ニュース
» 2017年12月22日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:楽天が6000億円で、携帯電話事業に本格参入――5年前、イー・モバイル買収なら1800億円で済んだのに

楽天が通信設備を持つ「MNO」として名乗りを上げることを決めた。より柔軟なサービス設計を実現するための選択だと思われるが、いろいろな意味で“遅きに失した”印象がある。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 今週、楽天が1.7GHzと3.4GHzを取得して、携帯電話事業に参入することを明らかにした。業界内では「なぜ、いまさら」という声が相次いでいる。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年12月16日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


「石川温のスマホ業界新聞」バックナンバー

 楽天としては、MNNOとしてNTTドコモのネットワークを借りて事業を展開するよりも、柔軟な料金体系を実現するためにも、MNOになった方が得策だと考えたのだろう。しかし、このタイミングに、イチから全国にネットワークを構築するというのはあまりに無謀すぎる。ローミングなど、既存キャリアからの支援を得ないことにはまともなサービスは提供できないのではないか。

 そもそも、すでに基地局を設置できるような場所は既存キャリアに抑えられてしまっている。特に都内で基地局を設置する場所を開拓するのさえ困難なはずだ。

 楽天を見ていると、本当に「決断が遅い」とイライラさせられる。

 本来なら、楽天は、イー・モバイルが売却先を探しているタイミングで買収し、携帯電話事業に参入した方が良かったのではないか。あの時のイー・モバイルなら、全国にネットワークを持ち、端末や顧客管理など、人材もそれなりに揃っていた。楽天が買収し、楽天経済圏と連携したサービスを提供していれば、今ごろは結構、いいポジションにいたかも知れない。ソフトバンクがイー・モバイルを買収していなかったら、いまよりもネットワークは貧弱だったわけで、iPhoneを巡る競争環境も面白くなっていたはずだ。

 ソフトバンクがイー・モバイルを買収できたのは、総務省の失策であり、あれによって、日本の携帯電話市場から競争がなくなってしまった。イー・モバイルを存続させておけば、いまのような寡占状態は起きなかったはずだ。いまさら、第4のキャリアを作ろうとしても、大手3社に太刀打ちできないのは目に見えているではないか。

 楽天はイー・モバイルを買えるチャンスがあったにも関わらず、買わなかった段階で、すでに「負け組」であり、これからどんなに6000億円を投資したところで、無駄に終わる可能性が極めて高い。ちなみに、ソフトバンクはイー・アクセスを1800億円で買収している。

 全国的にネットワークを敷設して、いまの楽天モバイルより安価な料金設定をするのは難しいはずだ。

 それならば、いまの楽天モバイル事業に対して、数百億円を突っ込み、プロモーションを強化し、店舗網を充実させたほうが、よっぽど効率良くユーザーを獲得し、収益を上げることができるのではないか。6000億円あったら、いまの楽天モバイルに投資したほうが身のためのような気がしてならない。

© DWANGO Co., Ltd.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう