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» 2013年10月04日 21時30分 UPDATE

全都道府県で100Mbps超え:広さ×速さの“クアッドバンドLTE”で快適なネットワークを目指すドコモ

iPhone 5s/5cの発売で、各社のLTEネットワークがますます注目を集めている。4つのLTEバンドを持つドコモは、800GHz帯/2GHz帯で「広さ」を、1.5GHz帯/1.7GHz帯で「速さ」を訴求する。

[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモが10月4日、ネットワーク戦略に関する記者説明会を開催。「iPhone 5s」「iPhone 5c」が発売されてあらためて注目を集めているLTEネットワークについて、取締役常務執行役員 ネットワーク担当 徳広清志氏が説明した。

LTE基地局を倍増させる

photo NTTドコモの徳広清志氏

 ドコモのLTE(Xi)では、2GHz/800MHz/1.5GHz/1.7GHz帯という4つの周波数帯を使用している。2012年冬モデル以降のAndroidスマートフォンから2GHz/800MHz/1.5GHzをサポートし、2013年冬モデルは1.7GHz帯を含む4バンドすべてに対応する。なお、iPhone 5s/5cは1.5GHz帯には対応しない。「iPhoneで(800MHz帯の)FOMAプラスエリアや1.7GHz帯が使えるのか? というお問い合わせがお客様から増えている」(徳広氏)そうだが、どちらも対応している。

photophoto ドコモのLTEネットワーク戦略(写真=左)。LTEの隔週は数体に対応する端末(写真=右)

 LTE対応基地局も順調に増加しており、2013年3月の約2万4400局から、2014年3月末には約2倍増となる約5万局にまで増設する見通し。下り最大75Mbps以上に対応した基地局も、14年3月末には、13年3月の約6倍増となる約4万局に拡大する予定だ。これまでLTE基地局を劇的に増やせなかったのは、「LTEの車線(帯域)を増やすほど3Gのトラフィックが混雑してくるので、ここを慎重に見過ぎた」(徳広氏)ため。「去年(2012年)の今ごろ、3Gのトラフィックがピークアウトしたことが観測できた。今年度(2013年度)は基地局を倍増するという一気呵成な計画を立てており、鋭意努力している」

 屋内のLTE化はIMCS(屋内専用の基地局)を設置することで進めており、13年9月には約5000箇所の施設(大型施設の90%以上)でLTE化を実現している。小規模施設には、超小型基地局の「フェムトセル」や、周辺基地局の電波を屋内に引き込む「小電力レピーター」を導入している。小電力レピーターは3Gのころから導入しており、「近くの基地局がLTEに対応すると、その電波を増幅して運べ、自宅でもLTEが入るようになる」(徳広氏)。

photophoto 2013年8月には、約8割のXi基地局が75Mbps以上をサポートする(写真=左)。施設内のLTEエリア化も拡大している(写真=右)

 徳広氏によると、「どこでLTEを使えるのか?」といった問い合わせも増えているという。そこでドコモは“速さの見える化”に注力し、10月11日からWebサイトのエリアマップの中に、75Mbps/112.5Mbps/150Mbps対応エリアを色分けして表示する。

photo 速度ごとに色分けしたエリアマップを10月11日から公開する

2013年内に山手線全域で150Mbpsに対応する

 2GHz帯と800MH帯では、どこでもつながる「広さ」を重視し、2GHz帯は主に都市部、800MHz帯は主に郊外で運用している。KDDIは800MHz帯、ソフトバンクモバイルは900MHz帯を「プラチナバンド」としてアピールしているが、ドコモはあくまで2GHz+800MHz帯の合わせ技でLTEエリアを構築する考えだ。「800MHz帯だけの実人口カバー率は他社に比べると低く見えるが、2GHz+800MHz帯で広さを追求したい」(徳広氏)

 1.5GHz帯と1.7GHz帯では「速さ」に注力し、下り最大100〜150Mbpsのサービスを提供している。ドコモの1.5GHz帯はLTE専用のバンドであり、東名阪を除く一部地域で15MHz幅をフルに使った下り最大100Mbpsまたは112.5Mbpsのサービスを提供している。東名阪でも1.5GHz帯の5MHz幅は使えるが、残り10MHz幅はタクシーなどに使われているMCA無線に、2014年3月末まで割り当てられている。「2014年4月1日から1.5GHz帯の3波(15MHz幅)を運用できるよう準備を進めている」(徳広氏)

 1.7GHz帯はこれまで3G用に運用していたが、20MHz幅を使った下り最大150Mbpsのサービスを、東名阪を中心に開始している(対応機種はこれから発売される)。「1.7GHzでは基地局の4キャリア(20MHz幅)すべてをLTEに対応させる工程を進めている。9月20日から順次、東名阪の大きなエリアから150Mbpsサービスを提供する」と徳広氏は説明する。さらに、2013年内に山手線全域で150Mbpsに対応し、150Mbps対応基地局は2013年度末に500局、2014年度末には2000局に増設する見通しだ。

 東名阪では1.7GHz対応基地局、それ以外の地域では1.5GHz対応基地局を拡大していく。結果として、2013年10月末には、全都道府県(それぞれで1箇所以上)で下り最大100Mbpsを超える通信が可能になる。ただしiPhone 5s/5cは1.5GHz帯をサポートしていないため、下り最大100Mbpsの通信ができるのは東名阪の1.7GHz帯のみとなる。

photophoto 150Mbpsのエリア化も着々と進めている(写真=左)。13年10月末に、全都道府県で100Mbps以上のサービスが利用可能になる(写真=右)
photophoto 周波数の帯域幅を道路に例えると、このような図になる。1波(5GHz幅)を1車線としている(写真=左)。都市部は6セクタ基地局、地方は3セクタ基地局、さらに地方はオムニ基地局という具合に、トラフィックに応じて最適な基地局を配置していく。屋内はIMCS、小電力レピーター、フェムトセルでカバーする(写真=右)

やみくもに速度は追求しない

 順調にLTEの高速化を進めているドコモだが、第三者機関の調査で比較したドコモ/au/ソフトバンクの速度調査では、ドコモのスループットが最も遅いという結果も伝えられている(関連記事)。これについて徳広氏は「速いに越したことはないが、我々はスピード(実効速度)が遅くなっているお客さんに基準を設けて、その基準を下回りそうなときに、車線(帯域)を広げるというアプローチを取ってきている。1.5GHz帯と1.7GHz帯ではまとめて3〜4車線(15〜20MHz幅)を提供するが、音声とパケット通信の両方に使っている2GHz帯と800MHz帯は慎重に対応している」とコメント。やみくもに速度を追求するのではなく、できるだけ多くのユーザに安定して通信してもらうことを重視している姿勢を示した。

 9月20日〜29日にドコモへ転入してiPhoneを購入した人にドコモがアンケートを実施したところ、約80%のユーザーがドコモのエリアに満足しているという結果も出た。徳広氏は「音声通信もデータ通信も、都市部でも郊外でも、(ネットワーク機器の)故障時や災害時にも強いネットワークを作ってきた。今後もこの3つに対するストロングなネットワークを構築していきたい」と力を込めた。

photophoto ドコモのエリアに関するユーザーの声(写真=左)。さまざまな状況下において、ユーザーが満足できるネットワークを目指す(写真=右)

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