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» 2016年01月09日 01時20分 UPDATE

CES 2016:10メートル離れていても充電OK――KDDIとOssiaのワイヤレス給電システム「Cota」デモ

KDDIと米Ossiaがワイヤレス給電技術「Cota」を共同開発。複数台のデバイスを同時に、しかも電波の範囲内(約10メートル)であれば広い範囲で、置き場所を問わずに給電できるのが特徴。そのデモをCESで見てきた。

[太田百合子,ITmedia]

 ワイヤレス給電技術を持つ米Ossia(オシア)社と、同社に出資するKDDIは6日(現地時間)、CESに出展したブース内で、ワイヤレス給電技術「Cota(コータ)」を用いたシステムのメディア向けデモンストレーションとラウンドテーブルを開催した。

photo 中央の黒いバケツのようなものがチャージャー。左のスマートフォンケース型のバッテリーと、右のスマートロックにセットされた2つの単三電池型バッテリーにレシーバーが内蔵されている

 米Ossia社はワイヤレス給電に関する技術開発を行っているスタートアップで、米Microsoft出身のCEO、Hatem Zeine氏が2008年に起業した。KDDIは2015年にKDDI Open Innovation Fundを通じて同社への出資を行っている。

 CES会場内のブースにて開催されたラウンドテーブルで、KDDI執行役員でバリュー事業本部 新規ビジネス推進本部長の雨宮俊武氏は、出資の経緯について「ITの世界で次に何が来るのか考ると、IoT(Internet of Things)が1つのキーワードになる。そこでIoT関連のスタートアップに注目していた中、Ossia社の無線給電技術を知る機会があった」と説明。「IoTの世界では電力をどうデバイスに供給するかが重要になってくるが、それを場所を選ばずにワイヤレスでできるのはすごいこと。話を聞いて、ぜひ将来は日本に持ってきて、デバイスと一緒にプラットフォームとして展開してきたいと考えた」という。

photo Ossia社CEOのHatem Zeine氏(左)と、KDDIバリュー事業本部 新規ビジネス推進本部長の雨宮俊武執行役員(右)

 今回出展されたのは、Wi-Fiと同じ2.4GHz帯の周波数を使って、専用のチャージャー(送電側)からレシーバー(受電側)を内蔵した単三電池型のバッテリーを入れたIoT機器と、ケース型のバッテリーを装着したスマートフォンに、ワイヤレスで給電するシステム。スマートフォンアプリを用いて、デバイスごとの給電状況を管理できるほか、デバイスのIDを設定・登録することで、認証されたデバイスのみに給電できる。KDDIはレシーバーを埋め込んだバッテリーや、デバイスの給電を管理するアプリ、au IDを用いたデバイス認証の仕組みを、今回Ossia社と共同開発している。

photo チャージャーの中には、写真のようなアンテナとチップセットがぐるりと張り巡らされていて、レシーバーから発される100分の1秒の微弱電波をキャッチし、同波の電波をレシーバーに逆送させて発電する仕組みになっている
photo レシーバーは既にかなり小型化されている。アンテナは同じ2.4GHz帯を使うWi-Fiなどと共用が可能なため、そうしたアンテナを持つデバイスであれば、チップセットを追加するだけで給電が可能だ。ただし給電効率を高めるためには、やはりアンテナの最適化が必要とのこと
photo レシーバーを内蔵した単三電池型バッテリー。レシーバーは量産化後、1つ1ドルや2ドルといった金額での供給を目指すという
photophoto スマートフォンのアプリを使って、給電状況やデバイスごとの給電のオン、オフを管理。こうしたデータは1Mbps程度であれば、給電と同じ電波に載せてやり取りできるという
photophoto デモではau IDを使って、給電するスマートフォンを認証する仕組みも紹介された
photo 実際に離れた場所から、ケース型のバッテリーを充電することができた

 システムの給電力は1Wと小さいが、qi(チー)のような既存の非接触型の給電技術とは異なり、Cotaでは複数台のデバイスを同時に、しかも電波の範囲内(約10メートル)であれば広い範囲で、置き場所を問わずに給電することができる。デモではスマートロックにセットした2つの単三電池型バッテリーに対して、給電する様子も紹介された。スマートロックのように設置場所が固定され、バッテリー交換が面倒なデバイスや、ウェアラブルのように小型ゆえに搭載電池容量が少ないデバイスにも、ワイヤレスかつ継続的に給電が行えるのは大きなメリットといえるだろう。

 一方で給電量の1Wは、電池の大容量化が進む昨今のスマートフォンを充電するには、かなり物足りない数字だ。実際にスリープ状態であれば1時間に20〜25%程度充電できるものの、GPSやストリーミングを使用しながらの給電した場合、消費電力に給電力が追いつかないこともあるという。

 「スマートフォンの充電をこれだけでやろうと思ったら難しいが、補完するツールにはなる」と雨宮氏。将来的には屋内だけでなく、「屋外のスポットにもプラットフォームとして展開できる可能性がある」という。KDDIは今後、こうしたプラットフォーム展開や、チャージャー、レシーバーを組み込んだデバイスの供給などに携わっていく考えだ。Zeine氏も「街中、オフィス、電車、空港、レストランなど、24時間どこでも給電ができるようになれば、バッテリー切れがなくなる。KDDIとともにそういう未来を目指したい」と、KDDIとのパートナーシップに期待を寄せる。

 米国では既にFCC(連邦通信委員会)準拠の試験をクリアし、人体への安全性も確認済みとのことで、Ossia社では2016年内には認可を得て、商用化に向けた動きを加速させたい考え。ただし日本での展開については、「現在の電波法では無線給電に対しての規定がないため、具体的に動き出すのはそうした法整備の後になる」(雨宮氏)とのこと。対応デバイスが日本で利用可能となるのは、まだ少し先の話になりそうだ。

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