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» 2011年06月09日 17時11分 公開

Intelの研究成果が集結!──「Research@Intel Day June 2011」 (2/3)

[長浜和也,ITmedia]

Intel HD GraphicsでGPUコンピューティングを

 ラトナー氏の講演後に公開されたTechnology Showcaseは、「Security」「Cloud」「User Experience」「Visualization」「Personal Energy」「Platform Innovations」「Perceptive Edge」のZoneに分かれた41(Intelの現地配布資料による)の展示ブースが設けられた。その内容は、Intel全体で行う研究内容なので、分野は大掛かりなネットワークソリューションやサーバシステム、教育機関向けに及ぶ(その技術は汎用的なものだが)。ここでは、クライアントPCでの利用を想定したものから、日本でもこれから必要とされる省電力関連技術を紹介する。

Unleashing the Potential of Intel Processor Graphics

 Security Zoneに設けられたこのブースでは、暗号化と復号化の処理を“Sandy Bridge”世代のCPUに統合したグラフィックスコア「Intel HD Graphics」(説明スタッフによるとデモシステムではIntel HD Graphics 3000を統合)で演算を行っている。これは、NVIDIAのGeForceシリーズが対応する「CUDA」開発環境や、AMDの「ATI Stream Technology」などのGPUで汎用演算を実行するGPUコンピューティング的動作をIntel HD Graphicsで行っていることを意味する。

 説明スタッフによると、開発環境はATI Stream Technologyと同じOpen CLに対応しており、今回公開したシステムではOpen CLで開発したプログラムで暗号化復号化演算を行うこととでCPUの実行とIntel HD Graphcsでの実行を比べると、RSA 1024で75%の性能向上を示すほか、AES-GCM-1280では13倍、TLS 1.2で9.9倍の性能を示すという。

 この比較は、Intel HD Graphics 3000で測定したもので、Intel HD Graphics 2000ではその性能は低下するという。また、前世代のCPU統合グラフィックスコア(ArrandaleやClarkdaleに統合されたIntel HD Graphics)でも同じことが可能であると述べている。

“Sandy Bridge”世代のCPUに統合されたグラフィックスコア「Intel HD Graphics」で暗号化復号化の演算処理を行うデモ(写真=左)。CPUによる演算と比べて大幅な性能向上が確認されている(写真=右)。

A550GOPS/W Near-Threshold Voltage Register File

 「Platforme Innovation Zone」で行っていたこのデモは、プロセッサの電力効率を高めて省電力化を進める方法として、供給電圧の低減化を進める研究成果を紹介している。タイトルにある“Register File”でプロセッサのパフォーマンスに影響を与える供給電圧を“Near-Threshold Voltage”(しきい値)に設定可能とすることで、駆動電圧をしきい値より下げた状態での動作を実現するものだ。

 Tehnology Showcaseでは、32ナノメートルプロセスルールのHigh-Kメタルゲート採用のCMOSを340ミリボルトの供給電圧で、動作クロックが8.3GHz、パフォーマンスが550GOPS/Wで動作するデモが紹介されている(この技術と動作報告は2010年6月の2010 Symposium on VLSI CircuitsでIntelが公開している)。

 説明スタッフは、この技術の導入によって電力あたりの性能は標準的なベンチマークテストで40〜50%向上するとしている。また、11ナノメートルプロセスルールなどの微細化したプロセッサでは、駆動電圧を抑制する低い供給電圧でも性能を確保できるこの技術の有効性が増すという。

Showcaseでは、駆動電圧がしきい値以下の340ミリボルトで動作クロック8.3GHz、電力あたりの性能が500GOPS/ワットで32ナノメートルプロセスルールのCMOSが動作した

Making Energy Personal

 「Personal Energy Zone」で紹介されていたこのデモは、無線LANで接続された小型の測定器を家庭のACコンセントに接続するだけで、住居で使用している省電力のデータを簡単に収集できるものだ。Intel研究所のWireless Energy Sensing Technologyが開発しているこのシステムは、家庭で消費する電力の測定を容易に、かつ、数多くの機器で行うことが目的で、そのため、設置とデータの収集が至極簡単に行えることを重視している。

消費電力のデータを測定できるユニットはACプラグに差すだけで設置はいたって簡単だ(写真=左)。設置が簡単なので、プラグがあればどこでも設置可能。測定器からは無線LANによって測定データをPCに集約できる(写真=右)

Renewable Data Communication

 同じ「Personal Energy Zone」に展示されていたこのデモは、個人レベルの省電力というよりは、電力供給インフラが整備されていない地域などでの利用を想定した“太陽エネルギー利用の広域無線ネットワーク基地局”だ。基地局のシステムはAtomを基幹とする構成で消費電力は6ワットになる。これを、ピーク出力60ワットの太陽電池で駆動する。

 基地局として利用する以外に、無線でもネットワークの構築ができない山岳地帯(地形の影響で無感エリアが解消できない)では、基地局に送信されたデータをシステム内部のストレージに保存し、そのデータを定期的に“回収”して(デモではヘリコプターで基地局に赴き、データを回収する例が紹介されていた)、別な場所からネットワーク上に送信するという、擬似的なネットワーク利用(その運用は記録媒体を使う“スニーカーネットワーク”に近い)を可能にする。現在、スエーデンなど北欧の山岳地帯で、Intelも参加したN4Cという団体が試験運用を実施している。

ピーク出力60ワットの太陽電池で消費電力6ワットのAtomベースシステムを組み合わせた、自家発電ワイヤレスWAN基地局

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