CESのQualcommブースでは、同社製チップセット「Snapdragon」を採用する数多くの製品を展示。スマートフォンやタブレットだけでなく、オートモーティブ、ウェアラブル、IoT、ロボティクスと、Snapdragonの活用範囲の広がりをアピールした。また、スマートフォン関連の要素技術のデモも複数展示され、Qualcommが描く少し先のスマートフォンの姿を垣間見ることができた。
技術デモのコーナーでは、超音波を用いた指紋認証やIEEE802.11ad(WiGig)、高速充電の「Quick Charge 3.0」といった技術を紹介するとともに、これらが実際に搭載された製品も展示され、2015年発表された要素技術が既に商用化のフェーズに入っていることをアピール。またワイヤレス充電の「WiPower」や、Snapdragon 820からサポートされる「TruSignal Antenna Boost」の展示も行われた。
2015年のMWCで発表された指紋認証技術「Snapdragon Sense ID」のデモでは、同技術を初搭載したスマートフォン「Le Max Pro」も展示されていた。「Snapdragon Sense ID」は超音波で指紋を読み取るため、フロントガラスの中にセンサーを埋め込めむこともできるが、Le Max Proでは背面の専用ボタンで読み取る仕組みになっている。実際に試したところ、認証速度は速く、一般的な静電容量方式の指紋認証と大差ないように感じられた。
IEEE802.11ad(WiGig)は60GHz帯という高い周波数帯を使用して高速通信を行う技術。電波は高周波になるほど直進性が強く、障害物に弱くなるため、通信ができるのは見通せる範囲に限られるが、低遅延のため次世代の機器間通信規格としても注目されている。デモでは、NECやエレコム、TP-Link製のIEEE802.11ad対応ルーターを使って、IEEE802.11ad対応のスマートフォン「Le Max Pro」を接続。2〜2.5Gbpsといった実効速度を確認することができた。
「Quick Charge 3.0」のデモコーナーには発売中ACアダプターなど、対応製品が多数展示されていた。対応製品では一般的なスマートフォンを約35分の充電で、ゼロから80%までチャージできるという。「Snapdragon 820」をはじめ、多くのチップセットでサポートされるため、2016年は対応するスマートフォンやタブレットが多数登場しそうだ。
ワイヤレス給電の「WiPower」については、実際にモジュールを組み込んだ木製のテーブルを展示していた。WiPowerでは、qi(チー)のように端末を置く位置を合わせる必要がなく、下の写真のように間にプラスティックや木が挟まっていても給電できるのが特長。またiPhoneのような金属素材のスマートフォンへの給電もサポートされている。
「TruSignal Antenna Boost」は文字通り、屋内など電波環境の不安定な場所でもアンテナ感度を高めることで、安定した通信や音声通話を実現する技術。電波をつかんだり離したりを繰り返していると電池がすぐ消耗するが、この技術を用いることで消費電力も抑えられるという。
このほか、Qualcommブースの一角では、同社が進める「Tricorder X Prize」というプロジェクト紹介の一環として、スタートレックのクルーになりきって記念撮影ができる、ユニークなコーナーも設けられていた。
Qualcommでは、映画「スタートトレック」に登場する携帯用の小型探知装置「Tricoder」にちなんで、健康に役立つポータブルでワイヤレスな製品のアイデアを募集するコンペ形式のプロジェクトが実施中。プロジェクト紹介のための、スタートレックなりきり写真コーナーも人気を博していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.