インタビュー
» 2012年07月13日 08時30分 UPDATE

失敗を恐れず、チャレンジするドコモへ――NTTドコモ 加藤薫社長に聞く (1/3)

2012年6月に、NTTドコモの代表取締役社長に就任した加藤薫氏。「スピード」と「チャレンジ」というスローガンを掲げ、「7分でよしとせよ」の精神でドコモを変えていきたいと語る加藤氏に、“新しいドコモ”のこれからを聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 国内最大のシェアを持ち、今も日本のモバイルIT産業のリーディングカンパニーであるNTTドコモ。その代表取締役社長に、加藤薫氏が就任した。6月20日の社長就任会見(実際の就任は19日)で加藤氏は「スピード&チャレンジ」というスタンスを大きく掲げ、6月28日に行われたSamsung電子製Androidスマートフォン「GALAXY S III SC-06D」の発売イベントでも陣頭に立って成功させるなど、新社長としての取り組みを精力的に行っている。

 筆者は今回、その加藤社長に単独インタビューをする機会を得た。市場ではスマートフォン移行の競争が激化し、インターネット全体を巻き込みながらモバイルITの世界が大きく変化していく中で、どのようにして“新しいドコモ”を築くのか。加藤氏に聞いた。

スマートフォン一般化の中で重要性を増す「dマーケット」

――(聞き手 : 神尾寿) 2012年は一般ユーザー層の「スマートフォン移行」が大きなテーマになっていますが、ここでの手応えはいかがでしょうか。

Photo NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏

加藤薫氏(以下加藤氏) 手応えはあります。先に発売したGALAXY S IIIの販売台数は7月11日時点で21万台を超えていますし、その他のモデルも続々と登場してきます。また、らくらくスマートフォンのような新たな(市場への)チャレンジとなるモデルも投入します。いろいろなセグメント・ユーザー層に対して、ドコモはバリエーションを用意することができました。この戦略が当たってきていると感じます。

―― スマートフォンの一般化にともない、市場の裾野が広がっていますからね。

加藤氏 ええ。スマートフォンの一般化は2011年から始まっていますが、2012年の方が「スマートフォン元年」と呼ぶのにふさわしい年なのかもしれません。それに合わせたラインアップが構築できましたので、我々のスマートフォン販売目標である1300万台は達成できるでしょう。

―― 一方で、スマートフォンの裾野が一般層に広がったことで、スマートフォンの使用用途を自ら見いだし、必要なアプリやサービスを自分で探すといったことができないユーザーが増えています。スマートフォンの世界が、DIY(Do It Yourself)ではなくなってきているわけです。こういった新しいユーザー層に対して、ドコモはどのようなサポートをしていくのでしょうか。

加藤氏 ご指摘のとおり、「スマートフォンの使い道を教えてほしい」というお客様が増えています。ドコモはそういったお客様に対して、我々が直接コンテンツや各種サービスを提供する「dマーケット」を展開していきます。

―― それはCP(コンテンツプロバイダー)向けのプラットフォームである「dメニュー」とは別の姿勢ですね。

加藤氏 dマーケットはドコモの直営であり、(ドコモは)サービサーという立ち位置ですね。このdマーケットには、我々がお奨めするコンテンツを分かりやすくラインアップしていき、ドコモショップなどで直接お客様にアピールしていきます。

 もちろん、このdマーケットでお客様の細々としたニーズすべてに応えられるわけではありません。しかし、ビデオやミュージック、電子書籍、さらにアニメやゲームも用意していきます。最後はeコマースも幅広くやっていきたい。これだけ(スマートフォン向けのサービスが)あると、初心者をはじめ多くの一般ユーザーの方々に楽しんでいただけるのではないかと思っています。

―― ドコモとしてはiモード時代からの延長線としてdメニューはやりつつも、新たな取り組みとしてdマーケットに力を入れていきたい、と。

加藤氏 そのとおりです。もちろん、サービサーとしての取り組みはドコモ単独ではできないものも多くありますので、(dマーケットでは)多くのパートナー企業とともにビジネスを広げていきます。

Androidを軸にしつつ、OSプラットフォームの選択肢を増やす

―― スマートフォンにおいて、ドコモは現状Androidプラットフォームを柱として採用しています。Androidは確かに急速に進化してるわけですが、Google Playにおけるマルウェアの流通問題や、Googleのプライバシーポリシーへの懸念なども抱えています。ドコモほどの大手キャリアが、Androidプラットフォームのみを柱としている現状は経営リスクがあるのではないでしょうか。

Photo

加藤氏 まさにその通りです。我々としてもAndroidプラットフォームのみに依存することがよいとは考えていません。ですから将来に向けては、(Samsung電子が主導する)「Tizen」や(Microsoftの)「Windows Phone」の動向も注視しています。ただ、現時点でAppleのiOSとGoogleのAndroidが主流なのも事実です。ドコモとしては、これらの行く末をしっかりと見極めながら、“打つべき手は打つ”という時があると思います。

―― Androidに加えて主力プラットフォームを追加することは、今年から来年にかけてありますか?

加藤氏 そう遠くないです。市場の動きは速いですし、待ってくれません。一方で、既存のOSプラットフォームとは別のアプローチとしてHTML 5の動向にも注目しています。

―― それはMozillaなどが取り組む「Webプラットフォーム型OS」ですね。

加藤氏 それに関心を持っているのは事実です。とにかく、OSプラットフォームの世界は動きが速いですし、選択肢も増えています。(ドコモのスマートフォンの柱は)Androidプラットフォームのみという状況は変わっていくでしょう。

―― 2012年度後半から2013年度にかけて、ドコモのスマートフォンやタブレットの陣容はどのようになっていくのでしょうか。

加藤氏 そうですね。iOSはおそらく入っていないのではないかと思います(笑) やはり中心はAndroidで、そこでマルチデバイスを実現していく。一方で、少しずつ別のOSプラットフォームのものが増えていく可能性はあります。

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