SIMフリーのiPhone 5s/5cが発売――各キャリアの対応とメリット/デメリット石野純也のMobile Eye(11月11日〜11月22日)その1

» 2013年11月22日 22時22分 公開
[石野純也,ITmedia]
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 冬モデルの発売が相次いでいる、11月11日から11月22日の2週間。国内メーカーでは、「DIGNO M」を発売する京セラが発表会を開催した。京セラは、米国でも徐々にシェアを伸ばしており、ソニーモバイルに次いで海外のシェアも高いメーカーだ。ここでは、そうした海外戦略も明かされている。メーカー系では、ほかにも20日にLGエレクトロニクスが「isai」の発表会を実施している。タブレットに目を移すと、12日にAppleが「iPad mini Retinaディスプレイモデル」を発売した。さらに、NECはレノボとの協業で生まれた低価格で軽い「LaVie Tab S」を投入。奇しくも、発表日はiPad miniと同じ12日だった。

 このように、新端末の話題が盛りだくさんだった2週間だが、本連載では今回は京セラの国内外における戦略や、NECのAndroidタブレットに対する取り組みを紹介していく。また、22日には、Appleが突如、SIMフリー版のiPhone 5s、5cをオンラインストアの「Apple Store」で販売開始し、大きな話題を集めた。キャリア各社とも、このSIMフリーiPhoneを受け入れていく方針。ここでは、その影響も考察していきたい。

 京セラとNECについては、追って掲載する予定だ。

イー・アクセスはSIMカード単体の販売はしない方針

 22日、Appleはオンラインストアの「Apple Store」で、SIMフリー版のiPhoneを発売した。端末はiPhone 5sとiPhone 5c。本稿執筆時点では注文を受け付けている状態で、iPhone 5sは出荷までに1〜2週間、iPhone 5cは1〜3日かかる見通しだ。実店舗での販売は開始されておらず、今後、取り扱うかどうかの表明もまだされていない。

photophoto iPhone 5sと5c、両方のSIMフリー版が発売された

 価格はiPhone 5sの16Gバイト版が7万1800円、32Gバイト版が8万1800円、64Gバイト版が9万1800円。iPhone 5cは16Gバイト版が6万800円、32Gバイト版が7万1800円となる。これらのiPhoneにはSIMロックがかかっておらず、どのキャリアのSIMカードでも原則的に読み込むことはできる。ただし、iPhoneの周波数が適合しているのは、現時点でドコモ、KDDI、ソフトバンクの回線のみ。イー・アクセスがMNOとして提供する回線は、今のところ3Gの周波数が合わず、利用できない。LTEは1.7GHz帯が利用できるが、残念ながらSIMカード単体で契約する手段が用意されていない。現時点では、SIMカードの提供は「未定」(イー・アクセス広報部)とのことだ。

photo 現時点では、オンラインストアのみで販売されている。iPhone 5sの出荷は1〜2週間とされている

SIMフリー版iPhoneの持ち込み契約はOK、ただし割引は対象外

 では、大手3社の対応はどうか。ドコモは、従来からSIMフリー端末の受け入れを行っており、iPhoneの場合も「SIMフリーのAndroid端末と同様に回線を提供する」(ドコモ広報部)とのこと。ドコモ版のiPhoneでは、現状「Xiパケ・ホーダイ for iPhone」しか選択できないが、SIMフリー版なら月々5985円の「Xiパケ・ホーダイ フラット」に加え、月々4935円の「Xiパケ・ホーダイ ライト」も選択できる。通信費を抑えたい場合は、SIMフリー版を利用するという手もありそうだ。ただし、ドコモから購入した場合に適用される、月々サポートがつかず、トータルでのランニングコストは割高になる点には注意したい。

 ドコモならではの特徴なのが、データプランで契約できること。「持ち込みでも『プラスXi割』は適用される」(ドコモ広報部)とのことで、「Xiデータプラン フラット にねん」なら月額料金は3980円になる。iPhoneを購入する初期費用はかかるが、iモードケータイとの2台持ちをしたいようなときにオススメできそうだ。

 端末購入に伴う毎月の割引が適用されないのは、KDDIも同様だ。同社はすでにSIMフリー端末向けにLTEの料金プランを用意していたが、SIMフリー版のiPhoneを持ち込んだ場合でもLTEを契約できる。ただし、キャンペーンが適用されないため、LTEフラットがKDDI版のiPhoneより525円高い5985円になる。

 ソフトバンクモバイルは、SIMフリー版iPhoneの発売に合わせ、SIMカードのみでのLTEプランの契約を開始する。こちらもドコモやKDDIと同様、端末購入に伴う「月月割」は適用されない。また、パケット定額サービスもキャンペーン適用対象外となり、「パケットし放題 for 4G LTE」が5985円になる。

3社の主なスマートフォン向けパケット定額サービス
キャリア サービス名 料金
ドコモ Xiパケ・ホーダイ フラット 5985円
Xiパケ・ホーダイ ライト 4935円
au LTEフラット 5985円
ソフトバンク パケットし放題 for 4G LTE 5985円

SIMフリー版iPhoneのメリットとデメリット

 SIMフリー版のメリットは、SIMカードを差し替えながら使えることにある。海外に行ったときは、現地キャリアのプリペイドSIMカードを買い、格安に通信できるのが特徴だ。ポストペイド中心の日本ではあまり現実的ではないが、複数のSIMカードを持ち、用途に合わせて使い分けるといったことも可能となる。MNPや解約の際に、端末をそのまま別のキャリアで使える“自由”もある。

 逆に、デメリットは上記のように、端末購入に伴う割り引きが受けられない点だ。Appleが割賦販売を行っているため、初期費用を抑えることは可能だが、キャリアで購入した際に受けられる通信費の割引は一切ない。

 お金を払って自由を取るか、割引を受けながら1つのキャリアで使うかの選択になるというわけだ。海外では、国によってどちらに重きが置かれているのかは異なるものの、SIMフリーとSIMロック、2つの仕組みが共存していることが多い。選択肢が広がるという点において、AppleがSIMフリー版の販売を開始したのは歓迎できる動きだ。

 日本では、ドコモがSIMロックの解除サービスを提供しているが、iPhoneは対象外。SIMフリー端末の販売も、海外ほど一般的ではない。そこに、「Nexus 5」や「Nexus 7」などの端末が登場し、徐々に風穴が開いてきた状況だ。ここに、ブランド力のあるiPhoneが加わることで、SIMフリーの端末が一般的に認知される効果は期待できる。価格の違いもあり今すぐSIMフリーが主流になることはないと思うが、日本でも選択肢の1つとして定着する可能性はある。また、格安料金を打ち出すMVNOの存在感も発揮できそうだ。

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