インタビュー
» 2013年03月12日 10時00分 UPDATE

ソフトバンクとのシナジー効果も:イー・アクセスに聞く、月額3880円で使えるLTEスマホ「STREAM X」投入の狙い (1/3)

2年間使えば端末代は実質0円、割引も加えると毎月のランニングコストは3880円に抑えられる「STREAM X(GL07S)」。料金面のインパクトが非常に大きいが、イー・アクセスはどのような狙いでSTREAM Xを投入したのか。担当者に話を聞いた。

[田中聡,ITmedia]
photo イー・モバイル初のLTEスマートフォン「STREAM X(GL07S)」

 LTEに対応し、テザリングもできて、端末代も含めた月額のトータルコストがわずか3880円。3月7日に発売された、初のEMOBILE LTEスマートフォン「STREAM X(GL07S)」は、他社のLTEスマートフォンよりもはるかに安い料金で利用できるのが大きなメリットだ。クアッドコアCPUを備え、LTE Category 4をサポートし、イー・モバイル端末では初めておサイフケータイも利用できるなど、必要十分なスペックを満たしている。なぜここまで安い料金に設定したのか。STREAM Xではどんなユーザーをターゲットにしているのか。そしてソフトバンクとの経営統合はどんな影響をもたらしたのか。イー・アクセス 執行役員 マーケティング本部 宣伝部長 中村達郎氏に聞いた。

Huawei製だから、最先端のスマホを安く出せた

photo イー・アクセスの中村達郎氏

ITmedia まずは、LTEスマートフォンのSTREAM Xと、新たなパケット定額サービス「データ定額5」を提供する狙いを教えてください。

中村氏 LTEスマートフォンの料金は、戦略的な位置付けで出させていただいています。こういう料金プランにした背景には、弊社の調査で、お客様がキャリアを選ぶ理由として、「回線が安定していること」とほぼ同じくらいに、「利用料金が安いこと」を挙げている人が多いことがあります。ケータイからスマートフォンに変えると、「データ通信料金が高くなった」という不満が多いことは、外部の調査でも目立っています。データ通信に強いイーモバイルとして、いかに使いやすい金額にすべきかを考えました。

 それ以前に、イー・モバイルの端末が、どういうシーンで使われているのかを考えたときに注目したのが、電波状態が安定していることです。ここ1〜2年、大手キャリアさんで通信障害が発生しています。一昨年には東日本大震災が起き、帰宅するときに連絡が取れなかった方も多くいらっしゃいました。しかし、業務用にイー・モバイルのケータイを使っているイー・アクセスの社員は、震災時もまったく問題なくケータイを使えました。そういった意味で、もう1台持っていただくことによる安心感があります。

 さらに、今スマートフォンを使っている人の不満点として、頻繁に充電が必要になったことも挙がっています。テザリングが普及している中で、ケータイをバックアップとして使いながら、メインのスマートフォンのバッテリー持ちも良くしたい。ヘビーに使う人はモバイルWi-Fiルーターの方が良いけど、我々のユーザーは必ずしもヘビーユーザーばかりではありません。「Nexus 7」や「iPad mini」など7インチクラスのタブレットが発売されてから、タブレットのWi-Fiモデルを買って、たまにネットに接続したいという人が増えています。イー・モバイルのスマートフォンは、Pocket WiFiウィジェットからワンタッチでテザリングをオンにできるので、カバンからルーターを出して電源を入れるよりも手軽に使えます。STREAM Xは、ライトユーザーにはPocket WiFiの代わりになると考えています。

 STREAM Xは、スマートフォンとしても自信を持ってお出しできるものです。Huaweiさんのスマートフォンは、日本国内での実績が海外に比べると遅れていますが、STREAM Xのベース機である「Ascend P2」は、欧州などでは話題になっています。このAscend P2をベースにして、日本で使う上では必須と言われているFeliCaを搭載しています。日本国内でも、思う存分メイン端末として安価に利用いただける形が整ったと思っています。

ITmedia 他社のLTEスマートフォンは、一括で7〜8万円するものが多いですが、STREAM Xは新規契約または機種変更で「バリュースタイル」に加入すると一括価格は4万2000円に抑えられますし、月額割引が毎月1750円適用されるので、2年間使えば端末価格は実質0円になります。

中村氏 ここもまさに戦略的なところです。イー・アクセスがスマートフォンを提供していること自体の認知が低いところがあります。イー・アクセスが最先端のスマートフォンを安価に、かつユーザーニーズに合った形で提供することを、皆さんに知っていただくことが重要だと考えました。

ITmedia STREAM Xが防水やワンセグには対応していないのは、もろもろバランスを考えた結果なのでしょうか。

中村氏 そうですね。STREAM Xは尖っている人向けに提供すると考えていたので、機能は絞り込みました。FeliCaについては、尖っている人ほど日常的におサイフケータイを使っているんですよね。赤外線やワンセグはiPhoneも搭載していないですし、尖った方たちも必須だとは考えてないんですよね。あとはコストの話もあります。すべてを搭載したことでコストが上がり、それを企業側で吸収するのは難しいです。

photophoto おサイフケータイや緊急速報メールも利用できる

ITmedia ワンセグや赤外線を載せていたら、4万2000円という価格設定は厳しかったと。

中村氏 厳しかったですね。

ITmedia LTEスマートフォンの端末メーカーにHuaweiを選んだ理由は、どのあたりにあるのでしょうか。

中村氏 Huaweiだから、この「スペック」の端末をこの「金額」と「タイミング」で出せました。ほかのメーカーだったら、この金額を提供できたかは分かりませんね。あとは、LTEのCategory 4に対応するスマートフォンをこのタイミングで出せたのも、Huaweiだから、というのはあります。

ITmedia 現在、(市場に出ている中で)LTEのCategory 4に対応したチップは、HuaweiグループのHiSilicon製のものだけですからね。ただ、Category 4の規格値を実現するには、周波数の割り当てが必要になります。現状はいかがでしょうか?

中村氏 まだ詳細は決まっていませんが、総務省のロードマップにもとづいて粛々と進めているところです。

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