「VAIO Pro」を“徹底解剖”して見えた真の姿VAIO完全分解&開発秘話(後編)(7/7 ページ)

» 2013年08月13日 15時45分 公開
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第4世代Coreと独自技術を結集して生まれた新時代モバイルノートPC

 最後に毎度恒例だが、開発陣にVAIO Proの満足度を自己採点してもらったところ、皆が100点満点かそれ以上のデキ、とのことだった。この質問に対するVAIO開発陣の回答は、点数がインフレ気味ではあるのだが、4人とも断言できるということは確かな自信があるということだ。

 開発を統括した宮入氏は、「第4世代Coreの省電力性能と各デバイスの開発ターム、UDカーボンの美しいハウジングとデザイン、うまくタイミングが合い、どれも日程通りに進んだ。PCIe SSDは苦労したが、パッケージとしては100点満点以上で、最高のクラムシェル型モバイルノートPCができた」と、その完成度を誇る。

 確かに、2回に渡りお届けしたロングインタビューを通じ、その自信を裏付けるVAIO Proならではの並々ならぬこだわりが、コンパクトボディにこれでもかと詰め込まれていることが実感できた。VAIO Proが発表された際、「第4世代Coreを搭載していながら、重量は770グラムに抑えた“超”軽量ノートPC」と話題になったが、単に軽いだけのモバイルノートPCと思うのは早計だろう。

 薄型、軽量、高い剛性、見栄えのよいデザイン、キーボードの打ちやすさ、タッチ操作のしやすさまで、すべて兼ね備えるための内部と外装の計算された設計、拡張バッテリーも含めたスタミナへの配慮、第4世代CoreにPCIe SSDを組み合わせた高いパフォーマンス、高画質と省電力を両立した液晶ディスプレイ、限られたスペースで高音質に配慮したスピーカー、USB給電と無線LANルータのオプションに対応する小型ACアダプタなど、全体のバランスも非常によく練られているのだ。

 軽さと薄さだけを徹底追求するのではなく、ノートPCとしての使いやすさをしっかり考えて細部まで作り込んでいることこそ、VAIO Pro最大の魅力であり、真の姿といえる。

VAIO Pro 13を構成するパーツ群。薄型化と小型化を追求しつつ、パーツの1つ1つにもこだわっている。機構設計を担当した渡村氏は「Ultrabookでは構造がシンプルになってきたぶん、1つの部品の難易度や重要度が大きくなった印象を受ける。今回はメカ的にもいろいろと新しいチャレンジをして、接着の仕方や、化粧板の意匠、貼り付けプロセスなど、大変なモデルだったが、結果として、バランスがよく、思わず使いたくなるようなセットができた」と語る

 過去にVAIOは、CPUにAtom(古くはCrusoe)を使ったより小型、薄型、軽量のモバイルPCを多数投入してきた。また、約10年前のPentium M時代には「バイオノート505エクストリーム」という、極限まで薄さと軽さを突き詰めたノートPCを発売したこともある。ハイエンド志向のモバイルノートPCでは、VAIO Zシリーズも熱烈なファンを生んだ。

 しかし、VAIO Proほどの薄型軽量ボディを獲得しながら、PCに求められるその他の要素もうまく融合した“絶妙なバランス”のクラムシェル型VAIOノートは類を見ない。これには省電力化が進んだ第4世代Coreの貢献も大きいが、ソニーが長年のPC開発で培ってきた独自技術やノウハウ、AV機器やモバイル機器で得られた強みの横展開、そして開発陣の苦労なくしては、決してなし得なかっただろう。

 これがVAIO Zシリーズのようなハイエンドな価格帯ではなく、10万円台前半のリーズナブルな価格から購入できるのだから、まさに新時代のモバイルノートPCといえる。UltrabookやモバイルノートPCを探している方は、とにかく軽くて小さいVAIO Pro 11か、薄型軽量で性能にも優れたVAIO Pro 13か、ソニーストアでパーツの構成をいろいろ変更しながら見積もりをして、頭を悩ませるのも楽しいだろう。

 筆者としては、PCIe SSDと8Gバイトのメモリ容量、バッテリー駆動時間、キーボードの使いやすさといった点で、VAIO Pro 13を選びたい。

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