大手企業でも売上の5%程度は研究開発費に回しています。継続的な成長のために、われわれビジネスパーソンも自分の“研究開発費”を確保しなければなりません。
さて、次の表を見てください。この表は、2010年度の大手企業の研究開発費です。バラツキはあるものの、おおよそ売上に対して5〜10%程度を研究開発費に投じていることになります。絶対額としても相当なものです。
会社名 | 研究開発費(億円) | 売上高比率(%) | 増減率(%) | |
---|---|---|---|---|
1 | トヨタ自動車 | 7600 | 4.0 | 4.8 |
2 | パナソニック | 5500 | 6.3 | 15.3 |
3 | ホンダ | 5000 | 5.3 | 7.9 |
4 | ソニー | 4500 | 6.0 | 4.2 |
5 | 日産自動車 | 4300 | 5.2 | 11.5 |
6 | 日立製作所 | 3940 | 4.3 | 5.8 |
7 | 東芝 | 3300 | 4.7 | 2.1 |
8 | キヤノン | 3150 | 9.1 | 3.4 |
9 | 武田薬品工業 | 3100 | 22.1 | 4.6 |
10 | デンソー | 2850 | 9.3 | 5.5 |
「研究開発費」というのは、新しい知識の発見や新しい商品やサービスの設計、開発のためのコストです。いわば、企業が将来の付加価値のために費やしているコストです。
勉強に際して必要な本や資料の購入、時短につながるアイテムやITデバイスの購入、ノウハウや人脈づくりのためのイベント出席費などの出費は、それなりの金額になります。しかし、仕事で得たお金の一定部分は生産性向上に回すべきです。そうすることで、時間あたりの収益性をどんどん高められるからです。1つの目安として、企業の研究開発費と同じにように「収入の5〜10%」を目安に、こうした自分価値を高めるための投資に回すことが大事です。
もちろんネットを使えば、かなりの情報やサービスを無料で入手できます。しかし、効率よく体系化されたノウハウを入手するためには、専門家の書いた本を読んだり、セミナーに出席したりすることにかなうものはありません。
わたしも特定のテーマに対する情報収集を行う場合は、少なくとも4〜5冊、多い場合は10冊以上を斜め読みします。1冊の熟読率は低くとも、まとめ読みすることで、短時間で本質を理解できるからです。読書は、多くの人が推奨している通り、一番ローリスクでハイリターンにつながる投資活動です。
また、生産性を高めるためにIT環境を整備する経費や月々の通信費なども、それなりにコストとしては大きいのですが、それによって得られる成果と節約できる時間を考えれば安いものです。廉価版のPCや低速の通信機器を購入したために、その後の生産性が低く、ストレスがたまるようなことをしてはいけません。仕事道具は常に最高のパフォーマンスを維持できるものを選ぶべきです。
こうした生産性を高めるために使われるお金に関しては、コストとして考えるのではなく、常に「投資」とみなして、ある程度の額に対しては寛容になることが必要です。何か新しいものを手に入れる場合には、その価格を気にするのではなく、期待できるリターンを考えながら、購入するとよいでしょう。
何十年にも渡って、企業を継続していくためには、将来への投資が欠かせません。これは、わたしたちビジネスマンにも同じことが言えるのではないでしょうか。長い人生、常に価値ある人材として、仕事を続けていくためにも、わたしたちは自分自身の将来に対して、投資を続ける必要があると思います。
本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。
残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。
ビジネスパーソンは、顧客の要望を上回る成果を出しながらも、自分の時間をしっかり確保して、プライベートの充実と自分の付加価値を高めるための将来に向けた事故投資を両立する必要があります。
本書は、しっかり結果を出しながらも、将来の自分価値を高めるための「時短仕事術」を紹介しています。人生の価値感管理から日常生活のタスク管理まで、生産性戦争に打ち勝つためのテクニック満載です。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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