「LINEモバイル」で格安プラスαの価値を――LINEがMVNOに参入した理由(1/2 ページ)

» 2016年09月05日 23時37分 公開
[田中聡ITmedia]

 LINE、Twitter、FacebookのSNSが使い放題となるLINEのMVNOサービス「LINEモバイル」の詳細が発表された。サービスはLINEの100%子会社であるLINEモバイルが提供する。

 LINEはなぜ、MVNO事業に参入したのか? 数あるMVNOサービスの中で、LINEモバイルはどのように差別化を図っていくのか?

LINEモバイル 「LINEモバイル」のSIMパッケージ

料金と品質プラスαが求められている

LINEモバイル LINEの舛田淳取締役

 LINEの舛田淳取締役は、「スマートフォンは、私たちの生活でなくてはならない不可欠な存在であるにもかかわらず、日本ではまだ半分近くのユーザーがスマートフォンを使っていない」と現状を説明する。その理由として「月額通信料が高い」「自分に合ったプランがない」「通信量制限に悩まされている」という3つを挙げ、「料金と実際のニーズにギャップがある」と舛田氏は説明する。

 MVNOが増えて、大手キャリアよりも安いサービスは多数あるが、スマートフォンの普及率が爆発的に伸びているわけではない。一方で、「SNSやメッセンジャーさえ使えればいいという声さえ聞こえる」「ゲームや動画のリッチコンテンツの利用が急速に上がっている」と舛田氏が話すように、スマートフォンの用途は多様化している。

LINEモバイル MM総研の調べによると、2015年における日本のスマートフォン普及率は56.9%
LINEモバイル MVNOの契約数は着実に伸びている
LINEモバイル iPhoneとAndroidともに、LINE、Facebook、Twitterのアクティブユーザーがトップ5に入っている

 「ユーザーニーズを満たすには品質や価格と、さらにプラスαが求められている。そのためにMVNOに参入した」と舛田氏は語る。そんな中でLINEが着目したのが、スマートフォンでも特に利用率が高い「SNS」。「SNSはよく使うけど、他のサービスは使わない。でも速度制限に悩まされている」といったユーザーに対して、LINEが使い放題になる「LINEフリー」と、LINE/Facebook/Twitterが使い放題になる「コミュニケーションフリー」を提案する。

LINEモバイル 「LINEフリー」プラン
LINEモバイル 「コミュニケーション」プラン

 LINEモバイルの嘉戸彩乃社長によると、プラン名の「フリー」には、「利用シーンがフリーであること」と「制限や複雑な条件がないこと」という意味が込められているという。

 月額500円〜/1GBのLINEフリーは「LINEを始めたいからスマートフォンを使いたい」「グループチャットして家族とコミュンケーションをしたい」というユーザーに向けたエントリープラン。他社のデータ専用1GBプランは「イオンモバイル」は月額480円、「FREETEL SIM」が月額499円で、LINEモバイルは「LINE使い放題」を含めて月額500円からなので、競争力のあるプランだといえる。

 月額1100円/3GB〜月額2640円/10GBのコミュンケーションフリーは一般ユーザーからヘビーユーザーまでをカバーするプラン。他社の3GBプランは「IIJmio」「BIGLOBE LTE・3G」をはじめ900円前後が多いが、+210円でLINE、Twitter、Facebookが使い放題になるのは、3サービスのヘビーユーザーにとってはお得だ。

 「LINEモバイルは、最低限の料金で済ませたいという人に向いているし、子供に持たせてもよい。フィルタリングも無料で提供するので、安全に使える。子供とLINE、Facebook、Twitterだけできればいいというニーズには応えられる。サブ端末、サブアカウントとして使うヘビーユーザーにも対応できる」と舛田氏は多彩なユーザーに訴求できることを強調する。

LINEモバイル LINEモバイルの想定ユーザー層

カウントフリーはNTTコムが支援

LINEモバイル LINEモバイルの嘉戸彩乃社長

 LINEモバイルの肝である「SNSのカウントフリー」は、NTTコミュニケーションズがMVNEとして技術を提供している。NTTコムも自社のMVNOサービス「OCN モバイル ONE」で、「050 plus」や「マイポケット」などの通信量をカウントしない「カウントフリー」を提供しており、そのノウハウが生かされているとみられる。

 嘉戸氏によると、NTTコムが保有する設備で、タグから対象サービスのIPアドレス、ポート番号、パケット内容のヘッダの一部を機械的、自動的に識別することでカウントフリーを実現しているという。なおパケット内容にテキスト・画像・動画は含まれない。「対象サービスは日々進化し、タグも日々変化している」(嘉戸氏)ため、正確に識別するには、コンテンツプロバイダー(今回はLINE、Twitter、Facebook)との密接な連携が必要になる。「パートナーシップを組んだ状態でやるからこそ、カウントフリーの対象にする・しないをきちんと判別できる」と舛田氏は胸を張る。

LINEモバイル NTTコムの設備を使ってカウントフリーを実現している

 こうしたサービスでは、何らかの不具合によって実際は通信量がカウントされていた――という恐れもあるが、同様のサービスで実績のあるNTTコムが開発に携わり、しかもコンテンツプロバイダーともしっかり情報共有しているということで、信頼できるシステムと考えてよさそうだ。

 また、LINEのカウントフリーを導入する際に「LINEモバイル以外にパートナーシップを組んでいるMVNOはいない」(舛田氏)そうで、多くの時間や技術を要するため、現時点で他のMVNOとパートナーシップを結ぶ予定もないとのこと。

 カウントフリーを利用するにあたっては、ユーザーに対して、利用時に明確な同意を求め、同意をしないとLINEモバイルは利用できない。カウントフリーは全プランに導入されているので、カウントフリーをやめたい場合にはLINEモバイルを退会する必要がある。

 今後は音楽配信サービス「LINEミュージック」もカウントフリーの対象に追加する予定。LINEゲームについては「今回はスマートフォンユーザーで最もニーズの大きいところ(SNS)からスタートした。その次に、少し狭くて深いところにチャレンジしていきたい」(舛田氏)とのことで、対応する可能性はあるようだ。

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