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» 2016年02月12日 20時44分 UPDATE

MVNOの深イイ話:格安SIMとMNPの関係 (1/2)

異なる携帯電話会社で同じ電話番号を利用できる「MNP(モバイル番号ポータビリティ)」は、MVNOでも利用できますが、幾つかの課題もあります。今回はMVNO(格安SIM)とMNPの関係について紹介します。

[堂前清隆,ITmedia]

MVNOでも使える番号ポータビリティ(MNP)

 携帯電話会社を変えても、以前の電話番号をそのまま使い続けたい――。そんな利用者の要望に応えるのが、モバイル番号ポータビリティ(MNP)制度です。MNPを利用して以前利用していた携帯電話会社から「転出(ポートアウト)」し、新しい携帯電話会社に「転入(ポートイン)」すると、今までの電話番号を引き継いだまま、新しい携帯電話会社のサービスを受けることができます。

 MNP制度はMVNOのサービス(格安SIM)でも利用できます。ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアから転出してMVNOへ、また、逆にMVNOから転出して3大キャリアへ移行することもできます。さらに、MVNO同士でMNPを利用して携帯電話会社を移行することもできます。

 ただし、MNPが利用できるのは、音声通話に対応した契約のみです。データ通信専用や、SMS対応のデータ通信契約はMNP制度の対象外ですので、これらの契約への転入も、転出も行えません。

 このMNPの仕組みを使って電話番号を引き継いだまま、3大キャリアからMVNOに電話会社を移動するという人が増えています。例えば、最近のIIJmioでは音声通話対応サービスの契約者の3分の2程度がMNPによる転入です。これらの方々は、今まで使っていたメインの電話番号をIIJmioに移して利用されていると思われます。

MVNOならではの悩み

 ところが、MNPの仕組み上、MVNOには悩ましい問題がありました。それは、MNPの手続き中に数日間電話が使えない期間ができてしまうことです。

 MNPを行う際には、転入先の携帯電話事業者が、MNPの管理システムを通して転出元の携帯電話会社に転出の手続きをします。同時に、転入先の携帯電話会社が発行したSIMカードへ電話番号を書き込み、開通するという手順をとります。

MVNO MNP手続きの流れ

 転出の手続きを取った瞬間に以前の携帯電話(SIMカード)は利用不可能になるため、新しいSIMカードが利用可能になるまでの間、必ず携帯電話が利用できない時間が発生します。これは、同じ電話番号を複数の携帯電話会社が提供することができないためで、MNPの仕組み上回避できません。

 一般的な携帯電話会社であれば、日本全国にある携帯電話ショップの窓口でMNPの手続きが行えます。一連の作業は短ければ数十分で完了し、新しいSIMカードを利用者にお渡しできます。この程度であれば電話が使えなくてもあまり気にならないという人が多いでしょう。

 ところが、MVNOでは自社のショップを持っていないところがほとんどです。そのため、ネットでMNP転入の依頼を受けた後、MVNOのセンターで転出・SIMへの電話番号を書き込み・開通を行い、宅配便で利用者に新しいSIMカードをお届けする形になります。このとき、センターで作業をした瞬間に以前のSIMカードが利用不可能になってしまいます。新しいSIMカードが利用者の手元に届くには数日必要になるため、その間電話が利用できない状態になっていました。

MVNO MVNOにMNPをすると、SIMカードが使えない期間が生じた

MVNOの店舗でもMNP手続きが可能に

 これではあまりに不便なので、幾つかのMVNOではMNPの手続きが行える店舗を開設しています。店舗にはMVNOの契約手続きを行うための書類や機材と、SIMに電話番号を書き込むための機械が設置されています。

 このような店舗を用意すれば、その場で契約を受け付け、以前の携帯電話会社からの転出・電話番号書き込み・新しいSIMの開通作業が行えるため、キャリアと同様に短い時間でMNPの手続きを完了させることができます。

 ですが、こういった店舗を作ることは、営業力の弱いMVNOにとっては大きな負担です。そのため、MVNOが自社で運営する店舗はとても数が少なく、販売に協力している家電量販店やショッピングセンターの一角にMVNOのコーナーを開設するのが一般的です。

 IIJmioではビックカメラやイオンなどの協力を得て、全国で約400カ所(2016年2月12日時点)のカウンターを用意しています。しかし、これでもキャリアの店舗網と比べると2桁少ない数しかありません。まだまだ気軽にMVNOの店舗を利用できる状況にはなっていないのです。

MVNO ビックカメラで展開している「BIC SIM」のカウンター

自宅でMNPをできる仕組みを導入

 そこで登場したのが、MNPの切り替え作業を自宅で行う方法です。全てのMVNOで導入されているわけではありませんが、主要なMVNOでは導入が進んでいます。

 この方法では、MVNOのセンター内でSIMカードに電話番号は書き込むものの、開通をさせないまま、利用者に向けて発送します。利用者がSIMカード受取、準備が整ったところで、以前の携帯電話会社への転出手続きと、新しいSIMカードの開通作業を行うことで、切り替えに伴う電話が利用不可能な時間を最短にとどめることができます。

MVNO 利用者が好きなタイミングでMNPができる「おうちでナンバーポータビリティ」の仕組み

 実はこの方法、KDDIの設備を利用したMVNOでは以前から対応していました。ケイ・オプティコムの「mineo」auプランでは、サービスを開始した2014年6月から自宅でのMNPの切り替えに対応しています。ところが、ドコモの設備を利用しているMVNOは長らくこの方法に対応しておらず、2015年9月になって、ようやくIIJmioを始めとしたドコモ系のMVNOでの対応が始まったのです。

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