本体の背面側に500万画素のiSightカメラを内蔵したのも目を引く(ちなみにフロント側はこれまでと同じFaceTimeカメラ)。800万画素のiPhone 4Sと同様にF2.4の開口部と5枚のレンズで構成された光学系を搭載し、暗所での撮影に強い裏面照射型CMOSセンサーを採用。オートフォーカスやフォーカスロック、最大10人までの自動顔認識と、単なるオマケではない多彩な機能を搭載する(新型iPadで撮影した写真/動画のサンプルはアップルが公開している)。
さらに今回、1080pでの動画撮影にも対応した。動画撮影は手ブレ補正機能もあり、使ってみた感覚では“それなり”に機能する。ただし、静止画撮影と動画撮影では画角がかなり変わってしまう点は気になった。日本の(一般的な)家屋で動画を撮影するには画角がやや狭いかもしれない。手ブレ補正をオフにすることもできないようだ。データの肥大化を考えると128Gバイトモデルが用意されなかったのは少し残念なところ。
会場に展示されていた新型iPadのOSは5.1(9B176)で、日本語での音声入力をサポートしている。ただし、iPhone 4Sで利用できるSiriとは異なり、問いかけに対して受け答えをしてくれるわけではなく、声で文字を入力するいう補助的なもの。試してみたところ、日本語キーボードでは日本語、英語キーボードでは英語として解釈された(これはiPhone 4Sでも同様だった)。あいさつなどの単純な文しか試していないが認識率は悪くない。


iOS 5.1で米国、英国、オーストラリアの各英語と、フランス語、ドイツ語、そして日本語の音声入力に対応した(写真=左)。おはようございます、と音声入力したところ。ソフトウェアキーボードが日本語では正しく日本語として認識されるが、英語キーボードでは英語として解釈される(写真=中央/右)5つ目の注目トピックは、次世代の高速通信規格である4G(LTE)のサポートだ。発表イベントでは、3G(HSPA)と比較して、高解像度写真のダウンロードにかかる時間が大幅に短縮できる点や、動画のストリーミングでキャッシュされるのを待たずに再生できる点がデモで披露された。米国ではVerizonとAT&TがLTEに対応するが、日本国内での利用は今のところ指をくわえて見ているしかない。


iPadの底面。アンテナの内蔵箇所が見える左側がWi-Fi+4G版、右がWi-Fi版(写真=左)。SoCを変更しグラフィックス性能を向上しながらバッテリー駆動時間は約10時間(Wi-Fiモデル)を維持している。ただし、本体の厚さは9.4ミリになった。iPhone 4と並べると厚みはほとんど変わらない(写真=中央)。本体底部の30ピンDockコネクタ。iPad 2より抜けにくくなった……?(写真=右)

会場には同じく3月16日発売されるApple TVの新モデルも展示されていた。本体サイズは旧モデルと同じ98(幅)×98(奥行き)×23(高さ)ミリだが、新たに1080p動画に対応したほか、ユーザーインタフェースも刷新。WSJやVimeoなど対応サービスも拡大した。日本での価格は8800円以上、(非常に限られた時間ながら)実機に触れた感想とともに、第3世代iPadの特徴を見てきた。やはり最大の見どころは、それがデジタル機器であることを忘れてしまうほど美しいRetinaディスプレイだろう。
iPhone 4の登場時にも画面の精細さに驚いたが、9.7型の広い画面で高解像度写真を表示したときの感動はそれよりも大きい。スペックの比較や一見しただけでは分からない“新しいiPad”の魅力は、是非3月16日のアップルストアで確かめてほしい。
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