レノボ・ジャパンの研究開発 TVT・ノートブックソフトウェア開発第三TVT開発/Windows 7・プロジェクトマネージャー 柴谷淳治氏は、W7 Lenovo EEの技術的な側面について解説した。
W7 Lenovo EEでは、マイクロソフトの協力を受けて、パフォーマンスの向上と新機能のサポート、ソフトウェアの最適化を行っているが、“より快適に体感できる”ために力を入れたのがパフォーマンスを向上させるチューニングだ。柴谷氏は、同じハードウェアでもOSの違いでパフォーマンスがどれだけ変化するのかを測定した結果から、ThinkPad T400sのSSD搭載モデルにおける起動時間とシャットダウン時間がWindows XPから、Windows Vista、Windows 7と世代が新しくなるにつれて短縮されることを示したほか、同じWindows 7導入モデルでも、W7 Lenovo EEの対策前と対策後で起動時間が25秒程度改善されたことも紹介した。
柴谷氏は、時間短縮を実現した理由として、「マイクロソフトが“正攻法”でOS全体をチューニングを進めてきた」ほかに、レノボ・ジャパンでもBIOSやソフトウェアのチューニングを行ったことを挙げている。実際の作業では、「Windows Velocity Tool」というマイクロソフトのツールを用いて起動やシャットダウン、スリープ、レジュームの各フェーズにおいて、オーバーヘッドが大きいソフトウェアを抽出し、そこで判明したモジュールに対して待ち時間を発生させているロジックの改善を行っている。
起動時間やシャットダウン時間の改善作業の例では、オーバーヘッドが大きいのに初期化段階で必要性のないタスクの処理をOS起動時ではなく、起動後に行うようにシフトすることでOS起動時間の短縮を実現したという。また、シャットダウン時間の改善では、5秒を要していた“ある”ワイヤレスドライバの終了時間において、ドライバ供給ベンダーの協力によって0.2秒に短縮してもらった例が紹介されている。スリープへの移行とレジューム時間の短縮もドライバの改善で実現したそうだ。
レノボ・ジャパン TVT・ノートブック ソフトウェア開発第一TVT開発の松原正樹氏は、Windows 7でサポートされたマルチタッチ機能について、マルチタッチ対応のタッチパネルを採用したThinkPad T400sとThinkPad X200 Tabletとともに解説した。
ThinkPad T400sとThinkPad X200 Tabletに搭載されたタッチパネルは静電容量式で、通常は液晶ディスプレイとタッチパネルを全面で接着するところ、これらのThinkPadでは外周のみの接着にすることで薄型化を実現したという。また、ノイズフィルタを施すことで、静電容量式のタッチパネルに影響するワイヤレス接続電波の干渉を低減したり、液晶ディスプレイと本体のヒンジ部分をスタンダードモデルより強く、かつ、開けやすいように固くなく調整するなどの工夫がされていることが紹介された。
また、ソフトウェアの側面では、マルチタッチを標準でサポートするWindows 7モデルだけでなく、Windows VistaやWindows XPモデルでもマルチタッチをサポートするため、OSとアプリケーションの間に、マルチタッチを仲介するミドルウェアを開発してドライバとセットで提供したことも紹介されたほか、タッチオペレーションを利用して使い勝手を向上させた例として、デスクトップ画面をタップしてThinkVantageの機能がアイコンで呼び出せる「SimpleTap」が取り上げられた。
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