ハイエンドクラスの影に隠れがちながら、GeForceの下のラインアップも世代交代が進んでいる。GTX 690とほぼ同時に登場したのは、GTX 680の下位GPU「GTX 670」を搭載するカードだ。初回からリファレンスモデルとオーバークロックモデルや独自クーラーモデルが混在しており、4万2000円弱から5万円弱の値で複数社のモデルが店頭に並んだ。
「Radeon HD 7000番台上位に匹敵する性能があって、ピーク時の電力は170ワットに抑えているなど、ハードは優秀です」(クレバリー秋葉原店)と、性能面の評価は上々ながら、初回の売れ行きはいまひとつの様子だった。ツートップ秋葉原本店は「GTX 680との価格差が薄いのがネックですね。予算を5000円くらい上乗せすれば1GPU最強に手が届くという……。4万円前後だったらいい感じになると思うんですけど」と話していた。
実際、ドスパラ パーツ館では、4万2000円以下のPalit「GTX670 2048MB GDDR5 256B」は初回から好調だったという。続いて月後半に直輸入で仕入れたEVGAの「GeForce GTX 670」も、3万7980円という価格設定も手伝ってヒットしている。
一方、5月後半にはミドルレンジを飛ばして、ローエンドGPU「GT 630/620/610」を搭載したグラフィックスカードがみられるようになった。価格は4000円前後から7000円前後。3GPUともにGeForce 600ファミリーに属するが、PCI Express 3.0に非対応で、仕様も従来からあるGeForce 400世代とほぼ同じとなっている。
ローエンドということで注目するショップは少ないものの、ドスパラ パーツ館は「GPUの目新しさはありませんが、新GPUをきっかけにローエンドのラインアップの穴が埋まった意義は大きいと思います。ローエンドクラスで、メモリの種類や容量、出力系統などをじっくり比較して選べる状況というのはけっこう貴重ですからね」と話していた。


EVGA「GeForce GTX 670」(写真=左)。5月末に撮影した、ドスパラ パーツ館の低価格なGTX 670カードのPOP(写真=中央)。ギャラクシーのGeForce GT 630/620/610カード(写真=右)世代交代の進んだ5月は、Z68マザーやSandy Bridgeが放出価格で売られるなど、通常よりも思い切った価格の特価品も目立った。その中でも、SSDの顕著な値下がりに注目が集まっている。特にボリュームゾーンの120〜128Gバイトクラスは、エントリーシリーズの旧製品が9000円台前半で売られるなど、1万円切りが珍しくなくなった。
TSUKUMO eX.は「この勢いが続けば、256Gバイト級が主流になるのに半年いらないかもしれませんね。もう今は半年前まで主流だった64Gバイトを買う人が少なくなっていますし」と語っていた。
そうした業界全体の動きがある中で、アキバでは5月30日にクレバリー秋葉原店が閉店するという悲報が走った。同日に株式会社クレバリーが3億3200万円の負債を抱え、東京地裁に自己破産を申請。価格表を出したままの店舗には、破産手続きを担当する法律事務所名義の告示書が張られた。
周辺からは「昨日まではごく普通に営業していたので、今日店の前に人だかりができていたのを見て、『まさか……』と思いましたよ」(某ショップ)など、5月末というタイミングに驚く声が聞かれたが、長期的には不安視する見方も少なくなかった様子だ。別のショップからは「数カ月前から給料未払いのウワサがありましたし、たなの奥は在庫が薄くなっていましたから。正直、1号店や2号店を合併する際に会社自体が終了してもおかしくなかったでしょう」といったコメントもあった。


6月初旬、「破産者 株式会社クレバリー」と明記した新規の告示書も追加で張られた(写真=左)。3月に移転・合併したばかりのクレバリー秋葉原店(写真=中央)。最後の週末に実施されたキャンペーンのPOP(写真=右)
悲報:「カーテンコールしたかったでしょうね……」――クレバリーが破産申請
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