Switchable Graphicsでは、ディスリートGPUとIGPで描画されたそれぞれの出力を内蔵する液晶ディスプレイや、外付けのアナログRGB、HDMIなどのデジタル出力に切り替えて出力する「MUX」と呼ぶハードウェアスイッチが用意されていた。そのため、システムボードにMUXを設置するスペースが必要になって基板面積が大きくなる一方、本体サイズの大型化と部材調達の分だけコストが上昇してしてしまう問題があった。
Optimusは、ディスクリートGPUで描画処理を行った後、データをIPGのディスプレイコントローラに流すことで、ハードウェアスイッチを省略することが可能になった。この場合、ディスクリートGPU側のグラフィックスメモリに展開した描画データをシステムメモリに共有するIGP側のフレームバッファに転送しなければならない。ここで、3Dレンダリング処理と並行してデータの転送を行うと、ディスクリートGPUの3D描画性能が低下してしまう。
この解決のために、Optimusに対応するディスクリートGPU(先ほど紹介した40ナノメートルプロセスルールを導入したノートPC向けGPU)には、すでに「Copy Engine」が実装されている。このデータ転送を専門に行うエンジンで、3Dエンジンのパフォーマンスを損なうことなく、ディスクリートGPUのグラフィックスメモリに展開した描画データをIGPが使っている(システムメモリ上で共有される)フレームバッファに高速転送が可能になるとNVIDIAは説明する。

従来のSwitchable Graphicsでは、ディスリートGPUとIGPのそれぞれから出力される画像を「Mux」と呼ばれるハードウェアスイッチで異なるディスプレイに渡していた。そのため、チップを実装する基板面積の増加やチップの調達に伴うコストアップなどの問題があった(写真=左)。Optimusは、ディスクリートGPUで描画したデータをIGPが使う共有メモリに転送し、IGPの画像出力インタフェースを利用してディスプレイに出力する。構成はシンプルになってコストを抑制できるが、このままではデータ転送処理でパフォーマンスが低下する(写真=右)
3Dエンジンでデータ転送も行うと、3D描画処理が低下してせっかくのディスクリートGPUパワーが十分出せなくなる(写真=左)。そこで、データ転送処理で3Dエンジンの処理能力を損なわないように、転送専用のハードウェア「Copy Engine」が、Optimus対応のディスクリートGPUに実装されている(写真=右)Optimusが有効になるのは、インテルのArrandale(プラットフォームとしてはCalpera)、Pine View-M、モバイル向けIntel 4シリーズに統合されたグラフィックスコアと、NVIDIAのGeForce 300M、GeForce 200Mで40ナノメートルプロセスルール採用モバイル向けGPUの組み合わせになる。これから登場する次世代GeForce Mシリーズと次世代IONでも利用可能だ。
なお、NVIDIAの資料にはOptimusを導入したノートPCとしてASUSの「N82Jv」「U30Jc」「N71Jv」「N61Jv」が示されていた。このうち、日本市場には13.3型ワイドディスイプレイを搭載するU30Jcが3月下旬から4月上旬のタイミングで投入される予定という。

Optimusが利用できるのはArrandale、Pine View-M、モバイル向けIntel 4シリーズのそれぞれに統合されたグラフィックスコアと、40ナノメートルプロセスルールを採用するモバイル向けGPUの組み合わせだ。(写真=左)。Optimusを導入したノートPCとしてASUSの13.3型ワイドディスイプレイ搭載モデル「U30Jc」が3月下旬から4月上旬のタイミングで投入されるいう(写真=右)
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