安くて“カッコイイ”ほうの新型Eee PCキラー「Aspire one」発売直前レビュー8月23日発売(3/3 ページ)

» 2008年08月21日 12時25分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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パフォーマンスとバッテリー駆動時間にアドバンテージはあるか

Aspire one(左)とWind NetBook U100(右)を比較

 それではパフォーマンスはどうだろうか。Atom搭載Netbookの競合製品とコアコンポーネントはほぼ共通であり、体感上のパフォーマンスは筆者がすでに触れたWind NetBook U100と特に変わらないようだ。この結果はベンチマークの結果にも現れており、HDD搭載のWind NetBook U100にかなり近いスコアになっている(関連レビュー:見た目はフツー、だがそれがいい――MSI「Wind Notebook U100」を検証する)。

 OSの起動時間、休止/サスペンドに要する時間なども計測したが、これもおおむねWind NetBook U100に近い。全体に少しずつ遅めなのはマカフィーのアンチウイルスソフトがプリインストールされている影響もあるだろう。

PCMark05は内蔵ディスプレイではPCMarksが導き出されないため、外部ディスプレイを接続して1280×1024ドット表示で実行した。CPUスコアとHDDスコアは内蔵ディスプレイ利用時とほとんど変わらないことは確認済み。CPU、Memoryのスコアは当然ながら同じCPUとチップセットを採用する競合製品とほぼ同じで、HDDスコアもWind NetBook U100とほぼ同等だ(画面=左)。時間はストップウォッチを使って手動で計測。起動はタスクバーのアイコンがすべて表示され、最初にマウスカーソルの砂時計が消えるまでの時間だ。起動/休止からの再開ではBIOS表示時間は含んでいない(画面=右)

 動画再生能力もAtom搭載の競合製品とほぼ同等だ。SD解像度のMPEG2/Divx/WMVの再生はまったく問題なく、CPUの動作クロックを800MHzに固定してもほぼコマ落ちはなかった。HD解像度も筆者がエンコードした1280×720ドットのH.264(High Profile/Level 4.1)の動画ファイルは、CoreAVCコーデックとMP4 Splitterの組み合わせでWindowsMediaPlayerでの再生はほぼ問題なくこなせた。120Gバイトという内蔵HDDの容量とあわせて、持ち運べる動画プレーヤーとしての資質は悪くない。

左からMPEG2(9Mbps)、Divx(1.5Mbps)、WMV(1.5Mbps)で640×480ドット、30fpsの動画ファイルをCPUクロック800MHz固定で再生した場合のCPU使用率。MPEGはプリインストールされているWinDVD、DivxはFFDShowをコーデックとして使用している。まったくもって余裕だ。一番右はCPU動作クロックは制限せず、1280×720ドット/30fpsのH.264でエンコードした動画ファイルを再生した場合のCPU使用率。CPU能力的には余裕はないが、特にコマ落ちはなかった。ただし、コーデックにFFDShowを利用したり、VLC Media Playerで内蔵コーデックを使用した場合にはコマ落ちが散見されたので、コーデック次第という点は付け加えておく

 ではバッテリー動作時間はどうだろう。Wind NetBook U100のレビュー時にほぼ条件をあわせて3つのシチュエーションでバッテリー残量が5%に達するまでの動作時間を計測した。本機は専用のバッテリーマネージメント機能は持たないので、「ポータブル/ラップトップ」「バッテリの最大利用」の2つの電源設定を利用し、前者ではバックライトを中間(5/10)に、後者では暗いほうから2つめ(2/10)に設定している。

バッテリー駆動時間はハードウェア構成が似通ったWind NetBook U100に近い結果になった。1時間半〜2時間程度がバッテリー動作時間の目安になるだろう

 ちなみにこの2つの電源設定では、バッテリー動作時に前者ではCPUクロックが負荷に応じて800〜1.6GHzの間で変化し、後者では800MHzに固定される。「バッテリの最大利用」はバックライトも調整してあるので、Wind NetBook U100の「Turbo Battery」有効時とほぼ同等と考えてよいはずだ。

 結果はグラフを参考にしてほしいが、同じく3セルのバッテリーとHDD内蔵のWind NetBook U100と良い勝負だ。ディスプレイが小さい分、少しバッテリーの持ちが有利かなと思ったが、あまり影響はないようだ。使い方次第では2時間以上の動作時間が確保できそうで、本格的なモバイル利用には物足りないものの、とにかく日々持ち歩いて休憩時にちょっとモバイル、なんて使い方ならば十分利用に耐えるだろう。

価格とデザイン、HDD搭載による高い実用性が魅力

 本機は5万4800円という価格はもちろん、優れたデザインにHDD搭載Netbookではコンパクトなボディと、その魅力は多い。使い勝手という点ではマウスボタンの配置が気になるが、約17ミリのキーピッチを確保したキーボードも強力なライバルであろうEee PC 901-Xに対するアドバンテージだ。マウスボタンに関しては細かな作業を行う場合にはUSBマウスを利用する手もあるし、これはモバイル環境でも十分に可能だろう。

 気になるのは、メモリ増設が不可能な点や、現時点で大容量バッテリーの提供予定がないことだろうか。前者は気にならない人もいるだろうが、後者はEee PC 901-Xが標準で大容量バッテリーを装備し、Wind NetBook U100も大容量バッテリーの提供が予定されている点を考えると無視はできない。今のところACアダプタや標準バッテリーの単体販売も確認できていないので、こういった点もきちんと対応してほしい。また、個人的にはやはりBluetoothは内蔵してほしかった。例えばメモリが1.5GバイトでBluetooth内蔵、なんてモデルを5万9800円で限定販売しても悪くないのではないだろうか。

 本機を競合製品と比較した場合、パフォーマンスはほぼ同等であり、やはり魅力は、HDDを搭載することでEee PC 901-Xのように起動ドライブの容量を気にせずに使えることと、2.5インチHDDを搭載しつつWind NetBook U100よりも一回り小さいサイズ(フットプリントで約90%)に抑えた点だろう。それでいて価格は両競合製品より5000円安く、デザインは秀逸だ。低価格ミニPCの選択肢として強力な存在であることは間違いない。

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