Snapdragon 820の「ハイエンドWindows 10スマホ」はいつ出るのか鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)

» 2015年12月16日 06時00分 公開
前のページへ 1|2       

デスクトップ版とスマホ版のWindows 10をほぼ同時配信

 Windows 10 Mobileのソフトウェア面についても地味ながら注目すべき動きがあったので、合わせて紹介しておきたい。

Build 10586.29 Windows 10 Mobile Insider Previewに配信された「Build 10586.29」。詳しくは後述するが、初の携帯キャリアのチェックをバイパスしたアップデートとして注目されている

 12月4日(米国時間)、Windows 10 Mobile Insider Previewにおける最新アップデート「Build 10586.29」のOTA(Over The Air)配信が開始された。これは11月18日に配信された「Build 10586」の累積的アップデート(Cumulative Update)にあたり、簡単に言えば機能追加のないバグ修正やセキュリティ対策のためのアップデートだ。

 Build 10586は「TH2(Threshold 2)」とも呼ばれており、デスクトップ版のWindows 10では「November Update(1511)」とも呼ばれている。両者ともにビルド番号は同じ10586であり、デスクトップ版のWindows 10とモバイル版のWindows 10 Mobileで初めて同じビルド番号にてOSコアを共有したことが強調されている。

 Windows 10 Mobile向けのBuild 10586.29とほぼ同じタイミングの12月2日には、やはりデスクトップ版Windows 10向けに累積的アップデートの配信が開始されており、Windows 10とWindows 10 Mobileの2種類のOSでアップデートの提供が行われたことになる。

 なお、Microsoftは「Project Milkyway」という仕組みを推進しており、最新のOSアップデート提供から4〜6週間以内に、それをエンドユーザーのデバイスへ届けることを目標に掲げている。

 現在スマホで問題になっていることの1つに「デスクトップOSほど頻繁にアップデートが提供されない」というものがあり、Microsoftが両OSへ同時にアップデートを提供することで、改善を図ったというのがBuild 10586.29の位置付けだ。

携帯キャリアを介さないことで素早くアップデート可能に

 それではなぜデスクトップOSほどにはスマホのOS向けアップデートが頻繁に提供されないのかと言えば、理由が2つほど考えられる。

 1つは全プラットフォーム共通の問題で「(スマホを販売する)携帯キャリアのソフトウェアチェックが入る」ことに由来する。仮にMicrosoftがアップデート用のソフトウェアを用意したとしても、それを携帯キャリアに渡して配信の了承を得るまでに最大1〜2カ月ほどの時間を要してしまう。

 実際、筆者は米国でAT&T版の「Lumia 920」を使っているが、最新のアップデート配信までにキャリア縛りのない製品に比べて2カ月以上配信が遅れる事態を何度か経験している。

Lumia 920 Microsoftの「Lumia 920」。筆者は米国でAT&T版を使っているが、最新アップデートの配信まで待たされる傾向がある

 もう1つは「プラットフォーム断片化によるソフトウェア対応の遅れ」だ。例えばAndroidが顕著だが、GoogleがNexusをベースにした最新Android OSのアップデートを用意する一方で、同OSを採用する各メーカーは自社のハードウェア向けにアップデートを含んだ状態でソフトウェアのカスタマイズと検証を行い、別途アップデートを用意しなければいけない。

 そのため、Nexus向けの最新アップデートが提供されて以降、大手ほどアップデート対応が早く、それ以外ではそもそもアップデートが提供されないことさえある。これはセキュリティ対応上は非常にまずく、Androidにおける大きな課題となっている。

 OEMによるソフトウェア提供形態を採っているWindows 10 Mobileでは、Androidほどではないが、各メーカーのチェックが入るため、若干アップデートの配信ラグが発生する可能性がある。逆にハードウェアとソフトウェアを全て1社で提供しているAppleのiOSでは、こうした問題が発生しない。これはあまり語られないiPhoneの大きな強みだ。

 とはいえ、Windows 10 Mobileの配信ラグ問題については、Build 10586.29である程度解決した可能性が指摘されている。Microsoft動向に詳しいメディアである米Windows Centralの解説に詳しいが、アップデートで配信されるソフトウェアにおいて、通信に関わる部分とそれ以外とで区分けを行うことで、長時間の検証が必要となる携帯キャリアのチェックをバイパスしてユーザーに素早く直接配信しているというのだ。

 ただし、ファームウェアや機能アップデートなどの比較的大きなアップデートの場合、こうした対応が可能かどうかについては依然議論があるとしている。また、例えセキュリティアップデートのみだったとしても、携帯キャリアがプリインストールしているアプリの動作検証を要求する可能性も考えられるため、配信にあたって何らかの合意やルールが携帯キャリアとMicrosoftの間で交わされているのかもしれない。

 この辺りは、今後も提供されるだろうWindows 10 Mobile向けアップデートの中で明らかになっていくはずだ。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月14日 更新
  1. きょう発売の「MacBook Neo」、もうAmazonで割安に (2026年03月11日)
  2. 新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聞きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終 (2026年03月13日)
  3. M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す (2026年03月13日)
  4. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  5. 12機能を凝縮したモニタースタンド型の「Anker 675 USB-C ドッキングステーション」が27%オフの2万3990円に (2026年03月11日)
  6. 3万円超でも納得の完成度 VIA対応の薄型メカニカルキーボード「AirOne Pro」を試す キータッチと携帯性を妥協したくない人向け (2026年03月12日)
  7. ワコム上位機に肉薄? 10万円で18.4型4K! 高コスパ液タブ「GAOMON Pro 19」の長所と弱点 (2026年03月13日)
  8. 高音質・良好な装着感・バッテリー交換式――JBLのフラッグシップ「Quantum 950 WIRELESS」は妥協なきヘッドセットか (2026年03月12日)
  9. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  10. 10万円切りMacが17年ぶりに復活! 実機を試して分かったAppleが仕掛ける「MacBook Neo」の実力 (2026年03月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年