「デスクトップコンポジションを有効にする」は、Vistaの描画方法を指定する設定だ。これがオンになっているとDesktop Window Manager(DWM)が有効になり、従来のWindowsと異なる描画方法(画面上のコンテンツを直接ディスプレイデバイスに描画するのではなく、グラフィックスメモリ内で合成してから描画する方法)を採用する。DWMはWindows Aeroの実現に欠かせないものなので、「デスクトップコンポジションを有効にする」をオフにすると、Aeroもオフになってしまうのは要注意だ。
AeroはPCのグラフィックスチップを利用(Direct3DのAPIを利用)して画面描画を行うため、グラフィックス性能が高いシステムでは、AeroをオフにするとCPUにかかる負荷が増大し、かえってパフォーマンスが下がる原因になる点は覚えておきたい。
なお、Vistaと互換性のないプログラムでは「デスクトップコンポジションを有効にする」の設定がオンになっていると、正常に動作しないことがある。特定のプログラムを動作させるためにパフォーマンスオプションで設定を変更すると、Aeroが利用できなくなってしまうので不便だ。特定のアプリケーションだけ視覚効果を変更したい場合、アプリケーションやショートカットのプロパティにある「互換性」タブで設定できる。
視覚効果の「透明感を有効にする」は、ウィンドウのタイトルバーなどを半透明にするかどうかの設定だ。こちらはチェックボックスをオフにしてもAeroがオフにならない。つまり、ウィンドウの半透明効果はなくなるが、Windowsフリップ3D(Windowsキー+Tabキー)や、タスクバーのサムネイル表示といったAeroの機能は問題なく使える。
さらに注意が必要なのは、「ウィンドウとボタンに視覚スタイルを使用する」という項目だ。このチェックボックスをオフにすると、強制的にWindows 2000に近いクラシックスタイルに変更されてしまう。また、Aeroを利用するように設定していても、このチェックボックスをオフにすると無効化され、「デスクトップコンポジションを有効にする」と「透明感を有効にする」の効果もオフになる。
このように見た目は犠牲になるが、Vista Home Basic環境やAeroに対応しないグラフィックス環境で使用している場合は、「ウィンドウとボタンに視覚スタイルを使用する」のみチェックボックスをオンにすることにより、パフォーマンスの向上が図れるだろう。
一方、Aeroの機能を利用したい場合は、「ウィンドウとボタンに視覚スタイルを使用する」と「デスクトップ コンポジションを有効にする」の2つのチェックボックスをオンにしたうえで、ほかのチェックボックスをオフにすることにより、Aeroを有効にしたままパフォーマンスの向上が図れる。とりあえずはこの状態にしてから、それぞれの視覚効果を取捨選択し、ハードウェア構成や好みに応じてチェックボックスをオンにしていけばよいだろう。
具体的には、前述の「透明感を有効にする」をはじめ、フェードやスライドといった実用性のあまり高くない視覚効果は外しつつ、「アイコンのかわりに縮小版を表示する」や「スクリーンフォントの縁を滑らかにする」といった効果を有効にするなどのカスタマイズが現実的といえる。
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