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» 2014年02月25日 20時41分 UPDATE

Mobile World Congress 2014:Facebookのザッカーバーグ氏がMWCデビュー、「WhatsAppには190億ドルの価値がある」と買収を評価

Facebookの共同創業者兼CEO、マーク・ザッカーバーグ氏が、Mobile World Congressの基調講演に初めて登壇。モバイルアプリ「WhatsApp」買収、Facebookが主導している「Internet.org」の取り組みなどについて語った。

[末岡洋子,ITmedia]

 スペイン・バルセロナで開催中のモバイル業界最大のイベント「Mobile World Congress 2014」の初日となる2月24日、Facebookの共同創業者兼CEO、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏が基調講演を行った。1週間前に世間を驚かせた190億ドルでのモバイルアプリ「WhatsApp」買収、Facebookが主導しているInternet.orgの取り組みなどについて話をした。

「Internet.org」で途上国にネット体験を

photo Facebookの共同創業者兼CEO、マーク・ザッカーバーグ氏

 創業10年で初めてMWCのステージに登場したザッカーバーグ氏は、「The Facebook Effect: The Inside Story of the Company That Is Connecting the World」の著作を持つ技術ジャーナリスト、デビッド・カークパトリック(David Kirkpatrick)氏との対談形式で行われた。

 ザッカーバーグ氏は45分間の対談のほとんどの時間を、世界でインターネットへの接続環境を提供する活動「Internet.org」に割いた。Internet.orgはFacebookが2013年にSamsung、Nokia、Ericsson、Qualcomm、Opera、MediaTekらと立ち上げたイニシアティブ。インターネットにアクセスできない途上国向けの活動で、現地のオペレータと協力してFacebookやWikipediaなどのコンテンツを利用できるようにしていく。

 成長市場と比べると、経済的に余裕が少ない人々がデータ通信にお金を払ってもらうには、「データ通信で得られるものを理解してもらう必要がある」とザッカーバーグ氏は話す。「『データ料金プランを申し込みたいか?』と言ってもだめ。だが『Facebookを使いたいか?』と言えばイエスだろう」

 Mobile World Congressは通信キャリア中心の業界団体GSM Associationが主催するイベントで、毎年“まだコネクトしていない人々をコネクトする”をテーマとしており、2014年は“2020年までにあと10億人をコネクトする”を掲げている。会場に集まった通信業界の人々に対し、「データサービスを利用してもらうには、根本から状況を変える必要がある」と提起。オペレーターや端末メーカーから、世界10億人が利用する巨大なインターネット企業に“コネクト”の主導権が移ったかのように感じた。

WhatsAppで狙うものは?ーー長期的視野をアピール

 WhatsAppの買収の理由について聞かれると、「WhatsAppは素晴らしい企業で、我々と相性が良いと感じた」とザッカーバーグ氏。「モバイルの世界で、これまで存在した中で最もエンゲージングなアプリ。ユーザーの70%が毎日使っている。これは、ほかのサービスと比べると大きな魅力だ」と続けた。

 買収発表時、190億ドルという買収金額は高すぎるとする向きも多かった。金額についてザッカーバーグ氏は、“WhatsAppそのものの価値”と“Facebookの一部になること”がもたらす戦略的な価値から分析した。前者については、「WharsAppそのものに190億ドルの価値はあると思う」と言い切る。「現在、190億ドルという価値に対比すると売上げは少ない」と認めつつも、「(WhatsAppは)10億人が利用するサービスになる可能性がある数少ない企業。このレベルに達した企業はどこも高い評価金額になっている」と述べた。

 WhatsAppと同じようなサービスとして日本の「LINE」や韓国の「カカオトーク」を挙げながら、「(LINEやカカオは)初期的取り組みですでにマネタイズを実現し始めている。これは、(モバイルメッセージングが)大きなビジネスになる可能性を示すものだ」と述べた。そうは言いながらも、「自分の読みは間違っている可能性もある。ユーザーが20億人に達しても価値は出ないかもしれない。間違っているとは思わないが……」と述べ、ザッカーバーグ氏自身、まだメッセージング市場の先行きを確信していない様子ものぞかせた。

 今後の計画としては、WhatsAppは独立した企業として運営し、まずはユーザー数を増やしていくというWhatsAppの目標をFacebookは支援していくという。「Facebookの一部となることで、5年程度の時間をかけて目標にフォーカスできる」「この目標の過程を一緒に楽しめることを光栄に思う」とザッカーバーグ氏、買収金額の懸念を払しょくするかのように、WhatsAppに対し長期的視野を持っていることをアピールした。なお、WhatsAppの共同創業者兼CEOのジャン・コウム(Jan Koum)氏は午前中のキーノートに登壇しており、「数カ月以内に音声サービスを開始する」と事業計画を発表したところだった。

 Facebookのスタートアップ企業買収といえば、2013年末にSnapchatの買収を試みたことが記憶に新しい。「まだSnapchatを買いたい?」という会場からの質問に対し、ザッカーバーグ氏は「ノー」と一言。「160億ドル(買収金額のうち30億ドルはWhatsAppの従業員に付与される。それを差し引いた額)で(WhatsAppを)買ったところだ。しばらくはいいだろう」と笑った。

 ザッカーバーグ氏は、2013年の6月に元職員のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏が告発した国家安全保障局(NSA)のインターネット監視プログラムについてもコメントした。「NSAの一件はFacebookにとって問題になっているか?」との会場からの質問に対し、「アメリカのインターネット企業にとって大きな問題になっている」と真顔で答えた。「政府は我々を保護する責任があるし、自分たちがやっていることに透明性を持つ必要がある。自分たちがやっていることに透明性がなかったという点で、一線を超えた」と自身の見解を示した。

 ではFacebookの対応は――。「重要な個人情報を共有するサービスにとって信頼は大切だ。Facebookはこれまで、政府が我々に要請しているデータをユーザーに開示すること(透明性リポート)に取り組んできたが、これを継続する」とザッカーバーグ氏は話す。また、「これまでインターネットポリシーでバラバラなこともあった業界が、一致団結を強める契機にもなっている」と思わぬ効果をもたらしていることも明かした。

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