“Android新時代”の旗手――ロンドンで見たHTC「Desire HD」と「Desire Z」の実力日本市場でも「年内に発売したい」(3/3 ページ)

» 2010年09月16日 23時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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“サクサク感”と“使いやすさ”が魅力のHTC Sense

 デザインと並んで、Desire HDとDesire Zの魅力になるのが、同社のユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)の統合環境「HTC Sense」である。これはAndroid上に使いやすく表現力豊かなUI環境を構築した上で、応答速度の速さや、PC/デジタル家電連携などを実現するHTCのユーザー体験のパッケージとも言えるものだ。Desire HD/Zだけを見ても、Android OSの深層部まで手が加わっているほか、CPUまで踏み込んだチューニングで体感性能の高さを引き出しているという。

 このHTC Senseの中で特に重視されているのが、体感的な速さと気持ちよさだ。Desire HDとDesire Zともに、本体機能からWeb画面や地図のスクロールまで滑らかかつ小気味よく動き、従来のスマートフォンより一段上の気持ちよい動きが体感できる。

 今回、両機に搭載されているCPUは、Qualcommが新開発した第2世代のSnapdragonだ。Desire HDがMSM8255(1GHz)、Desire ZはMSM7230(800MHz)を採用した。動作クロック周波数だけで見ると、あまり大きなスペックアップをしていないように見えるが、Snapdragonが第1世代から第2世代になったことで、全体的な能力は底上げされている。とりわけそれが実感できるのがDesire Zであり、Webサイトの閲覧や地図の表示、写真の切り替えなどは、とても高速でキビキビと動いていた。一方Desire Zも、Desire HDと並べて比べればスピードの違いは分かるが、その体感速度は数あるスマートフォンの中でもトップクラスだと感じた。第2世代Snapdragonと潜在的なポテンシャルを、HTC Senseによるチューニングがうまく引き出している印象だ。

 使い勝手やUIデザインの面では、広く使われているAndroid OSを採用しながらも、かなり細かな点まで作り込みが行われている。例えば、地図ナビゲーション機能の「Map」では地図データを本体内に蓄積することでスムーズな画面スクロールや拡大縮小ができて、ナビゲーション機能の利用中に着信があっても画面が切り替わらずに電話を受けられるようにUIが作り込まれている。そのほかにもデスクトップ画面やタスク管理、機能メニューまでHTC Senseとしてデザインされた部分は多岐にわたり、Androidの標準的なUIよりも洗練されて分かりやすくなっていた。

Photo HTCSense.comの画面。パソコン経由でDesire HDとDesire Zとの連携を行う。機能面ではMobileMeに近いが、HTCが独自のクラウド型ストレージサービスを構築するわけではない

 HTC Senseのコンセプトは端末以外にも適用されており、PC向けにWebブラウザから利用できる「HTCSense.com」も用意された。これを用いると、Google Mapを用いた地点情報の共有や、コンタクト情報やメッセージの管理、Desire HDやDesire Zを紛失した際には位置確認やデータの緊急削除機能が利用できる。機能的にはAppleのMobileMeに近いが、HTC Senseが提供するのはPCとDesireを連携させる機能とUI部分のみで、メールやスケジュール、写真などを保存するストレージ機能は持っていない。それらはGoogleをはじめとする外部サービスを利用し、PCからDesire HD/Desire Zを使いやすくするという考え方なのだ。このコンセプトの違いもあって、MobileMeが有料サービスであることに対して、HTCSense.comは無料で利用できる。

Photo Desire HD/Desire ZをデジタルTVと連携させる専用レシーバー

 またユニークなものとしては、Desire HD/Desire ZをデジタルTVと連携させる専用レシーバーも用意された。これはDLNAでテレビとDesireを連携させるもので、本体はマッチ箱を一回り大きくした程度。HDMI端子の出力と電源入力しかないというシンプルな端末だ。出力される映像は720PのHDになるという。

 HTC Senseは当初、HTCのスマートフォン向けの統合的なUI環境として登場したが、今回のDesire HD/Desire Zの登場に合わせて、そのコンセプトをさらに拡大し、「HTCの総合的なユーザー体験」を実現する戦略的なものになっていた。スマートフォン側ではAndroid OSから最新のSnapdragon CPUの深部まで入り込んでチューニングし、AppleのiPhoneに匹敵する「ソフトウェア(OS)とハードウェア、UIの一体的な作り込み」を実現。一方で、PCやデジタルTVとの連携で、3スクリーン上にHTCのユーザー体験を拡大しようとしている。スマートフォン市場の今後を見据えた、かなり戦略的かつ野心的なものと言えるだろう。

Android新時代の旗手にして、iPhone 4のライバル

 今回の発表会では限られた時間でしか試せなかったが、それだけでも今度のDesire HDとDesire Zが、コンシューマー向けスマートフォンとして高い実力を持っていることが分かった。おそらく日本では、Android 2.2と第2世代Snapdragonが搭載されたことやカメラ周りなど本体機能の充実に注目が集まるだろうが、実際に触った感想でいえば、それ以上に印象的だったのは「質感の高さ」と「HTC Senseの作り込みのよさ」だった。AppleのiPhoneと同様に、単なるスペックの高さよりも、日常的な使い勝手のよさや気持ちよさが重視されたスマートフォンなのだ。

 今後の日本市場への展開を考えると、このデザイン・質感やユーザー体験へのこだわりは、Desire HDとDesire Zの競争優位性になる。今後、HTC Senseの日本語対応をしっかりと行えば、両機はiPhone 4と同様に、一般ユーザー層の心を捉えて日本市場のスマートフォン移行を促す存在になれるだろう。

 CEOのピーター・チョウ氏によると、Desire HDとDesire Zは日本市場でも「年内に発売したい」という。Android端末の一般普及という新時代の旗手として、その登場を期待を持って見守りたい。

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