このようにApple Payはとてもよく考えられたサービスだが、他方で、その利用にはクレジットカード側の対応が欠かせない。現時点でApple Payに対応しているのは、イオンカード、オリコカード、クレディセゾン、JCBカード、トヨタファイナンスのTS CUBIC CARD、ビューカード、三井住友カード、楽天カード、NTTドコモのdカード、KDDIのau WALLETクレジットカード、ソフトバンクカードなど。
また近々「三菱UFJニコスのクレジットカードも対応する予定」(ベイリー氏)だという。
他方で、アメリカンエキスプレスカードやダイナースなど老舗クレジットカード会社のプロパーカードが対応しておらず、Apple Payのネット決済全般でVISAブランド発行のカードは使えないといった課題もある。
「確かにまだ完璧とはいえませんが、(Apple Pay開始初期で)日本で発行されているクレジットカードの80%程度は何らかの形でApple Payに対応しています。これはアメリカ本国でのApple Pay対応初期よりも大きい数字です。
日本はApple Pay対応としては12番目の国となりますが、Appleにとって、とても重要で大切な市場です。だからこそJR東日本のSuicaに当初から対応し、多くのクレジットカードに対応しました。そして今後も積極的に対応拡大を進めていきたいと思います」(ベイリー氏)
日本は非接触ICを用いた決済サービスにおいて世界に先行し、先行しすぎたがゆえに「ガラパゴス市場だ」とやゆされたこともあった。しかし実際は、JR東日本やNTTドコモ、JCBなどが不断の努力でインフラを整備したおかげで、どの国よりも広い範囲・高い密度で、非接触ICの決済サービスが利用できる土壌ができている。
そしてAppleは、Apple Payを日本市場に合わせて最適化することにより、街中にあるこれらの決済インフラを、おサイフケータイよりも使いやすくスマートに利用できるようにした。iPhoneユーザーはもちろん、古くからのおサイフケータイユーザーにとっても、Apple Payは注目のサービスといえるだろう。
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