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» 2010年04月06日 11時00分 UPDATE

写真も動画もこれ1台:フラッグシップノートは“Z”だけじゃない――「VAIO F」実力診断 (1/3)

多彩なラインアップを誇るVAIOノートのフラッグシップモデルといえば、高級モバイルの「VAIO Z」が思い浮かぶが、据え置き型で頂点に立つ「VAIO F」も見どころ満載だ。

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

クリエイティブユースを強く意識した大画面ノート

tm_1004vaiof_01.jpg 「VAIO F」

 ソニーの「VAIO F」は、数あるVAIOシリーズの中でも据え置き型ノートPCのフラッグシップに位置付けられる。2010年の春モデルでフルモデルチェンジを行い、ボディデザインを一新するとともに、新世代CPUのCore iシリーズを中心とした基本システムにリニューアルした。ここでは3モデル用意される店頭販売モデル(標準仕様モデル)のうち、クリエイティブワーク向けの要素が強い最上位機「VPCF119FJ/BI」を取り上げる。

 同社は2008年秋に「Photo PC Project」を立ち上げ、「VAIO type R(RT)」や「VAIO A(AW)」といったVAIOのハイスペックラインにおいて、写真編集用途を積極的に提案してきた。2010年春モデルでは、これを「VAIO Creation Line Project」に発展させ、VAIO FでもAdobe RGBカバー率100%のプレミアムな液晶ディスプレイや、GPGPU技術のNVIDIA CUDAによって高速な映像編集が可能な外部GPUを搭載するなど、クリエイティブユースを強く意識している。

 VPCF119FJ/BIは店頭モデルの中で唯一、ブラックのボディを採用する。「プレミアムブラック」と名付けられたオールブラックのボディは、円柱型のヒンジ部を軸にしたシリンダーフォルムやキー間隔を離したアイソレーションキーボードなど、VAIOノートおなじみの要素を盛り込みつつ、落ち着きのあるシンプルなデザインにまとめている。

 天面は薄くラメが入ったブラウンに近いブラックで、光の反射によって見え方が変わるが、表面はベトつかず、指紋も付きにくい。パームレストの素材には同社のデジタル一眼レフカメラ「α」のグリップと同質のエラストマーを用いることで、皮のような凹凸のある質感を演出するなど、素材や仕上げで下位モデルと微妙に変化を付けている。

 ボディのサイズは387.2(幅)×263(奥行き)×31〜43.5(高さ)ミリで、重量は約3.2キロだ。据え置きでの利用を前提にした製品だが、それほど重くはないので室内などでの移動はしやすい。標準で付属するバッテリー(Sバッテリー)の駆動時間は約2時間となっているが、もう少し長くバッテリーで動作させたいユーザーのため、約3.5時間駆動をうたうLバッテリーのオプションも用意されている。

tm_1004vaiof_02.jpg 最上位モデルのVPCF119FJ/BIは、プレミアムブラックのボディを採用。下位モデルのボディカラーはホワイトで統一されている
tm_1004vaiof_03.jpg パームレストには、手になじみやすく、高級感もあるエラストマー素材を採用している。カメラのグリップのような質感だ
tm_1004vaiof_04.jpg リチウムイオンバッテリーをヒンジ部の下に装着する。据え置き型ノートなので、ACアダプタはやや大きめだ

クアッドコア+NVIDIA GPUのパワフルな処理性能

 VAIO Fの特徴の1つが基本性能の高さだ。CPUにはクアッドコアのCore i7-720QM(1.6GHz)を採用している。1コアにつき2スレッドを同時に取り込むIntel Hyper-Threading Technologyに対応しているため、4コアで最大8スレッドの同時処理が可能だ。CPUの状態や負荷に応じて安全な範囲で自動的に動作クロックを上昇させるIntel Turbo Boost Technologyも利用でき、高負荷時の動作クロックは最大2.8GHzまでアップする。

 つまり、動画のエンコードや静止画/動画のフィルタ処理などマルチコア/マルチスレッドに最適化されたソフトウェアはもちろん、そういった最適化がなされていないシングルタスク中心のソフトウェアも高速に処理できる性能を持つ。

tm_1004vaiof_05.jpgtm_1004vaiof_06.jpg CPU-Z 1.53.1で見たCPUの状態。CPUにはクアッドコアのCore i7-720QMを採用している。基本動作クロックは1.66GHzとなっているが、省電力機能のEIST(Enhanced Intel Speedstep Technology)とTurbo Boostにより、動作クロックは常に変動している。アイドル〜低負荷時には最低1.2GHzで、一方の高負荷時には利用コア数やCPU温度などの状態に応じて最大2.8GHzまで動作クロックが上昇する

tm_1004vaiof_07.jpg GPU-Z 0.3.9で見たGPUの状態。GPUはNVIDIAのGeForce GT 330M(グラフィックスメモリ1Gバイト)だ。48基シェーダプロセッサを搭載し、CUDA対応ソフトでは動画のエンコードなどが高速に行える

 GPUにはNVIDIAのGeForce GT 330M(グラフィックスメモリ1Gバイト)を採用している。モバイル向けとしてはミドルレンジのGPUだが、CPUやチップセットに内蔵されるグラフィックス機能とは一線を画す3D描画性能を備えており、比較的描画の負荷が低いタイトルであれば3Dゲームもプレイできる。もちろん、MPEG-4 AVC/H.264やVC-1のハードウェアデコードなどのHD動画再生支援機能にも対応している。

 また、GeForce GT 330MはGPGPU技術のNVIDIA CUDAをサポートしており、CUDAに対応したアプリケーションでは動画のエンコードなどが高速に行える。VPCF119FJ/BIでもプリインストールの写真・動画管理ソフト「PMB VAIO Edition」のビデオ編集機能がCUDAに対応しており、SD動画からHD動画へのアップコンバートや、ノイズ除去、手ブレ補正、H.264(ハンディカムで撮影したAVCHDも含む)のエンコードといった処理が高速に行える。

 CUDAのオン/オフはユーザーが任意に選択できるようにはなっていないが、ソニーによると、SD動画からHD動画へのアップコンバートが約56%高速化されるという。実際に1分間のSD動画(MPEG-2/9.2Mbps VBR)をHD動画へ変換したところ、4分弱で変換できた。

tm_1004vaiof_08.jpg 「PMB VAIO Edition」は、ソニー製デジタルカメラに付属するオリジナルの写真/動画管理ソフト「PMB(Picture Motion Browser)」に、従来の「VAIO Movie Story」などのVAIOオリジナルソフトを統合したものだ
tm_1004vaiof_09.jpg PMB VAIO Editionに含まれる独自の編集機能「VAIOクリエーション」は、写真/動画の高画質化やムービー作成、BD/DVD作成機能などを持つ。AVCHDのエンコードなどはNVIDIA CUDAによって高速に処理できる

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