筆者は2016年5月19日、NTTドコモの「Galaxy S7 edge SC-02H」を機種変更で購入しました。
購入から半年経過した2016年11月20日、このSC-02HのSIMロックを解除できるようになりました。いつもなら、日付が変わった瞬間にSIMロックを解除……するところですが、もろもろの事情から2016年12月7日に手続きを行いました。手続きの方法は「オンラインで手続きかんたん! ドコモ2015年夏モデルの「SIMロック」を解除してみた」に記載の通り、非常に簡単です。
SIMロック解除自体は今までと変わらず簡単だったSC-02H。ところが、auのVoLTE SIM(純正とMVNO用)を使おうとしたところ、今までにないトラブルに見舞われたのです。
まず遭遇したトラブルが、接続中のオペレーター(キャリア)名が出ないというものです。
ステータスバーの電波状態は正常に表示されますし、データ通信用のAPN(接続先設定)を設定すればデータ通信もできます。しかし、本来であれば表示されるはずの「KDDI」(※)が表示されず、圏外のときと同じ「サービスなし」という表示になってしまうのです。
※ au(KDDIと沖縄セルラー電話)が販売する現行端末では「au」と表示されます
次のトラブルは、音声通話ができないというものです。
auのVoLTE契約のSIMカードで音声通話を行う場合、利用する端末のVoLTE対応は必須です。「格安SIM Q&A」で検証した通り、ドコモの「ARROWS NX F-04G」とソフトバンクの「Xperia Z5」ではau VoLTEで通話ができます。その他、ドコモの「Xperia XZ SO-01J」と、Android 7.0にバージョンアップした「Nexus 5X」でもau VoLTEが使えることを確認しています。
ところが、SC-02Hにau VoLTE契約のSIMカードを入れると、「発信中」と出るもののいつまでたっても発信しない上、他の電話からの着信もできません。この状態では、SMS(ショートメッセージ)の送受信もできません。
今までにないトラブルに、若干焦り気味の筆者。気持ちを落ち着けようと、ドコモの「SIMロック解除の手続き」を見直してみました。
このページには「SIMロック解除対応機種および対応周波数帯」というPDFファイルが掲載されていますが、SC-02Hにおいて動作上の制約を示す注釈は付いていませんでした。
しかし、全機種にあてはまる注意事項には注釈マークを入れず、最後にまとめて、という可能性もあります。そこで、最後まで読み進めてみると、こんな注意書きを発見しました。
※ 他社NWでVoLTE音声通話を利用する際に、APNの設定が必要となる場合があります。
(名前:ims、APN:ims、APNタイプ:ims、APNプロトコル:IPv4v6)
つまり、ドコモ以外のキャリアでVoLTEを使うには、APNを別途設定しないといけない機種もあるということです。
そこで、この注意書きを頼りに、VoLTE通話用のAPN(IMS)を設定してみることにしました。SC-02Hの場合、端末設定を開いたら「モバイルネットワーク」→「APN」と進み、画面内の「追加」をタップすると新しいAPNを登録できます。
IMSの設定では、通常は変更しないであろう「APNタイプ」と「APNプロトコル」の設定も変える必要があります。また、本来はAPNの「名前」は任意のもので構わないのですが、VoLTE用APNは名前を必ず「ims」にする必要がある模様です。設定を完了したら、通常のAPN登録と同様に「保存」します。
保存すると……APN一覧には出てきません。しかし、SC-02Hの場合IMSがAPN一覧に“出てこない”ことが「正解」となります。念のため、ここで本体を再起動しましょう。
VoLTE用APNを追加した効果は、再起動後、まず目に見えて出ます。オペレーター名に「KDDI」と表示されるようになるのです。
ただ、オペレーター名が出るようになっただけでは、肝心のau VoLTEの利用可否は分かりません。そこで、電話の発着信テストをしてみたところ、発信・着信ともに正常に行えるようになりました。SMSもやりとりできます。やりました!
もしも、SIMロック解除済みのドコモのVoLTE対応端末で、ドコモ以外のキャリアのVoLTE対応SIMカード(MVNOのものを含む)を入れてもVoLTE通話やSMSのやりとりができないときは、IMSの手動追加をぜひ試してみてください。
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