第10回 中国スマホ女子“2億人”を獲得せよ!山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2013年06月10日 10時36分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 前回の連載記事で紹介したように、中国ではスマートフォンメーカーが乱立し、2012年は2億台弱の出荷数を記録している。この巨大なスマートフォン市場に多くのメーカーが参入しているが、特定のターゲットに製品を絞ったメーカーも最近では増えている。その中には、女性向けモデルを専業とするメーカーも存在する。

スマートフォンを購入する女性は中国でなんと2億人

 中国の携帯電話総加入数は、2013年4月末時点で11億件を超えている。総人口13億人に対し普及率は8割を上回ったのに、今でも新規加入数の増加ペースは衰えていない。最近では、2Gから3Gへ回線移行するユーザーも増えており、2013年3月には中国主要3事業者の3G新規加入数は単月で過去最高となる1741万件に達した。3Gの普及率は、先進国と比べてまだ低く、2013年4月末時点で約25パーセントに留まっている。だが、13億という人口の母数から計算すると、25パーセントでも3G加入数は2億9300万件と、それだけで日本の人口の2倍以上に達している。

 3Gの新規加入や2Gから3Gの移行では、3G対応スマートフォンへの買い替えが当たり前となっている。台湾の調査会社Digitimes Researchによると、中国のスマートフォン出荷台数は2012年で1億8900万台に達した。これは前年比で約4割の伸びとなる。この約2億台のうち、中国製スマートフォンの割合は61パーセントと過半数を超える。これだけの市場規模があれば、ハイエンドからローエンドまで幅広くラインアップを展開する大規模なメーカー以外にも、特定のユーザー層を想定した製品“だけ”を展開するメーカーが存在できる。LenovoやCoolpadなどの大手と真っ向から対抗しなくとも、中国の中小メーカーに商機は十分ある。実際にMeizu(魅族)やXiaomi(小米)のように年間のリリースが数モデルながらも少数精鋭でベストセラーを次々に送り出して成功をしているメーカーも出てきている。

家電量販店でもスマートフォン売り場に中国製品が目立っている(写真=左)。文字通り、大手メーカーと肩を並べるまでに成長したXiaomi(写真=右)

 このように、中国ではすべてのユーザー層をターゲットとせず、特定需要だけを狙った製品展開を行い、それでも販売数を拡大しているメーカーが増えている。その中でも最近目立っているのが、女性向けスマートフォンを手がけるメーカーだ。日本でも女性を意識したスマートフォンがいくつか登場しているが、中国では女性向けのモデル“だけ”を開発製造しているメーカーも存在する。

 しかし、中国といえど女性ユーザーだけをターゲットにしてビジネスは成り立つのだろうか? 国連の経済社会局人口部による「World Population Prospects, the 2010 Revision」によると、スマートフォン購入の意識が高い年齢層と考えられる20歳から39歳の中国の女性人口は、2010年時点で約2億人と報告している。これは、女性向けの製品だけを作っても、中国には2億人の市場が待っていることを示す。女性向け専業スマートフォンメーカーは、この2億人の「中国女子スマートフォンユーザー」を狙って勝負をかけている。

女子向けスマートフォン専業メーカー「Doov」

 深センのDoov(朶唯)は、2009年に創業したスマートフォンメーカーだ。創業の戦略説明と製品発表会を高級ホテルで開き、「女性だけをターゲットにした携帯電話を市場に送り出す」と宣言して、世界初の女性向けモデル“専業”メーカーとしてスタートした。当時は台湾MTKのフィーチャーフォンプラットフォームを採用するメーカーが急速に増え、中国全土で携帯電話メーカーが次々と登場していた。それら各社が、シンプルな格安モデルやを製造し、メーカーが大手メーカーモデルとデザインをよく似せた“山寨機”を出荷して販売数を拡大していった中、Doovは、「女性が欲しがる製品」に特化していった。

,,世界初の女性向け端末専業メーカーをうたうDoov(写真=左)。量販店のDoovブースでも女性向けであることをアピールする(写真=右)

 Doovがリリースした最初の製品は、当時日本でも主流だった折り畳みスタイル(クラムシェル型)のフィーチャーフォンだ。中国や海外でクラムシェル型は一時的な人気で終わってしまったが、それでも、そのスタイルは女性ユーザーを中心に根強い人気があった。2000年代中ごろからは、中国に非正規輸入した日本の携帯電話を、SIMロック解除して使う女性ユーザーも多くいたほどだ。わざわざそうしなくては、折り畳み型でデザインを重視した携帯電話を中国で使うことができなかった。

 Doovはプロモーションキャラクターに台湾出身の女優、スー・チー(舒淇)を採用した。中国でも絶大な人気を誇り、女性にとって憧れの存在の彼女を起用したことは、新興メーカーだったDoovの知名度を一気に広める結果となった。

起業当初は、折り畳みスタイルのフィーチャーフォンが主力だった(写真=左)。広告モデルには、中国女性に人気が高いスー・チーを採用した(写真=右)

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