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» 2017年05月13日 06時00分 公開

曲がり角を迎える“キャリアの戦略” KDDIとソフトバンクの決算を読み解く石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

[石野純也,ITmedia]
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「5G」でのネットワーク競争に備えるソフトバンク、KDDIも設備投資を継続

 さらに、2020年には「5G」が商用化され、競争軸がもう一段変化する可能性もある。ソフトバンクは、ここに向けた戦略も披露した。同社と傘下の米Sprintは、決算説明会に合わせ、Qualcommとの発表を行った。合意内容は、2.5GHz帯(Band 41)を活用した5Gの技術開発について。「個別の設計のところは、まさに今日からがキックオフになる」(孫氏)ため、明かされなかったが、モデムの共同開発を行っていくのかという質問については、「なかなかいいところをついている」(同)と答えた。

KDDI ソフトバンク、Sprintの両社は、クアルコムとの技術開発に合意

 2.5GHz帯では、ソフトバンクとSprintの双方が、TD-LTE(AXGP)を運用している。LTEの中では高い周波数帯だが、Sprintは、電波の出力を上げ、このエリアを広げるHPUE(ハイ・パワー・ユーザー・エクイップメント)を導入した。HPUEは、2016年のMobile World Congressで、孫氏がTD-LTEの業界団体であるGTIに提案した規格。これが採用され、Sprintに導入したところ、1.9GHz帯と99%同じエリアをカバーできたという。

KDDI
KDDI SprintにはHPUEを導入、出力を上げ、カバレッジを1.9GHzとほぼ同等にした

 さらに、Sprintは「Magic Box」や「Femto」など、さまざまな小型基地局を導入。孫氏が「これは5Gのネットワークの前哨戦だ」と語っていたように、現状のネットワークを改善するだけでなく、5Gに向けた先行投資という意味合いもある。Qualcommとの合意は、ここにつながってくるというわけだ。

KDDI Sprintには、スモールセルの最新技術も積極的に導入

 同じ2.5GHz帯を運用しているだけに、ソフトバンクへのシナジー効果も期待できるかもしれない。もともと孫氏は、Sprintの経営再建のために、「ある意味、ソフトバンクが日本で培ったノウハウを全部導入した」(同)。一方で、HPUEなどは、ソフトバンクではなくSprintが先行導入している。「Sprintが今抱えている問題を解決するために、新たな道具で世界に先駆けた開発を行っている」(同)からだ。今では、「Sprintとソフトバンクはお互いに技術で刺激し合う」関係になっているというのが、孫氏の見方だ。

 ネットワークや5Gについては多くを語らなかったKDDIだが、設備投資については、2017年度に5300億円を予定している。2016年度から100億円程度増やし、「700MHz帯、3.5GHz帯の4G投資に使う」(田中氏)方針だ。5Gのトライアルも徐々に進めており、2020年に向け、徐々にネットワークを進化させていく。前回の連載で取り上げたように、ドコモも5月に5Gのトライアルサイトを開始し、複数企業と実験を行う予定。5Gをベースにした「beyond宣言」も打ち出しており、3年後に向け、ネットワーク競争も徐々に過熱していくことになりそうだ。

KDDI KDDIの設備投資額は前年度よりやや増える予定。4Gのネットワーク強化していく
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