速攻フォトレビュー──dynabook UXの“打ち心地”をチェックする2009年PC夏モデル(2/2 ページ)

» 2009年04月20日 18時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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「キーピッチ=19ミリ」がすべてを決めた

 ただし、バッテリー駆動時間以上に重視されたのが、「キーボード」だ。開発陣が「最も優先させた」と述べているキーボードには、デスクトップPC向けキーボードに相当する「主要キーで19ミリピッチ」が確保されている。

 dynabook UXのような小型軽量のノートPCの開発では、相反する仕様におけるトレードオフのバランスをどのように解決していくかが開発陣の腕の見せどころとなる。例えば、バッテリー駆動時間を長くしようとすれば本体は重くなり、サイズを小さくしようとすればキーボードや液晶ディスプレイは小さくなる。そのため、ミニノートPCの開発では、その製品に与えるコンセプトに基づいて、優先される仕様を定めておき、そこで求められるスペックに合わせて、ほかの仕様を調整することになる。

 dynabook UXの場合、最も優先されたのが主要キーのピッチで、ここで求められた「19ミリ」という値に合わせて、ほかの部分のサイズが決まっていった。東芝の説明では、「10.1型ワイドの液晶ディスプレイの搭載が決まったから19ミリのキーピッチになったのではなく、19ミリのキーピッチが必要だったので、10.1型ワイドの液晶ディスプレイが搭載できた」というのが“正しい順序”となるらしい。

 隣接するキーを誤って押すことがないように、キーボードの形状は、VAIO type Pでも見られるタイプを採用する。dynabook UXでユニークなのは、キーの高さがこのタイプのノートPCとしては高く確保されていて、キートップが浮き上がって下の足が見えるほどになっていることだ。キートップとその下のボディにすき間ができて、そこにゴミなどが詰まりそうにも思うほどだが、これは評価した機材が試作機レベルであるからではなく、製品版でもこのような形状になると東芝では説明してる。

 ただ、キーボードを打鍵した感触は良好で、キーのタッチはやわらかいが、十分なストロークを感じながらキーが押し込め、底を打ったときには指をしっかりと支えてくれる。もちろん、キーピッチが十分確保されているので、近接するキーを打つときに、隣り合う指がすれてストレスを感じるようなこともなかった。カーソルキーは文字キーから1段下げた場所に設けられているので、打ち間違いを誘発する心配も少ない。

 実測値になるが、dynabook UXに搭載されたキーボード周辺のサイズを以下に記しておく。キートップサイズは主要キーで約15(幅)×12(奥行き)ミリ、狭サイズのキートップでは、幅が約11ミリのタイプと約10ミリタイプが存在する。隣接するキートップの間隔は主要キーで左右間が4ミリ、上下間が5ミリになる。スペースバーの長さは約68ミリで、Shiftキーの幅は左右ともに約23ミリあった。キーボードパネルからキートップまでの高さは約2ミリだ。

19ミリというA4ノートPCに相当するキーピッチを確保したdynabook UXのキーボード。右側の一部を除いてほぼ同じピッチが確保されている(写真=左)。キートップの高さを確保するため、ボディとキートップの間にすき間ができている(写真=右)

期間限定だからNetbookでも導入できたOffice Personal 2007

 OSにWindows XP Home Edition(SP3)を導入しているほか、マイクロソフトのOffice Personal 2007(SP1)も標準で用意されている。低価格が身上のNetbookとしては大変珍しいことだが、これは、マイクロソフトが供給を開始した低価格PC向けの「2年間ライセンス版」を採用したおかげだ。

 ちなみに、Office Personal 2007なしのUX/23Jの実売価格は6万前前後、Office Personal 2007を導入するUX/24Jの実売価格は7万円と、その差は1万円となっている。東芝の説明では、ライセンス期間中は通常のOffice Personal 2007とまったく同じに使えるが、2年間のライセンス期間を過ぎると、データの閲覧のみが可能になるという。

 そのほか、dynabook UXには東芝オリジナルの音声翻訳ソフトの「LaLaVoice」や辞書ソフトの「旺文社辞書ソフトウェア」として同社の英和中辞典や和英中辞典、国語辞典、カタカナ語辞典などが収録されている。LaLaViceoは、すでにほかのdynabookシリーズでも採用されているが、CPUにCore 2 DuoやCeleronではなく、Atom N280を搭載したdynabook UXでも実用に耐えられるようにチューニングが施されたと東芝は話している。

 今回は、非常に限られた時間での評価作業であったため、LaLaVoiceの挙動などを確認することはできず、ベンチマークテストもPCMark05の一部の項目を測定するのみであった。それに加えて、評価機のシステム構成でメモリが仕様上サポートされていない2Gバイトも搭載されていたため、ベンチマークテストの測定結果は製品版以上の値となっている。あくまでも参考値として見てほしい。

 なお、短時間の評価作業ながら、キーボードによる文字入力が快適であったのは先に紹介したとおりだが、その間、電力管理モードを「ロングバッテリー」にした状態で内蔵されたファンは1度も回転することがなかった。ただ、そのためかもしれないが、キーボードの左手部分(C、Xキーあたり)を中心にかなり広範囲において、本体表面がずいぶんと熱くなったことは特に留意しておきたい。

電力管理設定 高パフォーマンス ノーマル 東芝省電力
PCMark05:Web Page Rendering 1.2 1.2 0.7
PCMark05:File Compression 1.6 1.6 0.9
PCMark05:VideoEncoding 114.5 114.3 67.1
PCMark05:Image Decompression 6.7 6.6 4.1
PCMark05:Audio Compression 565.8 565.1 352.2
PCMark05:HDD - General Usage 4.5 4.5 4.4
PCMark05:HDD VirusScan 39.9 40.2 35.1
PCMark05:HDD XP StartUp 5.8 6.1 6.1

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