオン/オフだけだ。

 多くのスマホが搭載する、ホワイトバランス、ISO感度、露出補正といった機能はなし。シーンモードもなし。iPhone並みにシンプルなのだ。思い切ったことをするもんだなと感心する。

 えっと、スマホの場合、「どの機能を使ってどう撮ろうかな」とセットしてるヒマがあるなら、撮りたいときにさくっと撮っちゃえ、っていうのが基本なので、潔く機能をバサッと削っちゃうのは悪いことじゃないのだ。機能がシンプルな方が操作ミスも減るしね。

 でも露出補正がないのはちょっとアレだよな、と思って、タッチAFが露出補正を兼ねてないかとチェックしてみた。iPhoneはタッチした場所に露出(つまり明るさ)を合わせてくれるから。

photophoto

 同じシーンで、明るいところと暗いところでタッチAFしてみた。微妙に差が出るのが分かるかと思う。微妙なのだけれども、多少は使えそうだ。

 静止画撮影時の唯一の機能といえるのがHDR。明るさを変えながら複数枚連写して合成することで、ダイナミックレンジの広い写真を作る手法。

photo HDRをオンにするとフォトライトでの撮影はできません、って言われるが、そこは問題なし。

 HDRはかなりしっかりと効果のほどが分かる。

photophoto HDRオン(写真=左)とオフ(写真=右)

 オフでは白飛びしていた階段がオンだとしっかり写っている。ただ、ちょっとメリハリはなくなる。

photo あずまや写真のHDR版。白飛びしてた青空と、暗く沈んでいたシャドウ部が復活したのが分かる。でも葉っぱをよく見ると、わずかな風で揺らいだ分が不自然になっている

 連写したいときは連写モードにする。

photo 連写モード時は撮影ボタンが連写の絵になる。ボタンの長押しを

 撮影ボタン長押しで連写になる。連写時の最高画像サイズは約5M。最大画像サイズの約4分の1。連写速度は約秒5枚だ(5Mサイズ時)。

photophoto 秒5枚の連写写真(写真=左)。連写した中から決定的瞬間を選んでみた(写真=右)

 連写モードに切り替える手間はあるが、実用性はある。動画は4KではなくフルHD。動画モードでは静止画ボタンも付いていて、動画の撮影中に静止画を撮ることもできる。

池にいた白鳥を撮っていたら……指をかまれたの図。かまれる瞬間まで写っております
走る馬をフルHDで
photo 動画中に撮った静止画。フルHDサイズ(1920×1080ピクセル)になる

 パノラマはいわゆるスイングパノラマ式で、カメラを持って回転して撮る方法。180度プラスαくらいの感じで撮れる。

photo

 パノラマ撮影時は最初の1枚に露出を固定する製品が多い中、F-05Fはその都度露出を見ているので、うまくいくときはきれいに撮れるし、逆のこともある。

photo

 ただ、縦方向が896ピクセル止まりなのはちょっと残念。

撮影と再生の行き来はスムーズでモダン

 感心したのは撮影と再生の行き来。たいていのスマホは、カメラ画面の隅に「直前に撮った1枚」のサムネイルが表示されてて、それをタップすると再生アプリに写る。F-05Fはちょっと違う。そのサムネイルがないのだ。その代わりこんなことを言われる。

photo 画面をフリックすると再生モードになるのだ

 さらに写真を撮ると、撮った画像が小さくなって画面の右に消えていくようなアニメーションが表示される。

photo 撮った瞬間。右に写真が消えていく

 そこで右から左にフリックしてやると、すっと最後に撮った写真が現れるのだ。

photo フリックしている最中の画面。左端は撮影モードの画面で、写真だと分からないけど、絵が動いております

 そして再生モードでさらにフリックすると撮った写真をめくっていって見ることができる。再生時に2本指でしゅっと縮小してやると、フィルムストリップ表示モードになる。

photo フィルムストリップ表示モード

 このとき、不要な写真を「下方向」へドラッグするとゴミ箱アイコンが出てくるので、それに重ねてやると写真をさっと消せる。

photo その場で削除もOK

 また、撮影に戻りたいときは逆方向にフリックしていけばいいのだ。これは慣れるとなかなか快適。行ったり来たりが快適って大事だ。

 カメラ機能はシンプルだが、その分、編集機能には力が入っている。「まずさくっとシンプルに撮って、そのあとで調整しましょう」といわんばかりであり、スマホの場合、そのアプローチは非常に正しいと思う。編集には、デジタルフィルタやフレーム、色の調整や回転など、基本的な機能が詰まっているので日常の利用にはこれで十分だ。

photophoto
photophoto フィルタ、フレーム、回転やトリミングや変形、明るさや色の調整と4つのグループに分かれている。フォトレタッチ機能としてはかなり優秀
photo 編集した写真

 以上だ。

 2070万画素のイメージセンサーを入れたらあれこれ目立つ機能を付けたくなりそうなもんだし、一応凝った撮影をしたい人のことを考えて、ホワイトバランスとかISO感度とか露出補正といった、マニュアル系の機能も入れたくなりそうなものなんだけど、あえてそれをせず、シンプルな構成にしたのはすごい。

 それで画質が悪かったらしょうがないけど、今回使った限りではフルオートがけっこう頑張っていて、大きく破綻することもなかった。だから、機能がシンプルだから性能も低いってことはないのだ。そこは大事。

 その分、再生時の編集機能が充実しているのはいい。ややこしい機能があっても使わないし、逆に操作を間違って変なセッティングになったらイヤだ、って人には最適のカメラではないかと思う。

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