iPhone 6/6 Plusが発売されて1週間が経過した。最初の3日間で1000万台を突破するなど、去年に比べ、売り上げが絶好調だと報じられている。
しかし、去年は極度の在庫不足で満足に行き渡らなかったこともあり、一方で今年はiPhone 6においては在庫が潤沢にあることを考えると単純には比較できないだろう。また、日本国内でも、BCNが「昨年に比べて1.5倍も売れている」という調査データを明らかにした。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年9月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
しかし、昨年はNTTドコモがiPhoneの取り扱いを始めたが、当初は一部、店舗に限られるなどの制限もあったことを考慮しなくてはいけない。
だが、NTTドコモではないキャリア関係者に話を聞くと「去年に比べて、かなり出ている」というだけに、実際のところ相当数、売れているようだ。
とはいうものの、その内訳を見てみると、MNPによる動きは少なく、機種変更の需要が高いという。MNPではキャッシュバックがなくなったこともあり、キャリアを乗り換える意欲が失われているようだ。一方で、下取りの金額が増されたことで、機種変更による買い換えが促進されていると思われる。
iPhone 6/6 Plus発売以降、「ズボンのポケットに入れておくと曲がる」といった指摘や、iOS8のアップデート不具合など、どちらかといえばネガティブな情報が駆け巡っている。
しかし、そうした情報に対し、アップルが俊敏に対応しているのが、とても驚きだ。
例えば「本体が曲がる」という話題に対しては、アメリカの一部メディアをクパチーノの社屋に招き入れ、iPhoneにおける耐性試験の様子を動画に撮らせて、公開させている。
クパチーノの社屋と言えば、取材に行っても「取材で中に入ったことも公言してはならない」と注意があるほど、情報公開に厳しいとされている。
今回、アップル広報が、そうした情報規制を解除してまで、メディアを社屋に入れて、耐性試験の様子を公開したということは、よほど「本体が曲がる」という報道に納得がいかなかったのだろう。
iOS8についても、8.0.1で電波が掴まないという不具合が明らかになると、翌日には8.0.2を公開した。電話としての機能を失うという致命的な不具合であるため、即日の対応は当たり前のことなのだが、今回のアップルはかなりフットワークが軽いように感じた。
昔であれば、iPhoneユーザーは限られており、今回のようなトラブルが起こっても、ダメージは小さかったかも知れない。
しかし、いまのiPhoneは、一般的な人が持つ「普通のもの」となってしまった。しかも、いまでは誰もが簡単にiOSのアップデートができるため、もしかすると8.0.1の公開期間が長ければ、日本でも大惨事が起きていてもおかしくなかった。
特にネットワークの接続検証に関しては、キャリアに対してもギリギリのタイミングでないと仕様が公開されないこともあるようで、キャリアとしても過去にはiPhoneが販売されてからネットワークの調整をかけると言うこともあったようだ。
アップルとしてはできるだけ秘密主義で製品開発を進めたいようだが、もはやそれも限界に来ているほど、iPhoneユーザーは多く、ちょっとトラブルを起こせば、甚大な影響を及ぼす存在になってしまっている。
これだけユーザー規模が拡大していることを考えると、アップルとしても、ソフトウェアアップデートはこれまで以上に慎重に進めなくてはならないし、キャリアとの接続検証も時間をかけてやる必要があるだろう。
アップルとしてもiOS開発の進め方を見直す時期に来ているのかも知れない。
ちなみにアメリカではコンシューマー・レポートが他機種との強度比較を行っている。これを見る限り、さほど問題はなさそうだ。
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