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» 2015年01月30日 12時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:「フィーチャーフォン難民を社会的責任で救いたい」 ━━ガラホ「AQUOS K」発表会でシャープ幹部が語ったこと

auの2015年春モデルとして登場したAndroid搭載フィーチャーフォン「AQUOS K」。シャープが「ガラホ」を開発した背景と今後の戦略を語った。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 1月21日、シャープはAQUOS Kの製品説明会を行った。世間では「ガラホ」として注目されているが、シャープとしてはスマホではなく「ケータイの進化形」として訴求したいようだ。終了後に通信システム事業統轄兼通信システム事業本部長の長谷川祥典氏の囲みが行われた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年1月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


「石川温のスマホ業界新聞」バックナンバー

―― AQUOS Kの手応えはどうか。

長谷川氏 もうすでに結構なメディアに取り上げられており、かなりいけるのではないか。

(★ この説明会も本来ならテレビ各局が取材に来るらしかったが、別の事件が発生してキャンセルになったらしい)

―― 今後、主力商品になっていくのか。

長谷川氏 我々としては結構、ユーザー調査を行った。その結果、フィーチャーフォンユーザーは買い換えたいんだけど、買い換える機種がないと言われる方が結構多い。そういうユーザーにはピッタリなのではないか。

―― メーカーにとってみたら、フィーチャーフォン市場は美味しい市場なのか。

長谷川氏 美味しいというかユーザーさんがおられるのでね。そういったユーザーさんを社会的責任としてもケアしていかないと思っています。

(★ 確かに社会的責任はあるかも知れない)

―― フィーチャーフォンユーザーはいま、路頭に迷っているのか。

長谷川氏 そうなんですよ。フィーチャーフォンを使い続けたいけど、LINEのコミュニケーションに入れないとか。ここに集合というURLが送られてくるんだけど、クリックしても見られないとか。フィーチャーフォン難民と言いますか、そんな状況になっているので、そういうところを我々としては改善したい。

(★ 誰しも積極的にスマホに乗り換えているわけではない、ということ)

―― シャープが提案して、このプラットフォームを作ったのか。

長谷川氏 そうです。1年半ぐらい前から、検討は開始しまして、いろいろユーザー調査した結果、これだったらいけるなということで、キャリアさんに提案した。具体的な仕様についてはキャリアさんと一緒に検討しております。基本的にはシャープからご提案させていただいた。

(★ 「キャリアからの指示で作ったのではないか」という意見もあったけど、どうやらシャープが主体となって開発したようで)

―― 今回は開発費もあって収益性で見ると、フィーチャーフォンと比べると後退するのか。

長谷川氏 フィーチャーフォンの部品って古い部品なので、結構、高いんですよね。そういう意味では新しくて先進的な部品のほうが値段が下がっている。そういうこともありますし、開発もスマートフォンと共通していますので、開発費が大きな負担になるということもありません。

(★ ガラケーのほうがコストは高くなるというのは確かに納得かも)

―― いま携帯電話事業は黒字なんですか。

長谷川氏 現在黒字です。

―― さらに拡大する?

長谷川氏 拡大したいなぁと。売り上げが拡大すれば確実に拡大する。

―― シェア4割でどれくらいの売り上げを見込んでいるのか。

長谷川氏 どれぐらいになるかなぁ。えっと。早期に。

―― シャープが開発したなかで、開発体制についてもう少し教えて欲しい。

長谷川氏 最初のアイデア、こんなやつをつくったらどうかというのは、トップダウンでやらせてもらいました。あと仕様とかこんな声があるよ、こんな機能をつけたらというのは現場からボトムアップであがってきた。そんな企画のやりかたです。

―― 昔、ソフトバンクとauからテンキー付きを出したが、その時の反省はあるか。

長谷川氏 大変、反省して作っています。あの時、使用時間がものすごく短かったんですよ。無理矢理タッチパネルを使うことで、操作感が悪かったと。AQUOS Kを作るときも「本当につくるのか』」という議論が社内ではあった。それらを改善したのが、今回の商品。そういう意味では使い勝手も持ち時間も、現状のフィーチャーフォンユーザーをがっかりさせない仕様になっています」

(★ あの時の反省が生きているなら、ガラホは期待できるかも)

―― タッチパネルを採用しなかったのもそういう理由があるのか。

長谷川氏 そうです。無理に液晶画面を折りたたみで触れませんよね。小さいですし。そんなこともあって、どうしたらいいんやと。いろいろ考えた結果、テンキー部分をタッチパネル的に使えるようにした。

(★ あの端末、本当に使いづらかったもんな)

―― タッチパネルを採用しなかったことで、別途アプリ開発が必要にあるが、LINEのようにベンダーに働きかけていくようなことはするのか。

長谷川氏 当然、していきたいと思いますし、タッチパネルがないので、いまのアプリをそのままは持ってこられませんけども、そんなに大きな変更をしなくても持ってこられます。Androidベースなので。

 テンキーが入るような仕様をちょっと追加していただければ、従来のアプリケーションをそのまま持ってこられますので、ベンダーさんにはあまり負担はない。我々も積極的にお願いをしていきたい。

(★ どれだけアプリが対応してくれるかは気になるところ。LINE以外にFacebookとTwitterが対応してくれればありがたいかも)

―― グーグルプレイは主体的に載せなかったのか、それともグーグルの規定を満たせなかったから載っていないのか。

長谷川氏 タッチパネルがついていないと言うことで、規定を満たしていないので載せられない。

(★ グーグルプレイに対応するとアカウントの設定が必要になるだけに、ガラケーユーザーには不向きになる。これでいいのではないか)

―― タッチクルーザーEXは現在、仕様が公開されていないが、発売に向けて公開し、アプリを増やすというやり方もあるように思えるが。

長谷川氏 当面は我々の特長で、と思っていますけど、ビジネスモデルによっては今後、オープンにするというのも検討したい。

―― シャープ独自でアプリストアを提供するという考えはあるか。

長谷川氏 そういうことも検討しています。

―― 逆にケータイ向けのコンテンツやゲームが使えないという弱点は感じているか。

長谷川氏 それは我々も悩みました。悩みましたけど、それをやろうとすると全部、イチからやらないといけない。それこそ開発費が持たない。むしろ、フィーチャーフォンのユーザーには、新しいアプリで楽しんでもらいたいという方向でいきたい。

(★ フィーチャーフォン向けコンテンツが使えないというのが、どのように評価されるか気になるところ)

―― 見た目がガラケーだが、ユーザーにどのようにアピールするのか。

長谷川氏 正直、デザインは悩みました。ただ、やっぱりフィーチャーフォンユーザーの方に買い換えていただきたい。使っていただきたいので、あえてフィーチャーフォンと同じ形にした。

 今後は新世代をイメージさせるようなデザインも考えていきたい。まずはあえてフィーチャーフォンに近い形にさせてもらっている。

―― デザインのチャレンジは今後もしていくのか。

長谷川氏 いま、フィーチャーフォンを使われている方は折りたたみを使いたいという方が結構おられるので、あの形は大事にしたいと思っています。ただ、そのかたちのなかで、今後のデザイン展開、もっと薄くするとか画面を大きくするとかは考えられると思う。それはこれからの検討課題です。

(★ いまガラケーを使っている人は折りたたみが好きなわけで。新しい形が受け入れられるかは微妙じゃないかな)

―― 画面が回転するなどもあり得るのか。

長谷川氏 スイベルね。そういうのもあるかと思います。具体的にはまだ始まってませんけど。温故知新ということで、古いものもいいものは取り入れていきたい。

―― 部品が足りなくなってきているとか、そういうことはないのですか。

長谷川氏 機構部品ですね、折りたたみの蝶つがいの部分、ヒンジを作られているメーカーがだいぶ少なくなってきている。ただ、なくなっているわけではない。そこは今後、需要が広がれば、メーカーさんも広がる。

(★ ガラケー復活になると面白いけど)

―― フィーチャーフォンだとシェアが獲りやすいという見立てもあるのか。

長谷川氏 海外メーカーが入りにくいところでもございますので、国内メーカーとしてやりやすいところかなと思います。

(★ 京セラ、シャープ、富士通の戦いになりそう)

―― 構造改革がかなり進んでいると思いますが、長谷川さんから見て、残っている課題などはあるか。

長谷川氏 海外、中国製のケータイなどが出てきましたけども、もう一段、コストを下げて、ユーザーさんに安く提供できる仕組みですとか、そんなことを考えていかないといけないと思っています。

―― かつてフォックスコンとやろうとしていましたが、ああいったことですか。

長谷川氏 ただ、安いだけではダメだと思うので、国内向けには日本のユーザーさんには満足してもらえる品質、機能を保ちながら、安くすることを考えたい。

 単に海外メーカーに安く作ってくださいと言ってできるものではないと思っている。

(★ 品質問題は大事かと。AQUOS CRYSTALも苦労したようだし)

―― いまアメリカに進出しているが、アジア展開などは考えていないのか。

長谷川氏 いろいろ検討はしております。AQUOS CRYSTAL、海外で結構、好評なんですよ。僕らが考えている以上に好評で、横展開できないかなと考えています。

(★ ホント、アジアで売れば、相当、ヒットしそうだけど。値段的にも勝負できるし)

―― ソフトバンクとスプリントの共同調達体制が変わりそうだが、シャープにとって影響はありそうか。

長谷川氏 具体的には聞いていませんので、コメントは差し控えさせていただきたい。

―― アメリカの現状、足元はどんな感じか教えて欲しい。

長谷川氏 スプリントさん向けに出したモデルが好調に売れていると聞いております。今後の話についてはスプリントさんとも会話をしなくてはいけないと思います。

―― アメリカの収益はどうか。

長谷川氏 どういったらいいかな。アメリカも入って、量が拡大して全体として黒字です。

取材を終えて

 シャープとしては、フィーチャーフォンはこれからすべてガラホにしていくということで、KDDIだけでなく、NTTドコモやソフトバンクモバイル向けもガラホになる可能性が出てきた。ただ、アプリやサービスなどはガラホ用のものを作らないといけないので(KDDIは準備中)、このあたりはNTTドコモとソフトバンクがちゃんと作ってくるかが課題になりそう。

 フィーチャーフォン市場は、パナソニックやNECモバイルが強いだけに、これでシャープがどれだけシェアを獲れるかが気になるところだ。長谷川さんは「シェア40%を目指す」と言っているだけに、1年後、どれだけシェアを拡大できるかが注目しておきたい。

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