「Aspire Timeline」はNetbookを超えるかAcerの野望 in 北京(2/2 ページ)

» 2009年04月09日 11時45分 公開
[後藤治,ITmedia]
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長時間駆動で“メインストリーム価格”の薄型ノートPC――「Aspire Timeline」

Campbell Kan氏

 Aspire Timelineの説明は、台湾AcerでMobile Computing Vice Presidentを務めるCampbell Kan氏が担当した。同氏は、一般ユーザーがノートPCに求める最大の価値は6時間以上のバッテリーライフだという調査結果から、今回発表したAspire Timelineで8時間を超えるバッテリー駆動時間を達成、さらに最薄部で1インチ(25.4ミリ)を切る薄型ボディとシンプルなデザイン、そして同社が考えるメインストリーム価格帯(699〜899USドル)での投入を実現した。

 Aspire Timelineのラインアップは、液晶ディスプレイのサイズ別に13.3/14/15.6型の3モデルが用意される。資料によればアスペクト比はいずれも16:9で、解像度は1366×768ドット。現段階で細かい仕様は未定ながら、スライドで示された競合機種とのパフォーマンス比較表からは、CPUの選択肢にULV Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)があり、2.5インチHDDと光学ドライブを搭載し、チップセット内蔵グラフィックス(GMA 4500MHD)だけでなく外付けGPUのオプションもあることが見て取れる。

ユーザーがノートPCに求めている最も多いリクエストはバッテリー駆動時間だという。Aspire Timelineでは8時間駆動に加えて、1インチ前後の厚さも実現した。もっとも、重量は13.3型モデルが約1.6キロ、14型が1.9キロ、15.6型は2.4キロと、画面の大きなモデルは“モバイルノートPC”のカテゴリではない

 また、標準で8時間駆動が可能なだけでなく、ストレージにSSDを選択した場合は、バッテリー駆動時間が10時間超にも及ぶ。このロングバッテリーライフは、超低電圧版のCore 2 Duoをはじめ、LEDバックライトディスプレイやインテルのDisplay Power Saving Technology(DPST)、高度な電力管理技術を採用した成果だという。また、インテルが開発した「Laminar Wall Jets Technology」と呼ばれる冷却技術を採用している点も目を引く。この技術はシステムの熱源と底面の間に設けた空洞にエアフローを発生させることにより冷却を行う仕組みで、これによりノートPCをひざに載せて利用すると不快な熱を感じるという、従来の不満を解消した。このほか、無線LAN/WiMAXモジュールの内蔵や3Gオプションといったネットワーク機能をはじめ、Webカメラやマルチジェスチャーに対応したタッチパッドなど機能面も充実している。

競合機種との比較。外付けGPUモデルも用意するようだ(写真=左)。省電力のコンポーネントを組みあせたシステムと電力管理により長時間駆動を実現した(写真=中央)。「Laminar Wall Jets Technology」と呼ばれる冷却機構を採用(写真=右)

 もちろん、Aspire Timelineの最大の特徴はやはり価格だ。パフォーマンス比較のスライドで挙げられたLenovoやHP、ソニーの競合機種に比べれば、10万円を大幅に切るAspire Timelineのコストパフォーマンスは突出している。また、超低電圧版のCore 2 Duoを採用した13型クラスの薄型ノートPCと聞くと、最近の製品であれば「Adamo」を連想してしまうところだが、こちらも20万円超とかなり差がある(もっとも、Adamoは光学ドライブがないこともあって本体の高さが16.4ミリと“薄型”のレベルが違うが)。

写真は14型の「4810T」。今期から投入されるモデルは共通してフラットなキーボードを採用している(写真=左)。右側面と左側面(写真=中央/右)。右側面手前に光学ドライブがある

 いずれにせよ、Netbookに少し予算を上乗せするだけで、今まで手が出なかったクラスのノートPCを現実的に購入できる価格帯まで引き下げてきたAcerの戦略には非常に驚かされる。Aspire Timelineの圧倒的な価格競争力は、かつてNetbookが登場し瞬く間にPC市場を席巻していったときと同じようなインパクトをもたらすかもしれない。日本国内での投入時期は今のところ未定だが、今後のノートPC市場はさらに盛り上がりそうだ。

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