ソフトバンクの「月額4900円/1GB」プランは“安い”のか

» 2016年01月08日 20時03分 公開
[田中聡ITmedia]

 ソフトバンクが、月額2900円で1GBのデータ通信を利用できる「データ定額パック・小容量(1)(以下、1GBプラン)」を、2016年4月から提供する。「スマ放題」と合わせると月額5900円、「スマ放題ライト」と合わせると月額4900円で利用できる。※本稿の価格はいずれも税別。

 今回の新プランは、総務省がタスクフォースで提言した「低容量(1GB以下)のデータ定額プランを作ること」に応える形で新設されたものだが、タスクフォースの発端は、安倍晋三首相が「家計への負担が大きい携帯料金の引き下げ」を指示したこと。この1GBプランは本当に「安い」といえるのだろうか。

photo 1GBプランは「スマ放題」か「スマ放題ライト」と組み合わせて使用する

2GBプランとの差は「600円」

 ソフトバンクのパケット定額サービスでは、1GBの次は月2GBの通信ができる「データ定額パック・小容量(2)(以下、2GBプラン)」を提供している。2GBの料金は月額3500円なので、1GBだと600円安くなる。この600円の差を大きいと取るか小さいと取るかは人によるだろうが、1GBプランの恩恵を受けるのは、「通話をよくするが、データ通信が少ない人」に限られる。

 ただし、スマ放題ライトでは2GBプランとは組み合わせられないので、スマ放題+2GBプランの6500円と比べると、スマ放題ライト+1GBプランは1600円安くなる。また、スマ放題ライト+5GBプランの7000円と比べると、スマ放題ライト+1GBプランは2100円安くなる。

ソフトバンクのデータ定額パック(スマ放題)
小容量(1) 小容量(2) 標準(5) 標準(8) 大容量(10) 大容量(15) 大容量(20) 大容量(30)
基本データ量 1GB 2GB 5GB 8GB 10GB 15GB 20GB 30GB
月額使用料 2900円 3500円 5000円 6700円 8000円 1万2500円 1万6000円 2万2500円
スマ放題 2700円
S!ベーシックパック 300円
合計 5900円 6500円 8000円 9700円 1万1000円 1万5500円 1万9000円 2万5500円

ソフトバンクのデータ定額パック(スマ放題ライト)
小容量(1) 標準(5) 標準(8) 大容量(10) 大容量(15) 大容量(20) 大容量(30)
基本データ量 1GB 5GB 8GB 10GB 15GB 20GB 30GB
月額使用料 2900円 5000円 6700円 8000円 1万2500円 1万6000円 2万2500円
スマ放題ライト 1700円
S!ベーシックパック 300円
合計 4900円 7000円 8700円 1万円 1万4500円 1万8000円 2万4500円

 1GBプランと組み合わせられるのは、スマ放題とスマ放題ライトのみ。前者は、国内の通話がし放題になり、後者は、国内の5分以内の通話がし放題になる。一方で、月額934円の「ホワイトプラン」とは組み合わせられない。仮に1GBとホワイトプランを組み合わせることができれば、月額料金は4134円まで下げられる。通話もデータ通信もあまりしないという人は、今回の新プランは安いとは感じないかもしれない。

 スマートフォンはバックグラウンドでの通信が多いうえ、1日30〜40分の通勤中などで毎日使うと、1GBはあっという間に到達してしまうので、外でスマホを頻繁に使う人には1GBプランは向かない。

※初出時に、スマ放題ライトの料金の記載に誤りがありました。おわびして訂正いたします。また、スマ放題の料金表を追加し、本文の一部を追記・削除しました(1/9 0:25)。

Y!mobileの方が安い

 ソフトバンクが展開している「Y!mobile」の「スマホプランS」は、月に1GBまでの通信ができ、10分以内の国内通話が月300回まで無料になる。料金は月額2980円なので、ソフトバンクの1GBプランよりも1920円安い。通話回数が月300回を超える人は少ないだろうし、無料になる通話時間はスマ放題ライトの5分より長い。

photo Y!mobileの料金プラン

 ただし、ソフトバンクまたはディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクからMNPで転入した場合は、Y!mobileの利用料金には1000円が加算され、スマホプランSは3980円となる。

※ソフトバンクからY!mobileにMNPする場合に、月1000円加算されることを追記しました(1/9 11:12)。

 それでも、依然としてMNO(大手キャリア)の中で最もお得なスマートフォン向けプランは、Y!mobileのスマホプランSといえる。ソフトバンクユーザーがもっとお得にスマホを運用したいのなら、Y!mobileでSIMだけを購入してMNPをするのが得策だ(参照)。しかし残念ながら、ソフトバンクとY!mobileは同じ会社が運営しているブランドなのだが、SIMロックがかかったソフトバンク端末ではY!mobileのSIMは利用できない。これはソフトバンクのiPhoneも例外ではない。

photo Y!mobileでは「月額2980円から始める格安SIM」として訴求している
photo SIMロックのかかったソフトバンクのiPhoneではY!mobileのSIMは利用できない

 2015年5月29日以降に発売されたソフトバンクの携帯電話は、購入してから180日後にSIMロックを解除できる。例えばiPhone 6s/6s Plusを2015年9月に購入した人は、1GBプランの提供が開始する2016年4月には、SIMロックの解除が可能になる。

 注意したいのが、iPhoneの場合、Y!mobileのSIMカードではテザリングが利用できないこと。これは「iOSの仕様が原因」(ソフトバンク広報部)で、ソフトバンクのiPhoneをSIMロック解除した場合でも同様。「ソフトバンクのAndroid端末については、テザリングが利用できることは確認できている」そうだ。

 4月の時点でSIMロックを解除できる端末を持っていて、「ソフトバンク固有のサービスが不要」「メールアドレスが変わっても問題ない」「iPhoneでテザリングは不要」といったソフトバンクユーザーは、Y!mobileにMNPした方がお得だ。

格安SIMと比べるとどうか

 MVNOが提供している格安SIMと比べるとどうか。例えばIIJ(インターネットイニシアティブ)が提供している「IIJmio」の「ミニマムスタートプラン」では、月額1600円で3GBの通信+音声通話を利用できる。DMM mobileの場合は1GBプランで月額1260円だ。音声通話は20円/30秒の従量課金だが、通話が少ない人にとっては、格安SIMの方がはるかに安い。

photo IIJmioの料金プラン
photo DMM mobileの料金プラン

 従来の“最安プラン”(スマ放題+2GBプラン)と比べて1600円安くなった1GBプランだが、恩恵を受けられるのは、ごく限られたユーザーのみになりそうだ。

各社の1GBプラン比較
ソフトバンク Y!mobile DMM mobile
プラン スマ放題ライト スマホプランS 通話SIM(1GB)
基本料金 1700円 2980円 1260円
1GBの通信料 2900円
ISP料金 300円
通話の特典 5分以内の国内通話が無料
(無制限)
10分以内の国内通話が無料
(月300回まで)
合計 4900円 2980円 1260円

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