ARM版Windows 8は1年後の世界に期待する:BUILD(1/3 ページ)

» 2011年09月16日 08時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

ARM対応に口の固いBUILD

 米MicrosoftでWindows and Windows Live部門プレジデントのスティーブン・シノフスキー氏は、BUILDにおいて「Windows 8はWindows 7より“いくぶんかよいもの”で、Windows 7で走るアプリケーションはWindows 8でも走る」と解説している。これが、Windows 8の特徴を端的に表している。

 Windows 8はMetroスタイルの採用やWinRTの搭載など新しい仕組みを用意する一方で、OS自体はWindows 7を改良した発展系で、さらにレガシーサポートもそのまま引き継ぐものであるという。新旧環境が同居するハイブリッドOSということだ。だが、これはx86系CPUを搭載するシステムでの話であり、Windows 8で新たにプラットフォームとして加わるというARM搭載システムについては“別の話”と考えられる。

 すでに、Windows 8関連の記事やBUILDのリポートなどで指摘したように、ARMとx86系CPUではバイナリ互換がなく、この差を吸収するようなバイナリトランスコーダやエミュレータの搭載はARMにとって荷が重い。そのため、ARM版Windows 8については「Windows 7の拡張版」でもないし、「Windows 7以前のレガシーサポート」についても確約されているものでないと考えられる。

 ところが、ARMへの対応について確認しようと、BUILDに集まったMicrosoftの関係者にあらゆる機会で説明を求めてみたが、驚くほど反応が鈍い。例えば、各セッションでARM関連の質問しようとすると、「現時点で話せない」と返されるか「より詳しい話がある」と別のセッションを紹介する。

 展示会場では、Windows 8搭載のARMデバイスが多数展示されているが、これらはすべてプラスチックケースで“保護”されており、来場者が直接触ることができない。目の前でデモを直接見せてくれることはあるが、来場者が直接触るのはNGだ。詳細なスペックやPC版をベースにしたアプリケーションの動作状況について尋ねると「ノーコメント」以外の返事はない。とはいえ、取材や参加したセッションから分かってきたこともある。

いまのARMは性能不足

 これまで登場してきたARM搭載デバイスは、iPhoneやiPad、そして、Android導入デバイスなどでは十分なアプリケーションの実行速度を有している。となると、ユーザーはこうした動きをARM版Windows 8にも期待するだろう。実際、これまでBUILDのデモで紹介されたARM版Windows 8は、メニュー選択やスクロールの速度、動画再生まで、x86版とほぼ同等のパフォーマンスを実現していた。

 2011年4月のMIX11で紹介されたInternet Explorere 10のデモでは、HTML5の画面がハードウェアアクセラレーションを用いて高速で動作していたが、これが、ARMを搭載したデバイスで実行されていたことから来場者を驚かせていた。今回、BUILDの展示会場でも多数のARM版Windows 8のデモが紹介されていたが、来場者がそれらのデバイスに直接触ることはできなかった。

 唯一、Qualcommのブースでは、説明員がデバイスをその場で操作してデモを行っており、来場者の質問やリクエストにも“ある程度まで”応えてくれた。そのデモマシンのデスクトップ画面では、エクスプローラからコントロールパネルを含めて、Windows 7がほぼ再現されていた。一方でInternet Explorerを使ったWebブラウジングでは、(Webページにもよるが)スクロールが遅く、ピンチズームを使ったズームイン、ズームアウトでなぞる指に対する追従性が低く、正直“遅い”といった印象を受けた。同じWebページの表示や操作でも、Core i5搭載の“PC”は動画でも紹介したように高速で、明らかに“動き”という面でx86系CPU搭載システムが勝っている

NVIDIAのKal-El(Tegra 3)を搭載したARM版Windows 8タブレットデバイスのリファレンスモデル(写真=左)。IntelのAtomを搭載したx86(32ビット)版Windows 8タブレットデバイスのリファレンスモデル。Atomは32ナノメートルプロセスルール世代(おそらくCedar Trailベース)で、このバージョンでもHyper-Vが動作しているという(写真=右)

Qualcommの第3世代Snapdragonを搭載したARM版Windows 8タブレットデバイスのリファレンスモデル。Qualcommブースでは、係員が手に持って実機の動作デモを行っていた(写真=左)。TIのOMAP4を搭載したARM版Windows 8タブレットデバイスのリファレンスモデル。1GHz駆動のデュアルコアARMに1Gバイトのメモリを搭載するという(写真=右)

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