臼田総合研究所の臼田裕氏が「第13回 MCPC『イノベーション・チャレンジ』セミナー」で紹介したのが、加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気センサーなどを用いて2000インチ相当の映像を小さな画面で見るという「知能センサーシステム」だ。
臼田氏は最初に、「各種センサーを使ったユーザーインタフェースの進化が携帯電話などのモバイル機器で新しい技術トレンドになっている」と説明し、具体例として「W-ZERO3」シリーズや「iPhone」のようなデバイスを挙げた。スマートフォンに搭載され一般的となったタッチパネルはもちろん、Wiiリモコンのような加速度センサーを使ったもの、加速度センサーの代わりに端末カメラの映像から動きを感知する仕組みなどを紹介した。
現状では、こうしたセンサーが、端末の向きに合わせて画面を回転させたり、インタラクティブにアニメーションするメニューの表現などに使われているが、今後は、画像や映像といった分野にも流行が移っていくだろうと、臼田氏は予測する。
ただし、ケータイなどのモバイル機器にはいくつか根本的な問題点がある。それは、大きなものでも3〜4インチ程度のディスプレイしか搭載できないという、画面サイズと解像度の制約だ。そして高画質の映像を表示するとバッテリーの持ちが悪くなり、入力機器も限られたものになってしまう。
こうした問題を解決するのが、表示する内容をディスプレイの解像度に固定するのではなく、ディスプレイサイズを超えて表示する「知能センサーシステム」だ。もちろん、一度に見られる範囲はディスプレイサイズと同じだが、“のぞき窓”から仮想的に広がった表示内容を見ることができる。
PCには似たような考えの仮想デスクトップがあるが、知能センサーシステムではジャイロセンサーなどの各種センサーを活用して、あたかも現実の中にいるような視野を実現する点や、10倍までに対応したズーム機能があることが異なる。「Second Life」(セカンドライフ)のような3D空間を端末内に用意し、センサーによって端末の動作に合わせて見たい部分を表示する――という使い方をイメージすれば分かりやすいのではないだろうか。
知能センサーシステムの応用先はさまざまだ。メニュー画面や静止画の閲覧、動画などPCコンテンツの再生という従来のケータイ操作のバリエーションが広がり、IPTVで配信されるさまざまな番組をサムネイルで一度に表示し、ケータイを動かして見たいものを選ぶ、といったことも考えられる。さらに、ケータイ内に360度見渡せるバーチャル空間を表示し、その中を自由に“移動”して操作するということも可能だという。
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